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不良令嬢と残虐鬼辺境伯の政略結婚!!  作者: 桜あげは 


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90/99

90:残虐鬼の強行軍(サイファス視点)

 その頃、サイファスは騎士団の執務室で歓喜の声を上げていた。


「やった! 私はやり遂げた!!」


 彼の机の上にあった山のような書類の束は、すっかり空になっている。

 そう、サイファスは大量の書類を、僅か数日のうちに全て捌いてしまったのだ。

 これもひとえにクレアへの愛がなせる技である。


「凄いじゃないっすか、サイファス様! あの大量の仕事を、これほどまでの早さで終わらせるなんて!!」


 副官のダレンも感動している。


「……ということは、クレアに会いに行っても大丈夫だよね?」

「今のところ、新たな仕事は入ってきておりません」


 サイファスは机の下でガッツポーズを作った。


「はあ、クレア、早く逢いたい……ダレン、私は今から王都へ向かう。留守は頼むよ」

「王都って!? クレア様なら大丈夫だと思いますよ。あの人優秀なんで」

「そうじゃない! 私のいない間にクレアに悪い虫がついたら大変じゃないか! あんなに可愛いんだよ!? 世の男が放っておくと思う!?」

「たしかに、クレア様の見た目はとてもお可愛らしいですが」


 あの中身とあっては、並大抵の男では手を出そうと思わないのでは……という言葉を、ダレンは呑み込んだ。

 大層機嫌のいいサイファスは、いそいそと出かける準備を始めている。

 

「ハク、さっそく王都へ行くよ」


 サイファスの呼びかけを聞いて、天井裏からハクが下りてくる。

 主に諜報活動を行う第七部隊隊長のハクは、近頃サイファスの近くに控えていることが多いのだ。


「……奥様なら心配ないと思いますけどね。変な男が寄ってきても、気づきもしないうちに撃退するでしょうし。アデリオもついていますし」

「そのアデリオが一番心配なんだよ」

「まあ、そうですね」


 ハクはアデリオの性格をよく知っている。

 そのため、彼に関することではサイファスに「大丈夫だ!」と太鼓判を押せなかった。


「でも、あいつはクレアの嫌がる行動は取りませんよ。その点に関しては保証できます。無理矢理手出しはしないはず」

「それって、クレアが絆されれば手を出すということだよね」

 

 サイファスは、ますます不安になった。

 せっかくクレアがサイファスを意識し始めてくれているのに、横から間男にかっ攫われてはたまったものではない。


「ハク、急ごう! 王城の舞踏会に間に合わせるよ」

「へいへい、仰せのままに」


 こうして、サイファスとハクはルナレイヴを出発し、王都に向けて全力で馬を飛ばした。

 辺境伯の乗った馬は、ありえない程のスピードで街道を駆け抜け、舞踏会にギリギリ間に合う形で王都へ到着したのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] サフィアス…残虐鬼の面影すら無し!(笑)
[良い点] サイファスさんがクレアの元へ馬を飛ばすイメージがギャグ漫画チックなものにwww
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