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M3GAL6V4NIA☆.mp3

感想がもらえたので初投稿です。


外の惨状が世紀末よりも悲惨であることを簡単に説明するヘフナー。

人間はとりあえず襲われ殺されるかそれ以上に酷い目にあっている。

その上で死んだ筈の死体が動き出し悪魔や人間を問わず襲いだしているという始末だ。控えめに言って地獄だろう。


『中々にB級映画臭いが刺激的だろう?』


「それでそんな事を私達に説明して貴方になんのメリットがあるんですか」


先ほどの餓鬼の件もあり一先ずはヘフナーの話を信じることにした玄海達。しかし高浜が言うように不自然だ。

説明している間にもブラックタスクの人員がモールの出入り口を防御するように装甲車とバリケードを構築して悪魔と動く死体達を堰き止めている。

ゾンビ映画の様なある種滑稽な光景が広がっているが、全員が真剣に話している。


『新しいクライアントである市長が市民の救助で追加報酬を出すとの仰せだ。しかし我々は今モールの防御で忙しい、手が足りない』


「俺達に救助を手伝えって言うんですか!」


横島が声を上げるが、ヘフナーはガスマスク越しに笑みを浮かべるだけだ。


『いや?別に強制するつもりはない。戦場は大人の場所だからな。時間が掛かるが我々だけで可能だ』


ヘフナーは単純に、環境と餓鬼の退治で覚醒したばかりの訓練兵未満を鍛えてやろうというつもりで言っているだけだ。それが質が悪い。

彼らはこの異常事態でそれぞれ霊格が覚醒、それの制御に後から手間をかける位なら、実地で今やってしまおうという親切心半分。

将来自身と戦えるような戦士が生まれれば儲けものだという考え半分で提案している。


『お前達が今、謎の全能感に溢れているだろう?それの制御の為に実地で訓練を付けてやろうって善意だ』


ヘフナーに指摘されて、彼らはようやく自分達が謎の全能感に満ちている事がはっきりと認識できた。

まるで何でもできるヒーローにでもなったかのような感覚がある。


『お前達のその現象、制御すれば明確な力として扱えるぞ。悪い話ではあるまい?』


「だとしても危険だ。悪魔と動く死体、救助しながら両方に十全に対処できる保証が無い」


白江がそれでも危険性を冷静に指摘する。それに対して考えが揺らいでいた他三人がハッとさせられた。

普通中高生が全能感に溢れれば冷静さを欠くのが普通だが、中々に"素養"があるらしい。

反対した白江にますます笑みを深めたヘフナーが言葉を続ける。


『その判断力があるなら問題あるまい、分隊についていって慣らしておけ』


「何処までも強引な人だ」


『安心しろ。武器と装備は貸してやる、即席の訓練場もな』


雨宮高校の生徒四人がこの事件に深く関わる事になるとはこの時点では誰にも分らなかった。



咲原市 住宅区


夜の闇が住宅街を深く包み込む時間帯になるが、常と違い殆どの家屋に灯りは灯っていなかった。

道路は悪魔と動く死体が散見されるのみで、後は放置車両が燃えるなりしている程度である。


そんな地獄と化した住宅街をM113装甲兵員輸送車達が走り抜ける。

轟音と共にアスファルトを削るように走りながら、道中でまだ人の気配が残っている場所を見つけたら停車した。


よくある塀と生垣で覆われた一軒家、駐車スペースには軽自動車も置いてあり家の中にはまだ人の気配が残っている。

運よく悪魔や動く死体にも絡まれていないようだ。


『人が残っている。救出するぞ』


分隊長が宣言すると、降車用の扉を開けて分隊員達が素早く警戒しながら展開する。

それに続いて高校の制服に野戦装備を付けた白江達がややもたつきながらも降りた。

覚醒したとはいえ十数kgもある装備をいきなり身に着けて素早く動けるはずも無く、もたつくのは当然だろう。バランスを崩して倒れないだけマシである。


『エネミーセンサー反応なし、小僧共出番だ』


「わかりました。・・・皆、気をつけて行こう」


「おう」「うん」「わかった」


市内の電力はまだ生きている。しかし家に灯りがついていないのは襲撃を警戒しているからだろう。

これまでに救助した何件かは灯りがついていた結果死体と悪魔に集られて強行突破する羽目になったからだ。

その結果目の前で人が死ぬ光景を何度か見て、耐えきれずに吐いたり恐怖で蹲りそうになるなど、初陣特有の症状は既に浴びている。

自分達だけなら間違いなく死んでいたであろうが、それを助けたのが同行しているブラックタスクの分隊だ。そんな目に会う理由もブラックタスクのせいだが。


家の扉を静かにノックして害意が無い事を示すと、十数秒後に静かに扉が少しだけ開けられる。

時間が掛かったのは躊躇いと緊張だ。周囲の家庭が蹂躙される中、静かに息を殺すことで生き延びてきたのだ。躊躇いが出るのも当然だろう。


「助けが・・・来てくれたのか・・・?」


三十代半ばくらいのスーツ姿の男性が僅かに開けられた隙間から覗く。

その表情には恐怖と萎縮が見られるが、確かに家族を守ろうとする気概が白江には見て取れた。


「えぇ、商業区のモールが避難場所になってます。そこなら安全ですよ」


そこからは話が早かった。彼が家族を説得し、夫婦と子供二人にペットを連れてM113に乗り込むと、直ぐに分隊は装甲車に乗り込んで移動を開始した。

既に四両のM113には定員まで人が乗り込んでおり、今からモールに帰還する予定だ。


モールへの帰還途中に小さな橋を渡る場所に差し掛かると、橋の入り口で悪魔と動く死体が争っている場所に出くわした。


『丁度いい。小僧共の相手には持って来いだ』


明らかな雑魚悪魔と動く死体数体が集まっている。横殴りするには絶好の機会だろう。


『行ってこいお前ら、危なそうなら助けてやる』


「簡単に言うなよってんだ」


横島が愚痴を零しながら装甲車を降りる。続いて高浜、桔梗、玄海と続く。


「人の事なんだと思ってるのよ」


『訓練兵未満だ。さっさと片付けて来い』


高浜の言葉に直球の返事を投げつけながら掃除を言いつける分隊長。

本当なら相応に高額な授業料を払い、誓約書にサインしなければ受けられないブラックタスク社の実地訓練をタダで受けられている現状に不満があるらしい。


まぁまだ大人ではない子供を戦わせているという事に、双方不満が積もるのも無理は無いが。


「行くぞ!【雷撃】!」


「【烈風】!」


白江と薫がそれぞれ覚醒した事で得た異能を振るい、悪魔と動く死体に攻撃する。

白江が右手をかざす事で、かざした手から電撃が走り、悪魔に直撃した。

同時に詠唱した薫の両手からも強い衝撃波と共に空気の刃が飛び出し、動く死体の首を両断する。

それを急造の訓練所で訓練したM16A3を照準し、浩平と涼子が追撃した。


「当たれ!」「当たって!」


悪魔はあっさりと死んで塵と消えるが。動く死体は頭に攻撃が命中するか、一定以上の肉体の損壊でやっと動きを止める。

今の異常事態と関係がある様に思える、しかし今この場ではそれ以上は分からない。


『まぁ最低限か?身を守るくらい出来ないと外には出せんからな』


分隊長がそう装甲車から身を乗り出して戦う景色を見ながら言った。

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― 新着の感想 ―
[良い点] さすがブラックタスクだ!子供相手にスパルタだぜ! でもしょーがねーか地獄なんだから!
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