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不良令嬢と残虐鬼辺境伯の政略結婚!!  作者: 桜あげは 


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17/99

17:襲撃の後で(サイファス視点)

「そういえば、サイファス様はお聞きになりました? 赤髪と銀髪の兵士の話」


 夜襲をかけてきた隣国を追い返して夜が明けたあと、サイファスは一人砦で事後処理に明け暮れていた。

 そんなサイファスに、部下の一人が話しかけてくる。

 興味を惹かれたサイファスは、顔を上げて相手の顔を見た。


「なんだい、それは」

「ものすごく強い新人兵士がいるって噂なんです。昨夜の戦いで、赤髪と銀髪の兵士は、新人兵を襲った敵兵をほぼ二人で壊滅させたそうですよ」

「うーん……赤髪や銀髪の者なんて新兵にいたかな?」


 サイファスは新兵の顔を大体覚えているつもりだ。

 だが、赤髪や銀髪の兵士には覚えがなかった。

 赤髪と聞いて思い出すのは、愛おしい妻のクレアだけである。


(彼女の髪は綺麗だ……はあ、会いたい)


 妻の姿を思い浮かべたサイファスは、束の間の幸福に浸る。

 しかし、その直後に銀髪の人物を思い浮かべ、なんとも言えない気分になった。

 クレアの従者であるアデリオは、要注意人物だ。


「大丈夫ですか、サイファス様。なんか、苦虫を噛みつぶしたような顔をされていますが」

「問題ない」


 間男の存在に密かに危機感を抱いているなんて、部下に話せることではないのだ。


「それほどの活躍をした新人兵士なら、私も会って礼を言いたいな。表彰されていいくらいの活躍だ」

「それが、仲間の兵士が彼らを探したのですが……奇襲のあった翌日に忽然と姿を消したらしく、どこにも姿が見えないようで」


 部下の口にした内容に、サイファスは眉根を寄せる。


「調べる必要がありそうだな。余所から混じり込んだ人物なのか、予期せぬ事故に巻き込まれ姿を消したのか……捜索の手配をしてくれ」

「はい。ついでに例のあいつに関して、処罰の決定お願いします」


 やるべきことを思い出し、サイファスの眉間のしわが深くなった。 


「そうだね、まさか戦場で堂々と命令違反を犯すとは」


 部下の言う「あいつ」とは、新兵に無茶な出撃を命じ、自分が我先に逃げた男だ。

 彼は隊長の一人だが、普段から問題行動が多かった。

 それでもサイファスが彼を重用していたのは、ひとえに男の家柄や立場故である。


「扱いづらい相手ではありますが、今回の命令違反で多くの犠牲が出ました。しかも新人に支給する馬の費用まで着服していたようでして。サイファス様、ご決断を」

「わかっている。いくら重要人物だろうが、裏切り行為を許すわけにはいかない」


 また増えた厄介な仕事を思って、サイファスはこめかみを揉んだ。

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