ゲイ探偵タドコロナン(前編)
Boxガチャで忙しいので初投稿です
衝撃を受けたショックで白江は目の前が霞んで見え、吐き気をもようしその場に胃液と共に無理矢理詰め込んだ夜食が一部吐き出された。
「ヴォエッ!」
『どうした、寝るには早いぞ小僧小娘共』
状況は決着。最悪の一日の最終工程にレオナルドとの模擬戦が入っていた彼ら四人は今、ショッピングモールの片隅で崩れ落ちている。
夜から深夜にかけての救出行が終わり、自分達の成長が実感できた彼らにぶつけられたのは上位者からの徹底した教育だった。
四人で一人に襲い掛かるという有利も一瞬で覆され、連携の甘さ、意識の低さ、殺意の足りなさを指摘されながら転がされる。
日常で生きていく上でなら必要は無いが、彼らは既に異常に引き寄せられてしまったのだ。いざという時足りませんでは済まない。
「畜生め・・・」
『文句が言える内は大丈夫だな。今日はこれまでとする、休んで良ぉし!』
レオナルドがそう言って立ち去ると彼らはなんとか立ち上がり、支え合いながらシャワー室へと向かった。彼らの一日はようやく終わったのだ。
その一方でレオナルドは第九中隊の中隊長として部下からの報告を受けていた。
『第二中隊からようやく応答がありました、六時間ぶりです』
市内が地獄と化してからようやくの応答、現状を考えると向こうの状況は面白くなさそうだ。
仮設通信室へと到達すると、レオナルドは通信機を掴んで直接第二中隊と交信を行う。
『こちら第二中隊カークだ、レオナルドか?』
『そうだ。そちらの状況は?』
多少のノイズが発生するが、ハッキリと聞こえる通信越しに中隊長同士がやり取りを交わす。
『失敗だ。現場は抑えたが実験装置が起動されて此方もゾンビ祭り、ボスは憤るだろうよ』
『此方はクライアントを確保して正当性は問題無いが外界と遮断されて補給が無い。備蓄分だけで迅速な事態解決が必須だな』
それが問題だ、外との連絡が取れず移動も出来ない結界が出来ている為時間は敵である。
結局は事態の解決が急がれるのだが、とうの装置についての現状は。
『今工作班に解析させているが、望みは微妙だ。最悪ぶち壊すしかない』
同種の事件を起こさせない為にもリバースエンジニアリングが重要なのだが、最悪の場合現物を破壊して事態を終了させる必要がありそうだ。
『それは面白くないな』
『だが選択肢には入れておく必要がある』
『わかった、此方でも資料を当たっておこう無いよりはマシだ』
モールを臨時要塞にしたばかりの第九中隊工作班の徹夜が決定した瞬間である。彼らは泣いていい、しかし働け。
◇
夢だ。夢を見ている。
白江の意識は直前の記憶が割り当てられた部屋でマットに転がったのを覚えていた。
見えるのは誰かの葬式だ。視界に映るものは大体白と黒で分けられている。
夫婦だろうか。男女が並んで悲しみの涙を流しており、参列者の多くが別れを惜しんでいるように見えた。
そんな中葬式の中央に位置している写真には笑顔の中学生くらいの女の子が色彩豊かに映っている。
《それがわたしだよ》
声が真後ろから聞こえた白江はハッと振り返った。
そこには写真の本になったと思われる少女が学校の制服を着て立っている。
「君は・・・」
白江の声はそこで途切れ、幽霊を始めてみたと驚くが悪魔という超常現象に出会ったのだ、幽霊もいておかしくないと言葉を飲み込む。
《そこで泣いているのがお父さんとお母さん》
彼女は並んで泣いている男女へと近づいてしゃがみこんだ。
《わたしが交通事故で死んじゃって二人はオカルトに研究を進めちゃったんだ。・・・・・・それが今の咲原市の原因》
「そうだったのか・・・」
白江が無意識に眼鏡の高さを調整する。返答に困ったときの癖である。
家族を唐突に失った悲しみは余りあるだろう。自分も妹が急に死んだら取り乱すのは間違いない。
そういう原因で巻き込まれるのはごめん被るが。
《・・・・・・郊外の研究所に行って。そこの装置を止めれば今の異常をなんとか出来る筈、鍵は貴方に託すわ》
気付けば目の前まで接近されていた女の子の幽霊に抱き着かれる。
熱を持った何かが確かに受け取った感触と共に身体に取り込まれた。
《あと・・・・・・お父さんに会ったらこう伝えて。わたしは幸せでしたって》
「・・・それで・・・満足なのか?」
白江が頭を撫でながら相手の感情を聞き直す。最後に伝えられる言葉になるだろう一言だ、悔いは残したくない。
その言葉に対して少女は今にも泣きだしそうな顔で告げる。
《良くないよ!でも・・・もう終わった事だもん。別れが伝えられるだけ我慢しなきゃ・・・》
「判った。そう伝えよう」
最後に髪を撫でると少女の方から離れていき、徐々に周囲の風景が崩れ出した。
夢の時間は終わり。現実へと起きる時間だ。




