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不良令嬢と残虐鬼辺境伯の政略結婚!!  作者: 桜あげは 


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80/99

80:帰り道と侍従の妨害

 その後、クレアはサイファスと合流し、ミハルトン家の再建を手伝った。

 なぜか、あのクレオがサイファスに懐き始めていて謎だ。

 残虐鬼を怖がるどころか、彼のあとをついて回っている。

 

(短時間で我が儘坊ちゃんの心を開くとは、さすがサイファス。なんだかんだ言いつつ、面倒見がいいもんな)


 クレアは感心していた。



 少しの間、ミハルトン家と宿を行き来し、用が済んだのでルナレイヴへ戻る。

 

 馬車に乗り王都を後にしたクレアは、この国で一番広い川にさしかかっていた。

 行きと同じように、川岸に食堂風の船が停まっている。

 当初の約束通り、クレアはサイファスと一緒に馬車を降りて、賑やかな船に乗り込んだ。

 奥の良い席に案内され、彼と並んで座る。


「さあ、クレア。好きなだけ飲んで! 料理もたくさんあるからね」

「いいのか、サイファス!?」

「当たり前じゃないか。今回、クレアは本当に頑張ったからね」

「……お前は俺を甘やかしすぎだ。子供じゃないんだから」

「子供だなんて思っていないよ? クレアは大人の女性で、私の大切な妻だ」


 堂々と言われ、またむず痒い気分になった。


「今回は、サイファスのおかげで助かったよ。ありがとな……」

「クレア……ッ! 照れた顔も可愛いっ!」


 頬を薔薇色に染めたサイファスの目が潤み始める。


「ああ、愛しているよ、愛おしい奥さん。君のおかげで、私の世界は広がる一方だ」

「サイファスは大げさだな」

「王都では『クレオ様ファンクラブ』の皆と仲良くできたし、クレオからはついに『お兄様』と呼んでもらえたんだ!! 今までは、誰が相手でも怖がられるばかりだったのに……!」

「よ、良かったな……親しい相手が増えて」


 ちなみに、クレアはクレオから「お姉様」と呼ばれたことなど一度もない。

 そんな呼び方をされたら鳥肌ものだ。

 いろいろ考えていると、サイファスがもじもじし始めた。


「クレア、あのね、屋敷に帰ったら、その……」

「ん? どうした?」

「夫婦水入らずでゆっくり過ごしたいな。というか、一夜をとも……」

 

 彼がそこまで言いかけたところで、二人の間に音を立てて大きなジョッキが置かれる。

 見上げると、アデリオがにこやかな表情を浮かべて立っていた。


「クレア。それ、新作ビールだってさ。店の人がサービスしてくれた」

「うおお! マジか!!」

「それと、執事長の他に引き取った孤児をハクに任せて、ルナレイヴの密偵にするんだろ? しばらくは忙しくなるし、夜はきちんと休んだ方がいいんじゃない?」

「ん? それもそうか……?」


 アデリオはサイファスに意味ありげな視線を送り、自分の席へ戻っていく。

 すぐ近くで、マルリエッタなど他の付き人と一緒に食事しているのだ。

 サイファスに視線を戻せば、ぷるぷると震えながら「手強い……」と呟いていた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新通知が来ていたので慌ててちょっと前から読み返したら登場人物の関係を思い出せず最初から読み返してようやく新規分読めました! アデリオの恋心、全く報われそうになくてセツナス…!!
[良い点] 久しぶりに更新が来て嬉しいです…! いい感じに修羅場っていますね。
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