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不良令嬢と残虐鬼辺境伯の政略結婚!!  作者: 桜あげは 


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67/99

67:残虐鬼、クレオ様ファンクラブに入会する(サイファス視点)

 クレアと二人、王都の宿に宿泊中のサイファスは、頭を抱えながら城下町を散策していた。

 ただでさえ問題が起こっているところへ、クレアが剣術の試合に出ることになってしまったからである。

 サイファスの隣では、男装継続中のクレアが、何食わぬ顔をして歩いている。


 町を散歩していると、時折女性たちがクレアに視線を向け、手を振っていた。

 男装したクレアは、やはり女性から人気があるようだ。

 そして、少し進むと数人の令嬢たちに取り囲まれてしまった。


「クレオ様ぁ! お久しぶりです! 最近、お屋敷から外へ出られないと伺っていたから、心配していたんですのよ?」

「ああ、忙しくてな」

 

 令嬢たちの勢いに押されつつ、クレアは色々誤魔化している。

 

「聞きましたわ! 久々に、剣術大会に出場されるんですって? わたくし、応援します!」

「ありがとうな」

「ところで……」


 令嬢たちは、ちらりとサイファスを見た。


「こちらの方は、どなたですの?」

 

 残虐鬼の名前は有名だが、サイファス自体は国民に知られていない。


「そいつは俺の……友人の貴族だ。遠くにある領地から、剣術大会の応援に来てくれた」

 

 クレアは、サイファスが残虐鬼だということを伏せるつもりのようだ。

 王都では悪名だけが一人歩きしているので、残虐鬼だと言わない方がいいと気を回してくれたのだろう。

 何も考えていないようで、そういうところには気が付くクレアだ。

 そんな姿も、可愛くて仕方がない。

 クレアの言葉を鵜呑みにした令嬢たちは、サイファスに走り寄り、笑顔で声をかけてくる。


「ねえ、よろしければ、あなたもわたくしたちと一緒に応援に参加しませんこと?」

「えっ……」

「クレオ様ファンクラブに、特別に招待いたしますわ!」

「それは……」


 大変興味がある! 

 ……と、サイファスは心の中で叫んだ。


 令嬢に誘われたサイファスは、その場で「クレオ様ファンクラブ」に入会した。

 サイファスに声をかけてきたのは、偶然にもファンクラブの会長だったらしい。

 ついでにマルリエッタも、あとでファンクラブに入会した。


 ※


 試合前日、サイファスはクレオ様ファンクラブのメンバーに呼び出された。

 今は、メンバー全員でせっせとクレオの応援旗を作っているところだ。

 全部で数十名ものクレオファンがいることには驚いた。


 本当は愛する妻と二人で過ごしたいが、クレアがクレオ代理として動いているため、彼女に接触しづらい。

 仕方なく、ファンの集まりに参加している。

 そして、ファンクラブの令嬢たちとは、クレオ(男装クレア)を褒め称えるトークで意気投合している。

 クレアの素晴らしさは、語っても語ってもつきることがない。

 ここにいるのは、全員同志だ。


「あなたたち、なかなか器用ですわね」


 令嬢たちから裁縫の腕を褒められるサイファスとマルリエッタ。

 侍女のマルリエッタはさることながら、サイファスもルナレイヴが貧しかった頃は、料理も裁縫も行っていた。ゆえに家事ができる。

 愛する妻のための綺麗な応援旗が完成するのは、純粋に嬉しいことだった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] クレオ(クレア)様ファンクラブにサイファスが入会! サイファスの女子力の高さ! [一言] クレアもだんだんとサイファスに心を許してきている感じですね。 なのにクレオとして剣術大会に出なけれ…
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