24歳、ペルソナ使いです#14.幻想
最近おタイタンフォール出来てないから腕の劣化が激しい。辛いです
【戦争は始めるより終わらせる方が大変である】
1995年 白崎市郊外の山中 ブラックタスク社仮拠点
最初の行動は手榴弾の投擲から始まった。
警戒をしていたオフィサーの背後に投げられ、物音に気付いた彼が振り返ると床に手榴弾がピンを抜かれ転がる光景が見える。
『Shit!grenade!!』
すぐさまそのオフィサーは物陰に隠れて爆発をやり過ごしたが、同時多発的に他の個所でも同じような襲撃が行われ、混乱が見られた。
『敵の襲撃だ!交代要員を叩き起こせ!』
ファントムカンパニーの召喚師部隊は仲魔も召喚し終えており、確実に先手が取れている。
通常は要地でもない限り、悪魔の出しっぱなしはエネルギー効率が悪すぎるので行われない、奇襲の優位がここで出ていた。
「撃て撃て!奴らが立て直す隙を与えるな!」
ブラックタスク側が初期の混乱が収まらない間に、デズモンドとフレッチャーの二人が別荘内部の山城が囚われているだろう建物に踏み込む。
悪魔召喚プログラムに付属しているエネミーセンサーが大まかな位置を割り出し、二人は建物内部を突き進んだ。
『敵だ!山城の身柄を確保しろ!』『くたばれ!』
「やれ!バインドボイス!」「夢見針!」
建物内で出会ったオフィサーとまともに戦うような時間と戦力がない為、状態異常をばら撒いて無力化していく二人。
仲魔も襲撃で使う為に状態異常をばら撒く用に調整して連れてきていた。
そのかいもあって、建物地下まで降りる為に二度も会敵したが、どちらも素早く通り抜けられている。
「ここだな!」
鍵の掛かった扉を蹴り開けると部屋の内部には山城と思わしき人影が両手足を手錠で拘束され転がされていた。気絶しているようで反応は無い。
そして一人が山城を処置しようとし、もう一人がエネミーセンサーを確認しつつ周囲警戒を行っている。
「連中凄い勢いで集まってきてるぞ!」
エネミーセンサーには周囲で陽動が行われている筈にも関わらず真っ直ぐ山城のいる建物に向かって移動する反応が多数写っていた。
「やはり連れて行くのは無理か、処置していく」
そう言ったフレッチャーが山城の心臓に対して太い注射器を突き立て、中身を注入した。中身は致死毒の一種で、異能者でも楽に死ねる毒だ。
山城が一瞬呻き声を上げるが、直ぐに収まる。これで蘇生も出来ないので目的は達成。後はどう帰るかである。
「急げ!奴らもうすぐそこまで来ているぞ!」
デズモンドの手にしたエネミーセンサーはもう真っ赤に染まっている、距離はもう10mも無いだろう。
「分かっている!」
急いで階段を駆け上がり、二人共近くの窓を突き破って外へと脱出。同時に上空へと信号弾を撃ちあげる。
ほうほうの体で森へと駆け込み機銃掃射を受けながらも森を盾にしてなんとか逃げ切った。僅かでも森へ入るのが遅れれば捕まっていただろう。
同時に大規模な爆発音が幾つも聞こえてくる。重傷を負った部隊員の自爆である。
そのまま合流地点までコンパスと地図を使い移動する。灯りはフラッシュライトで確保だ。
周囲の山中がヘリコプターでの捜索で慌しい中、なんとか山小屋の一つに集まれたファントムカンパニーの部隊。しかしその惨状は中々に酷い。
「結構やられたな」
デズモンドの言葉に尽きる。
30人は超えていた部隊はブラックタスク側の反撃で10人はやられていた。
完全に奇襲を仕掛けて有利に状況を始めたにも関わらず、素早く立て直しに手痛い反撃と増援を同時に行ってきた。
正面からぶつかる事などしようものならどうなるかは一目瞭然である。
「頼まれてもやりたくないな。あいつら相手は」
「同感だな」
デズモンドの言葉にフレッチャーが同意した。とにかくブラックタスクは殺意が高い。
まるで正義を掲げるのではなく、悪を滅ぼしたいのだと言わんばかりである。
それでも彼らは当初の目的を果たす事には成功した。副目的である召喚師部隊の実践運用には辛い評価が付きそうだが。
◇
1995年 アメリカ合衆国 ミシガン州デトロイト市 ブラックタスク本社ビル
社長室では、今日本支局からの連絡をクレイグが受けていた。
「敵幹部は襲撃を受けて暗殺されたか」
『すまん。追撃はしたんだが、山中に逃げ込まれたら今の装備じゃ追いつけない』
カークから概ねの報告は済んでいる。
ファントムカンパニーが白崎市で執り行っていた封印解除の儀式は阻止できたが、連中の身元や正体に繋がる証拠は残っていなかった。
重傷者は全て爆薬で自決されて死体の残骸に至るまで証拠隠滅が施されている。これでは根本を叩くのは無理だろう。
「仕方がない。今を急いで足元を疎かにする方が問題だ」
『主要都市以外にも観測班を置くには人員が足りん。これも年月がかかる』
何かと問題が起きる日本だが、ブラックタスクの本業はアメリカにおける悪魔事件の対処と根治だ。
各地の霊的防御を引き上げる為にもプロテスタント・カトリック問わず鍛錬の場を設けており、良い意味で評判が広まっている。
勿論訓練を受けさせられる人間の弱音は無視されるが。
「それで、奴らが目覚めさせようとした姫とやらの再封印の進捗はどうなっている」
『移動させられた神社や社の再移築、霊的基盤の浄化は現在進行形でやってもらっている。しかし術式が違うから今年いっぱいはかかりそうだ』
「それは気にしなくていい。予算など日本政府に幾らでも集れる。自分のケツも拭けないのだ、文句はあるまい」
殲滅が仕事のブラックタスクにとって浄化や再封印は専門外だ。
そこで普段から繋がりの深いキリスト教プロテスタント・カトリックの出番となる。
霊的治療や浄化、封印といったサポートは外注として彼らの仕事兼収入にもつながってお互いが得をする関係だ。
現地政府のオカルト組織が弱体化して役に立たない今、活動に肘打ちされる心配などどこにも無い。
受話器を降ろして会話を終えると、クレイグは朝食のロブスターロールにかじりついた。
アツアツの溶かしバターをかけるコネチカットスタイルはロブスターの旨味が口の中でじんわり広がり非常に美味しい
朝食を齧りながら書類を片付けている。その内容は様々だ。
訓練用の異界を確保する為に土地収得。
土地を買っても何もしないのでは不審がられるので、再開発事業として表向きの事業としてのブラックタスク社の内部組織用の建物を建て、管理する。
装甲服の製造、悪魔召喚プログラム等召喚師用プログラムの改良は自前で行っているのでそれらの進捗の確認
銃器から銃弾、特殊作戦用装備までの装備の購入と整備の部門の報告。
悪魔の力を応用した回復薬や治療薬の開発といった実験部門。
最近になって発生した電霊なる存在に対抗するための電子戦部門。
アメリカ国内で地盤を固める為にも常設部隊の増強。
内向きにやる事だけでもこれだけ増えているというのに、下手に市政にテコ入れした結果。
市議会議員達が教育や雇用の為にあれこれ資金提供が欲しいらしく足蹴無くブラックタスク社へと通いだした。
確かに本業は圧倒的黒字であり、下請け込みで考えればデトロイト市での雇用は1000人を超えているが、PMCよりまずはGMやクライスラーに媚びて来い。




