配達依存症!運び屋と化した先輩!part.38
感想がないと完走出来ないので初投稿です(HHEM村民並感)
【英雄譚の真実とは血生臭いモノである】
1997年 日本 天美市 ブラックタスク仮拠点ビル
96年から行っていた政治工作により、無事に天美市での戦闘活動が可能になるとブラックタスク社第一、二中隊は活動を活発化させる。
座間キャンプから移動して来た部隊が駐屯しているのが今の拠点としている高層ビルだ。
都市計画の一環で建てられたは良いものの、バブルの崩壊と共に値段が下がり使い道に困っている所を購入した。
そのビル内の至る所には軍需物資がコンテナやケースで置かれており各部屋には通信設備や寝台、食堂や会議室等様々な改築が行われている。
そんな中の一つである会議室では、小隊長以上を集めた作戦会議が行われている。
壁一面に張られた大きな天美市の地図に写真やメモが貼り付けられ、それらを眺められる位置に隊長級が集まって将校協議が進む。
「この銀行は支店長が悪魔で組織の支配下だ、情報によると貸金庫に儀式用触媒を保存して管理しているらしい」
「分かった、夜に襲撃を仕掛ける。触媒を奪ったら撤退しよう」
夜間の強盗計画が普通に練られているが、気にしてはいけない。地元銀行が悪魔組織の手先な程度驚く様な事ではない。
「港の倉庫管理会社、これも連中のカバー企業だ。裏帳簿を奪ってこよう、出入りした物資で儀式の詳細が分かるはずだ」
「うちの小隊が受け持つ。ついでに物資が残っていれば焼き払ってくる」
今度は港の倉庫襲撃計画だ。企業名からしても判るが、真っ黒なビジネスにも手を染めるのに躊躇いがまるでない。
正義の味方がいれば目的は同じだとしても必ず彼らを止めるだろう。しかし生憎正義は品切れのようだ。
「街の霊地が幾つか奪われている。これは一時的に奪い返しても意味が無いな。維持するだけ無駄だ」
「この電子部品工場はグリゴリの収入源の一つだ。叩き潰しに行く」
完全に街に浸透しておりホームで待ち構えるグリゴリの天使達に対してアウェーのブラックタスクが行う処置は明確である。
"全てを焼き尽くす"
連中の構成員、収入源、カバー企業、信用、人的資源、地盤、それらを全て破壊し尽くすつもりだ。
その為には街一つ丸ごと焼き払っても構わないという殺意が溢れている。
将校協議は進み、各小隊が担当する攻撃目標が割り振られた。
防衛用の二個小隊を除いた六個小隊と社長直属小隊が天美市の各地で戦争をおっぱじめる。
英雄譚とは常に殺戮の中にこそ存在するものだ。
◇
1997年 天美市 地元銀行 深夜
天美市の夜。周囲はビル街で、昼間の様な人気は殆どない。強盗するにはうってつけだ。
人が居なくなった銀行は通常ロックダウンされ、完全に封鎖される。
だからこそ普通の銀行強盗は営業時間中を狙うのだが、彼らにそれは当てはまらない。
「電源を落とせ、それから侵入だ」
闇の中を走る人影達はまず銀行の電源を落としにかかる。
アナログにしろデジタルにしろ通報装置には電源が使用されているからだ。
分隊長に命令された工作兵のオフィサーが銀行への電源ブレーカーを落とした。
「アルファとブラボーは付いてこい、残りは周囲の警戒だ」
これで銀行を孤立させた後、複製された鍵を使って銀行内に侵入。二個分隊が周囲の警戒に当たり、残りで行内の捜索に当たる。
銀行内部は夜に限定してか異界化されており、悪魔達が好きにのさばっている上に迷宮化している様だ。
これをαとβ分隊は交戦でもって排除する。
『チーム毎に分散して探索しろ!目的は金庫室にある貸金庫だ』
マッピングデータをリンクする事によって迷宮内部の構造を把握していき、目標を探す。
道中現れる悪魔はやはりDark属性とChaos属性が多い。しかし脅威となりうるかと言えばそうはならなかった。
属性弾と悪魔召喚プログラムによる汎用性の高さをもってすれば十分対処可能の範囲でしかない。
異界化した銀行内部で銃声と魔法が飛び交い悪魔達の断末魔が鳴り響く。
「金庫室を発見。情報を共有します」
「各隊探索を継続。金庫室にはドリルを持っていく」
そうしていると幾つかの階段を上り下りした先にやっと目的の金庫室にまで辿り着いた。
金庫を開ける鍵は複製出来ていないので、こちらは工業用工作ドリルで抉じ開けることになる。それなりに騒音が出るが、建物の外にまでは漏れない。
10分もしない内に特に問題も無く金庫は音を上げる。
「貸金庫を片っ端から開けろ。金目の物なら適当に貰っておけ」
行内のマッピング作業が終了し集結した二個分隊に命令を出す。
金庫内に積んであった札束を適当にバッグに詰めつつ、分隊員たちによる貸金庫の総当たりが始められた。
スポーツバッグに詰められた札束が銀行の外まで運ばれると、近くに駐車しているバンに投げ込まれる。
そうしてまた10分程経過すると、貸金庫に当たりが出た。
「ありました。儀式の触媒です」
「よくやった、これより撤収作業を始める」
監視カメラのビデオテープを引っこ抜いて焼き払い。ドリルも片付けると、小隊を詰め込んだ何台ものバンが夜の闇へと消えていく。
翌朝になれば一躍地方のニュースのトップを飾るだろう。最も犯人が誰かは迷宮入りだが。
◇
1997年 天美市 港湾貸し倉庫街 同日深夜
結界が張られ外界と隔離された倉庫街ではグリゴリの私兵たちとブラックタスクが戦闘状態に入っていた。
『包囲しろ!着実に仕留めるんだ!』
「撃て撃て!連中を近づけるな!」
出元不明の悪魔召喚プログラムと銃器で武装した私兵たちがコンテナや倉庫を盾に決死の防衛を行う。
しかし、その抵抗虚しく、銃弾は弾かれ魔法は即時回復され、統率された動きでスペシャルオフィサー達は距離を詰め、私兵たちを抹殺していく。
『こちらΔ分隊、抵抗は微弱。挟撃を実行する』
「後ろにも敵がいるぞ!糞ッ!仏陀はゲイのサディストだ!」
同時に別小隊が反対側から逃げ道を断つべく私兵を排除しながら接近しており、挟撃の態勢になっていた。
彼らも仲魔を使い必死に応戦しているが、そもそもの練度と装備が違う。装甲化されていない歩兵とされている歩兵の違いだ。
グリゴリ側も手をこまねいていたわけでは無く、対装甲兵器の準備や部隊の増強は施していたが、民兵と正規兵という差がここにきて如実に表れた。
専門性の高い訓練を受けていない民兵では兵器の性能を正しく発揮できないのである。
「なんで連中は死なねぇんだよ!おかしいだろ!」
なので幾らかチャンスが訪れてもそのタイミングで正しく攻撃が出来ず、逆にピンチに陥ってしまう。
順当に訓練を受けた真っ当な軍隊が装備に差がある相手に負ける事は無いのである。余程の地理的不利でも負っていない場合でも無い限りは。
そこかしこに人であったゴミ屑が散らばっている倉庫街にて、管理会社の事務所で裏帳簿探しが行われている。
大抵この手のモノは隠し金庫の中にしまってあるのが相場だが。
『ありました。隠し金庫です』
『ドリルで抉じ開けろ』
指示通りドリルを使った抉じ開けの後、中から出て来た裏帳簿を確認する小隊長。
裏帳簿には儀式に使うであろう物資が16番倉庫に纏めて保管されている事が記載されていた。
『16番倉庫を焼き払うぞ。その前に物資の中身を確認して記録に残しておけ』
『了解しました』
証拠として微量に接収された後、大量に持ち込まれた灯油で16番倉庫は丸焼きになるまで一晩中焼き尽くされた。
血生臭い戦いはまだ終わらない。
アメリの正体が今更すぎる




