そんなことしたらBABAに怒られちゃうだろ!.mp22
ソシャゲのイベントで忙しいので初投稿です
【素人は戦略を語り、プロは補給を語る】
1997年 天美市 ブラックタスク社拠点ビル 第二中隊中隊長カーク・マイルディ少佐
壁一面に張られた天美市の地図に張り付けられた写真とメモを背景に、成果報告は問題なく行われていた。
事前に準備していた通りに儀式の情報詳細確保の為の二か所と、"連中に総攻撃を決意させる為"の電子部品工場襲撃。
ハーヴィスの眼鏡女が常に余裕ぶって言っていた通りの場所への攻撃だ。
これで連中は重い腰を上げて一撃必殺の行動に出るだろうと。そこに対してカウンターを被せてやれば容易く目的は達成できるという訳。
やる事がどちらに転んでも得になる事しかしないなあいつ。
「回収した儀式媒体を検査に回した結果、術式はエノク書の古式だと出ています」
それで成果の方だが、こっちは良好だ。連中の儀式の詳細が分かったので実際に儀式を執り行う要地が割り出せた。
「術式と媒体に触媒と揃いましたので、儀式を行う場所が割り出せました、天美第一ビルです」
カウンターパンチを用意して待ち伏せ、一気に組織を瓦解させる。これでチェックメイトだ。
案外あっけなかったかな。楽観は危険だが、この手の読み合いでハーヴィスが外したことは無い。ほぼ想定通りに行くだろう。
「第一、二、六中隊の準備は完了しています。後はご裁可いただければ」
準備を整えたこいつが負けるとか想像できない。我が面白き同期にして怪物、クレイグ・アイアンズがな。
まぁ俺もそこそこやれる方だし、幸いサマナー適性があったので仲魔にも恵まれ一角の長たる立場に収まれているんだ。
万一こいつがヘマをしてもそれをカバーするぐらいやって見せるさ。
コーラの缶を一気飲みしながら全身を覆った装甲服の腰に手を当てて、それから口を腕の装甲で拭った。
◇
同日深夜 グリゴリ実働部隊作戦発起点 立体駐車場
グリゴリの実働部隊約2000人がブラックタスク社の拠点ビルが見える位置で分散しながら待機していた。
その部隊の中でもリーダー格のスーツ姿の女性アザゼルが左腕に着けた腕時計で時間を見計らっている。
本当ならテレパシーで連絡を取り合いたいが、敵の眼前で能力を不用意に漏出させるわけにも行かずに時刻設定型の作戦となった。
「作戦開始時刻は0:00。あと少し、今の内に装備と仲魔の確認をしておけ」
配下の部隊員に指示を出しておくと自分も直属の部下の様子を見に行くことにした。
少し歩き、準備が凡そ終わっている軍用装備に身を包んだ部隊員達を眺めると、直属の魔獣:オルトロスと妖鬼:フウキに出会った。
《遂に噂の悪魔殺しブラックタスクとご対面か、腕が鳴るぜ》
戦いが待ち遠しそうなフウキに対してオルトロスはあまり乗り気ではないようだが。
《オレは別に待ち遠しくは無いな、しかし契約である以上従うのに否はないさ》
「あら、それはどうして?」
アザゼルがオルトロスの意欲の低下を危惧して内容を聞こうとしてみる。
彼らは共に現在の霊的基盤の最大まで強化されている悪魔だ。数字で上限を表すなら40といったところだろう。強さに申し分はない筈だ。
《アメリカにいる知り合いの悪魔が良く言うのさ。"静かに過ごせ装甲服の群れが来るぞ"
一人一人はニンゲンだが、群れた場合欠片も勝てなくなるそうだ》
その言葉を聞いたアザゼルは腕を組むと、バラクィヤルから受け取った戦闘資料を頭の中で再生し、考えを出した。
「確かに彼らの火力と連携は質が高いわ、しかしそれは事前準備があってこそ。急な対応なら二枚は落ちる筈よ。現代の軍隊は準備が命だもの」
結論はやはり問題なしの答えだ。普通の軍隊通りローテーションで防備を整えているなら即応戦力は全体の三分の一かそれ以下だ。
こちらは相手の三倍以上を用意して、相手の行動の翌日に即反撃の手筈を整えた。
相手にとってアウェーでの戦いである以上相手は此方の情報を知るのはやはり遅れる、そして堕天使達という特別戦力だ。
グリゴリの全てではないが、何人かはいる堕天使達は本来の力こそ振るえないが、現状でも霊基限界までは能力がある。充分強い。
《杞憂ならそれでもいいさ。単に気にしただけだ》
オルトロスはそういうと、作戦前の一休みといった感じでくつろぎ始めた。これ以上何か言うのも無粋かもしれない。
アザゼルはそう感じると、「じゃあね」と言葉を残して作戦配置に戻る事にした。
作戦開始。
第一段階、一斉にブラックタスク保有ビルの広い敷地を八方から侵入したグリゴリの部隊がコンテナだらけの場所から押し込んだ。
同時に警報が鳴り響き即応部隊が展開し始めるが、その数は想定通り一個中隊200人程。防御陣地での突撃破砕射撃こそ激しいが着実に制圧して行っている。
「防御陣地は魔法で黙らせて接近よ!」
『陣地防御に固執するな、後で取り返せばいい』
激しい機関銃の掃射を行っていた陣地にオルトロスが助走をつけたジャンプから飛びつき、その双頭の口からファイアブレスを放つ。
陣地から炎を浴びたオフィサー達が飛び出しそのまま後ろの陣地へと撤退しようとするが、オルトロスが追撃し拘束しようとする。
『支援してくれ!喰いつかれた!』
《おっと、危ない危ない》
支援要請によって付近の銃座と対戦車火器がオルトロスへと向けられ、火力が集中する。
オルトロスはそれを避け、オフィサーが撤退に成功するが、その分他の個所の火力密度が低下し敷地の支配圏がグリゴリ優勢になってしまう。
フウキは遊撃戦をしていたオフィサー分隊と接敵し、狭い場所での格闘戦を思う存分振るっている。
《グフフ、今宵がおまえらとの死合の場だ》
『やってみろよ悪魔風情が!』
巨大な棍を振り回しその怪力と風の力で場を支配するフウキに、一個分隊が拘束されてしまい防御の柔軟性が失われる。
他の中隊が参戦するまでの間ではあるが、確かに量と一部の質で上回るグリゴリ側が着実に敷地の大部分を確保。
作戦の第二段階、堕天使達が力を一体に集中させその魔力でビルを一気に破壊し増援を断つべく動き出そうとした。
空中を移動して集まったアザゼル以下アルマロス、バラクィヤル、コカベル、サリエルだ。
彼らは悪魔本来としての力は制限されているが、特定の行動を行えば一部で制限を解除できる。
今の戦況ならばその簡易儀式を行う余力と時間があると見ての行動だ。
「力をその手に。制限開放」
空中に集まった彼らから光が溢れ出し、アザゼルへと流れ込みだす。
これが決まればブラックタスクに致命傷を与えることが出来るだろう。そうすればシェムハザの復活も容易く行える。
その筈だった。
突如として敷地内へと踏み込んでいたグリゴリの部隊へと"背後"から銃撃と魔法の砲火が襲い掛かった。
それと同時に想定では未だ来襲は早い筈のヘリ部隊が戦場に現れて地上掃射を開始する。
同じくしてまだ準備中な筈の増援がビルから前線へと供給され、状況は決定的に覆った。
「どうして!?」
簡易儀式と詠唱を行っていたアザゼルは余りの状況の変化に驚き声を上げる。
そして最悪の予想を一瞬の内に行い、その美貌が絶望に染まった。
「まさか、誘導されていた?!」
その声に状況を理解したサリエルが血相を変えて儀式を中断し、テレパシーを最大強度で戦域全体の味方へと伝える。
《全部隊に次ぐ、総員撤退。合流地点Fへと移動せよ。特別戦力は撤退支援だ》
この場合の最悪とはこのままずるずる戦いグリゴリの戦力を誘導され包囲殲滅される事である。
そうなればもうこの都市での活動は不可能になり、掃討されるだけの弱小勢力へと落ちる事だ。
それを防ぐ為にも各堕天使含む特別戦力は戦域各地へと散って撤退を支援する事になった。
ジェラルディン・ハーヴィスの嵌め手にがっちり嵌り溶かされるのを待つ戦力。それが今のグリゴリだ。
なか〇し部すき




