表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
第三世界収容所  作者: 富士見永人
36/42

第三十六話――時空断絶刃(アマルティア)

 ブリーゼによって完全に精神を乗っ取られたサーマとユリウスは、まるで長年背中を預けて戦った戦友同士(パートナー)のように連携をとり、フロセルビナに叛逆(はんぎゃく)する――


「神法『爆裂滅殺天使砲(エンジェルキッス)』――」


 サーマの灼熱の巨大な光線が、フロセルビナに襲いかかる。

 しかしありとあらゆる原子は神装『聖羊神鋼皮盾(アマルティア)』による時空断絶の壁を越えることができない故に、フロセルビナは眉ひとつ動かさず。

「ダメですよ、サーマ。眩しくて仕方ありませんわ」

 彼女に見えている光は、聖羊神鋼皮盾(アマルティア)が作り出した魔法映像。

 視界すべてを白飛び(ホワイトアウト)させるその強烈な光は、前方に無数の太陽が出現したかのよう。

 フロセルビナは全能眼(パーフェクトアイズ)の力を使い、サーマの空間座標を特定する。

 たとえ眼をふさがれようが、彼女には世界で起きているすべての出来事が見えるのだ。

「あら?」

 フロセルビナが気づいたのは、サーマの天使砲(キッス)が止んだのと、ほぼ同時。


 ユリウスが、いつの間にかフロセルビナの背後に移動していたのだ。


「隙あり」

 すべての魔法物質(マナ)を喰らい、魔法を無力化するその聖剣が、フロセルビナを胴切りにするべく、一閃される――


聖奥義(セイントアーツ)超級聖戦士特殊剣デラックス・ユリウス・スラッシュ‼︎」


 核攻撃すら無効化するブリーゼの規格外(デタラメ)防護魔法すら無効化する、伝説の聖剣エルキャリバー。


 すべての魔法をいともたやすく破壊する七色に輝く聖剣が今、フロセルビナの聖羊神鋼皮盾(アマルティア)を貫き、その胴体を切断――


「無駄でございますよ」


 ――できなかった。


「ギャアアアア」

 (こだま)する、ユリウスの絶叫。

 ユリウスがフロセルビナを背後から奇襲した直後、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「グワアアアアアア」

 天使と違って肉体再生能力をもたないユリウスは、苦悶に顔を歪め、喚き続けた。

「うるさい⭐︎ ――『凍りつきなさい(ゼメルツァート)』」

 フロセルビナが呪文らしきものを唱えると、ユリウスが分離した右腕ごと一瞬で巨大な氷塊に飲みこまれた。

「貴方には、まだ死なれては困るのですよ」


 ブリーゼには、フロセルビナが何をしたのかがわからなかった。

 人間を周囲の大気ごと氷結させるなど魔族や人間でも可能である。

 問題は、その前。

 何もせずにいきなり人間の腕が切断されてふっとぶ、なんてことがありうるだろうか?

 魔法の素人ならともかく、ブリーゼほどの大魔道士ともなれば、魔法|(天使はそれを〈神法〉などと呼んでいるが)が使用されれば魔力(マナ)反応からすぐにわかる。

 しかしフロセルビナがユリウスの腕を切断した時、どんな微弱な魔法反応もなかったのだ。


「貴女にも、おとなしくしててもらいましょうか」


 フロセルビナが、サーマに視線を向けた瞬間――

 ――サーマの身体が、バラバラに切り裂かれた。


 無数の肉片と化して、やや桃色がかった鮮血の雨とともに地面に墜落する、サーマだった挽肉(モノ)

 まただ。また何の前触れもなく、バラバラに。

 まさか、と、ブリーゼの顔に、初めて浮かぶ――焦燥。


「お気づきになりましたか。聖羊神鋼皮盾(アマルティア)とは何も()()()()()()()()()()()()()()()()()。使い方次第では()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のですよ。このように――」

 フロセルビナが居合斬りのように右手を真横に一閃すると――


 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「幻惑魔法と知りながら、演出のためにあえてわざと見本(デモンストレーション)をお見せした次第でございます。一発で決着(ケリ)がついてしまっては、小説として盛りあがりませんので」


 ()()()()()()()()()()()()()()()に対し、フロセルビナは余裕の笑みを崩さずにそう言った。


 ブリーゼの手には漆黒の光の剣が握られており、それはフロセルビナの背中に突き立てられていたはずだったが――

 すでに展開されていた聖羊神鋼皮盾(アマルティア)によって阻止されていた。

「無駄でございますよ。サーマやユリウスと違い、私は聖羊神鋼皮盾(アマルティア)を解かずにあなたを引き裂くことができるのです。時空の断裂は、私の指定した空間座標に零秒で引き起こされます。すなわち――」

 天使長フロセルビナの顔にまるで悪魔の如き邪悪な笑みが浮かび。


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()♪」


 ブリーゼの身体が、サーマ同様バラバラに切断された。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ