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GOOD LUCK〜十秒だけは異世界最強  作者: 染谷秋文
第1章 彼方から始める異世界生活
11/72

十一、血と吸血鬼とグランと進化

 

 妖精ソフィアと別れ三日。

 カナタとグランの二人は、未だに森の中にいる。


 ソフィアと別れた日、食事を摂ったカナタとグランの二人は、辺りが暗くなっていることもあり洞穴で一夜を過ごした。

 グランからしてみれば夜の森を移動する方が何倍も楽なのだが、カナタの意向を組んだ形となる。

 次の日の朝、飛竜の肉や夜の間にグランが散歩がてら森を歩き持って返ったフルーツや木の実を食べると、二人はソフィアに言われた通りバロンへ向かい始めていた。

 バロンからはカナタの移動速度で数時間の位置にいるのだから、その日の内に着かなければおかしいのだが、待てど暮らせどバロンの外壁は見えてこない。

 気づいた時には再び日が沈み始めており、近くにあった巨木の根を寝ぐらにして一夜を過ごし、その際、巨木を元々占拠していた筋肉質の熊が夕飯となった。

 迷っていることなど知らないグランは楽しそうにしているが、カナタは内心焦っていた。

 少しでも早く美少女に逢いたい一心で、森をかき分け歩き続けたというのに、それが祟り既に方向感覚は失われ、下手をすればバロンから遠ざかっている可能性すらある。

 

 だというのに早朝の森の中、

 カナタは何故か悠然と森を見ていた。


 青々とした空、森を吹き抜ける爽やかな風。

 包むように優しく注ぐ木漏れ日に小鳥や猛獣達の囀り。

 久しく忘れていた、何処か懐かしい気持ちを取り戻したような、そんな感慨に浸っている。


「それもこれも、全てお前のお陰だよグラン」


 つい先日、自分の力に制限がある事に気付いて以降、一歩進む度に命の危険を感じるような恐ろしい森だったというのに、今となっては何とも幻想的な雰囲気を醸し出す美しい森ではないか。

 見たこともない植物、見たこともない生物、味わったこともない食物。

 道に迷ってさえいなければ、バカンスといってもいいくらいであった。


 グランの大きな役割は主に二つ。猛獣や魔獣といった危険な生物との戦闘と、賢者を使った鑑定。


 グランが居れば大抵の猛獣は食料同然。そうなってくれば、本来恐ろしい筈の猛獣の唸り声など小鳥の囀りと大して変わったものでは無い。


 そして、賢者の加護による鑑定。


 この鑑定があることによってキノコや果物など、例え見た目が毒々しい物でも安心して口にすることが出来るようになり、食事に困らないどころか、カナタに至っては日本にいた頃よりも随分と栄養バランスの取れた食生活を送っている。

 一方、カナタの役割と言えば、グランが倒した魔獣から売れそうな素材を剥ぎ取った上で調理することが主となっている。

 昨日、“リィム”という、塩分を多量に含んだ酸味のある果実を発見したことで料理の味が格段に向上したため、当初は事ある毎に木の実や果実を鑑定させられる事に不満を漏らしていたグランも、今では進んで見たことのない食物の鑑定を行うようになっている。

 このリィムという果実は、宛ら塩とレモンを混ぜたような味がするため、特に肉料理との相性が良く、強い塩分を含む為か動物達も滅多に食べることが無いようで、森のそこら中で見ることが出来る。

 その為カナタを襲った怪物鳥、火起こしナイフの原料となる嘴を持つ“ギリル鳥”と並び、リィムは森のサバイバルには欠かせない物の一つと言えるだろう。

 

「カナタ!こいつを頼む!」


 木陰に座って休むカナタの元に、何やら大きな魔獣を頭上に掲げ戻るグラン。

 担がれた生物は全身が甲冑のような形の分厚い鱗に守られ、背中には無数の太い針がビッシリとついている “針千牛”という名の魔牛だ。


「ご苦労さん!って、今日も針千牛か!?」


「ああ、美味いからな!そんじゃ行ってくる!」


 この針千牛は昨日の朝に食べて以来、グランのお気に入りとなった牛で、ハリネズミの様な針と分厚い鎧を纏った凶暴な牛だ。

 “血抜き済み”の牛をカナタに託したグランは、日課としているらしいトレーニングをするために森の中へ消えて行く。


「おう!出来たら呼ぶからあんまり遠くに行くなよー」


 グランは毎晩、食事が終わると散歩に出掛け、朝も日が登る前には目覚めて食べられそうな魔獣を仕留めて戻って来る。

 そして、カナタが食材を調理している間に巨大な岩や倒木を使って体を鍛え、食事をした後は出来るだけ強そうな生物を探しながら歩き、戦いを挑んではまた食べる。

 木陰の無い開けた場所では常に苦手な日差しに焼かれているせいで、火傷と再生を繰り返している状態におかれ、マナの消費が激しいようだ。

 その行動力と相まってか、グランはエネルギーの消費がとにかく激しいようで、恐ろしいほどによく食べていた。

 

 戦っては食べ、食べては戦う。


 恐らくグランの強さは、種族としての強さというよりも、こうして鍛え続けたことで手にしたものなのだろうことは、カナタの目にも明らかだった。


 そんなグランに誘発されたのか、今朝からはカナタも体を鍛え始めたようで、今もグランが朝の食料調達に出ている時間に、ひっそりと筋トレを終え木陰に座って休んでいる最中だったのだ。

 久し振りに朝日に爽やかさを感じ、木漏れ日の暖かさに包まれ幸せな気持ちを味わえるのは、やはりグランのお陰だとしか言いようがない。

 カナタが筋トレをしたからと言ってグランのような身体能力を手に入れられるはずもないが、不落之果実(インビジブル・タイム)においては、一撃の重さに僅かな違いがあるだけでも最終的に発揮される攻撃の威力には大きな違いが出る。

 そのためグランと比較することはせず、自分なりに努力すると決めたようだ。

 

  「うっし、やるか!ここにいると運動後のタンパク質補給には困らないなぁ!」

 

 カナタはそう言うと、だるだるに緩んだお腹を摘んで揺らし、溜め息をついてから不折剣(オルナ)を変形させ“竜包丁”を作る。

 解体や調理の時はとりあえず癖のようにこの竜包丁に変形させているが、やはり要所要所でその形を自在に作り変え使うことに変わりはなく、腹を裂く時には竜包丁の切っ先を丸くして内臓を破らないようにしたり、皮を剥ぐ時もあえて斬れ味を落とす事で、途中で皮が破れるのを防いだり。

 場合によっては斧や鋸、はたまたハンマーなどにも作り変えて作業する。


「ふぅ・・・、とりあえずこんなもんか。それにしても、やっぱスゲェな・・・」


 サイほどの体格がある牛を解体し終えた自分への賛辞ーーーではなく、カナタはグランの“ある力”に関心している。

 さっきまで生きていた巨大な牛を解体したのにも関わらず、その周囲には一滴の“血”も飛び散っていないのだ。



 ーーーー昨日。



「おいカナタ!!なっ、なにやってんだよ!?」


「何って・・・、血抜きだけど」


 グランが離れた隙にギリル鳥に襲われたカナタは、竜包丁で首を切り落として仕留め、不落之果実が解けた後で血抜きを行なっていたのだが・・・、

 何やら異変を感じたのかグランが戻ってきた。

 そして、既に仕留められたギリル鳥に目をやるグランは、流れ出る血を飲もうとも、器などに保存しようともしないカナタを見て騒ぎ立てていたのだ。


「血抜き・・・って、何の為にだ!?勿体ねぇだろ!?」


 勿体ない・・・。そう言われてみればそうなのかも知れない。日本人として生まれたカナタにとって、獣の血というのは、臭みの元であり肉を腐らせる要因になるという印象しかないが、現代でも仕留めた動物や家畜の血を貴重な栄養源として重宝する文化は多く残っている。

 人間ですらそうなのだから、吸血鬼の血が流れるグランなら尚更なのだろう。

 昼間も普通に行動するし、血を吸いたそうな素振りを見たことが無かったため忘れがちではあるが、グランは確かに吸血鬼なのだ。

 まさかグランに食材への敬意の欠如を指摘されるなどとは想像もしていなかったカナタは驚いていた。


「これは肉を保存したり美味く食べるためには必要な行程なんだ。けど、グランの言う通り確かに勿体ない事をしてたよ。反省しなきゃな・・・。それと・・よかったら、飲むか?」


 そう聞いて気難しそうな顔をして何かを考えるグラン。カナタは、自分のせいでグランの気を悪くさせたかと、珍しく反省していた。


「肉を美味しく・・・、だからカナタの作る肉は美味いのか。なら仕方ないな!!」


「いいのかよっ!つぅか血はどうすんだ!?飲むなら早く飲まないと無くなっちまうぞ!?」


「おおそうだった!!飲む飲む!」


 グランは笑顔でギリル鳥の切断された首を咥え、残り少ない血を一気に吸い上げる。

 ズズズゥゥっと音が聞こえて来そうなほど首を咥えて血を吸い上げる姿は、夏の猛暑の中ファミレスでメロンソーダを飲む子供の様だ。

 そして最後の一滴まで飲み干したグランは衝撃の言葉を漏らした。


「おえぇ・・・、不味うぅぅ・・」


「いや不味いのかよ。・・・けど、そうまでして命を大切にしようとするのは凄いことだな。偉いぞ」


「命を大切に・・・?何のことだ?」


「何って・・、血を飲んだことだよ。死んだギリル鳥の命を少しでも無駄にするのが嫌だったんだろ?」


 いただきますの精神を其処まで理解してくれていたのだと一入の感動を覚えるカナタだったが、帰って来た返答は予想外の物だった。


「獣の血なんて不味いもん普段なら飲まねぇよ。ただマナが減ってるから補給しただけだ」


「マナの・・・補給?そういえば、飛竜の血も飲みたがってたし、俺の血も飲まして・・・・。獣の血にもそんな効果があんのか?」


「そりゃ血なんだからあるだろ!?マナは血に混ざって全身に流れてんだから。

 だから肉を食った時もマナが回復するんじゃねぇか」


「へっ、ヘぇぇ、吸血鬼ってそうなんだ」


「まさかカナタは違うのか!?」


「お、おう!多分違うんじゃねぇか?よく分からんけど」


  「そうか・・・、普通の奴は血からマナを回復しないのか・・、なんかおかしいと思ってたんだよ。

  カナタの作った料理は美味いけど、食っても食ってもマナが回復しないからな!

 なんだよ、俺との戦いで無くなったマナを回復するのにカナタが飲んでたんじゃねぇのかよ。だったら弱っちぃ魔獣から何で逃げ回ってんだ?」


 そんな事実があったことなど、カナタは全く知らなかった。そもそも、マナが無くなる感覚も、回復する感覚すらもよく分からない。

 ソフィアが言うのだからカナタがマナを保有しているのは確かなのだろうが、魔法の才能は無いと言われたこともあってか、そういったことはあまり深く考えないようにしていた。

 

「俺は力が戻らねぇと弱ぇっつてんだよ!つぅかーーー、まさかお前、そのせいで最近元気無かったのか?一日中戦ってんのにマナの補給が碌に出来て無かったから」


「そっ・・・、そんなわけねぇだろ!寝れば全快する。ただ今はちょっと小腹が空いただけだ!」


 それがカナタを気遣った嘘であることは明らかだった。


「グラン、俺は血がなくても大丈夫ーーー、というか出来れば飲みたくないし、肉から血は抜きたいんだ。だからこれから魔獣を仕留める時は、血を抜いといてくれると助かるんだが、いいか?」


 そうすれば肉は美味く、腐りにくく、グランはマナを回復でき、お互いにメリットしか無い話だと分かったグランも快く了解したことでこの一件は解決を見たのだがーーー、この話には続きがある。


 グランを吸血鬼だと意識したことで、カナタには新たな疑問が浮かんでいたのだ。


「グラン、ちょっと聞きたいんだがいいか?」


「いいぞ!なんだ!?」


「お前は、人の血を吸いたくならないのか?」


「そんなことか。ならねぇよ。吸ったこともねぇし」


 少しとはいえ、カナタの血を飲んだ事は覚えていないようだ。

 触れてもいいことは無さそうだと、カナタは話を続ける。


「なら、他の吸血鬼は人の血を吸うのか?」


「吸うらしいぞ」


「やっぱりそうなのか。やっ・・・、やっぱり吸血鬼に噛まれると、噛まれたやつも吸血鬼になんのかな??」


「成長して強くなった吸血鬼は、真祖ってのになるらしくて、そいつらにはそんな力が備わるって聞いたな」


「名前が変わるんなら、成長ーーーってか、進化みたいなもんか?

  そうか・・・、真祖に会えば吸血鬼にしてもらえるのか・・・」


「カナタは吸血鬼になりたいのか?」


「そりゃカッコいいし強そうだかんな」


「カナタって・・・アホなんだな」


「何でだよ!吸血鬼カッコいいだろ!?

  つぅか!グランにはそんな力無いのかよ?」


「似たような力なら、あるにはあるーーな。吸血鬼にする力じゃないけど」


「ーーーマジ?」


「おう!まじだ!」


「吸血鬼じゃなくて何に変えるんだよ?」


「俺が今まで血を吸った種族の何か、だ!」


「・・・・・はい?」


「ん?なんだ?」


「え、何それ、マジ?」


「だからまじだって。

  本当に使えねぇんだ、特級魔法のくせに。カナタはいいよなぁ・・、凄そうなの二つも持ってて」


「え?何言ってんのお前、マジで」


「何がだよ」


「どこが使えねぇんだって聞いてんだよ!!それ、鬼チート魔法だから!!」


「チート・・・ってなんだ?」


「反則級にスゲェってこと!」


「反則級・・?はぁ・・・・、カナタは分かってねぇなぁ。いいか?

 俺より強い体を持った奴なんてそうそう居ないんだから、意味ないだろ。 例えばギリル鳥の体を手に入れたって邪魔にしかなんねぇよ。

 それに、わざわざ他人を強くしてやる必要もねぇしーーーー、というか多分、カナタにこの力を使っても人族のまんまだぞ?」


「なに!?どういう意味だ!?」


「吸血の時、俺が血と一緒に吸い取るのは、“種のタネ”。種のタネってのはつまり、種族スキルのことなんだ。

 種族スキルは知ってるか?」


「知らん」


「ーーー種族スキルってのは、その種族だけが持ってる能力や、あとは生まれつき体に備わる武器のことだ。

 竜の牙や爪や鱗、狼の牙や爪や寒さに強い毛皮なんかの体の特徴は全部、種族スキルに分けられるんだよ。

 その種族だけが持ってる能力ってのは、例えば竜族で言えば竜の吐息(ドラゴン・ブレス)とかだな。この前、飛竜がやろうとしてた技だ。

 さっき言った真祖だと、他人を同族に変える力とか再生能力なんかがそれだ」


「うん、やっぱ十分スゲェじゃん。DNAを組み替えるみたいな力ってことね。

 で、何で俺はそれを貰っても人族のまんまなんだ?」


「でぃーえぬ・・・?

 と・・兎に角ーーー、

 種のタネは種族スキルだって言っただろ?加護や魔法と同じように、その力を扱うには相応の才能ってやつが必要なんだよ。

 なのに加護や魔法とは違って、種族スキルってのは、その特定の種族だけが使うための力だ。

 他の種族専用のスキルを使う才能を持ってる奴なんて、そもそもいる方がおかしいだろ?

 種のタネを植えられたからといっても発芽するかどうかは、その本人次第。発芽に必要なのは、才能と努力と運と運の四つだってソフィーは言ってたな」


「他の種族専用の力を使う才能・・・?運と運?なんだそれ、意味分かんねぇ上に全然使えねぇじゃん。何のための特級魔法だよ」


「だから初めからそう言ってんだろ!!」


「だけど仮にも特級魔法なんだし、全く使い道が無いってこたぁたいだろ?」


「どうかな・・・。俺は使えない力だと思ってるけど、ソフィーは違うって言うんだよ。

  カナタは最初の吸血鬼の話を知ってるか?」


「いや、知らん。鶏が先か卵が先かみたいな話か?」


「・・・?それはよく分かんねぇけど、最初の吸血鬼はさ、ソフィーが言うにはーーー


  ーーーいい?グラン。

 この世で初めて吸血鬼になったのはね、ある“鬼族の少女”だったの。


 その少女はある日、何者かに殺されてしまった。

 けれど少女は、この世に魂を縛り付ける魔法によって魂を捉えられ、成仏することの出来ないアンデッドとして蘇ってしまったの。

 鬼族の中でも特に強い力を持っていた少女は、魂を拘束され、死ぬことのない最強の屍兵として、長い間、本当に長い間、利用され続けた。

 けれど少女にはね、本当はずっと自我が残っていたの。

 少女は何年も、何百年も、誰も知らない所で自分を支配する呪いに抗い続けていた。

 そしてある日、少女のそんな戦いは突然終わりを告げることになる。

 少女は遂に、自分を縛り付けていた呪いの力から解放される日がやって来たの。

 そのとき少女が選んだのは、アンデッドの力を跳ね除ける事でも拒むことでも無く、受け入れることだった。


 鬼族の少女はね、アンデッドの力と融合して、鬼族でも、意思のない屍でもない独自の存在ーーー

 

  ーーー“真祖”へと進化を遂げたんだってさ」



「つまりその鬼族の女の子は、アンデッド族という種のタネを取り込んだ事で、進化に至ったと・・・。

 いきなり吸血鬼を飛び越えて真祖になるとかとんでもねぇな。

 んで、真祖には同族を増やす力が備わってたから、吸血鬼が種族として根付くことができたってわけか・・・。

 なら鬼族にはアンデッドの力を使う才能ってのがあるってことなのか?」


「その鬼族の女の場合は、種族変化したわけじゃなくて、取り込んで進化したんだって言っただろ?

 吸血鬼には鬼族の肉体の強さに再生能力まで加わるけど、太陽や聖なる物への耐性を失うから、吸血鬼と鬼族は対等な種族だ。

 鬼族が進化して真祖になったのはそういう訳だな。

 それから、ソフィーが言うにはその女がアンデッドになったからと言って、他の鬼族も進化するわけじゃないらしいぞ。

 仮に鬼族から自力で進化する奴がいても、その進化先に真祖なんてものは無いらしいし、アンデッドの力を取り込めたのは、あくまでもその女だけの才能なんだってさ。

 さっきも言ったけど、重要なのは種のタネを取り込み扱う“才能”を持ってること。

 あと進化出来るほど個人の力が高められていること。つまり“努力”だ。

 それから自分の持つ才能に合った種のタネを取り込むっていう“運”と、その取り込んだ力が自分を高めるほど強い力であるっていうもう一つの“運”。

 その四つ条件さえ満たせば、俺の特級魔法血族之王(ブラッディクラウン)で種族を進化させられるらしい」


「なるほどな・・・。じゃあ、確かにその辺の弱い魔物の血を吸っても意味ねぇし、やっぱ俺には無理そうか。そんな力を使う才能があるなら魔法やまともな加護の一つでも使えそうなもんだし、個人の力を高めるという点が特に絶望的だ・・。

 因みに、生物が自力で進化する方法ってのは?」


「そりゃ自分の持ってる種族スキルを鍛えまくって進化させればいいんだよ。

 加護や魔法も鍛えりゃ強くなんだから、種族スキルも同じさ!

 例えば竜族の鱗は正確には“竜鱗”っていうんだけど、強い竜になると“竜鋼鱗”って鱗を持つようになるんだ。もっと上の鱗だってあるらしいしな。

 そうやって鱗を鍛え、爪を鍛え、牙を強くし、ブレスも体も鍛える。

 そういうのを繰り返して強くなりゃ、いつかは進化すんだろ?

 出来たとしても何百年って時間が掛かるらしいけどな」


「ふ、ふぅん。あらそうですかっと。諦めますよ、はいはいーー。

 けどよ、グランってたまに本当に頭いいのかと思う時あるよな」


「たまには余計だろ!!俺はいっぱい勉強してんだからな!!

  自分の力くらい知っとくのは当たり前だぞ!!」


「まぁそれは認めるよ、お前の努力は凄い。

  ーーーーーん?じゃあさ、お前が飛竜を襲ってたのって、単なる八つ当たりじゃなくて、飛竜のタネを吸うためなのか?少しは竜の力を吸収できるかもーーー、みたいなさ。

 グランだったら竜の力を扱う才能はあるだろうからな」


「まぁ吸えなかったし、吸っても意味無かっただろうから殆ど八つ当たりだけどな」


「・・・すまん」


「なんでカナタが謝んだ?」


「だってそりゃ俺がグランを飛竜のとこまで運べなかったせいだろ?」


「違ぇよ。種のタネは相手が生きてる状態で吸血しないと手に入らねぇんだ。

 吸血の量が少ねぇと、それだけタネに籠る力も弱くなるしな。

 あいつは強かったし、あの時はカナタとの戦いでそれどころじゃ無かったから、わざわざ意味のない血なんて吸ってられねぇだろ?」


「生きてる状態でって・・なんだそりゃ。

  強い奴の血じゃないと意味ないのに、生きてる敵から大量の血を吸うなんて自殺行為だな」


「本当に使えねぇ力だろ?」





「さ、再生能力があって良かったな」

name 蒼井 奏多


特級魔法

不落之果実(インビジブル・タイム)

物質変形(デフォルメイション)


加護

言霊の加護


装備

不折剣(オルナ)


持ち物

宝巾着(トレジャーポーチ)


趣味・特技

料理、見たことが無いものの鑑定、珍しい石や素材の収集、細かな作業全般、妄想


好きな食べ物

ギリル鳥と山菜のスープ、針千牛の生レバー、魚全般、肉全般


嫌いな食べ物

虫全般



ーーーーーー





name グラン・イプシロン

種族 吸血竜鬼ヴァンパイアドラゴニュート


特級魔法

血族之王(ブラッディクラウン)


加護

賢者の加護

火の加護

風の加護


特筆すべき種族スキル

自動再生

血液操作

吸血竜牙

竜鱗

竜爪

竜化



種族的弱点

聖光虚弱


趣味・特技

トレーニング、狩猟、果実の鑑定、異世界しりとり


好きな食べ物・最近ハマってる料理

針千牛のステーキ〜リィムソースと共に、肉全般、虫全般


嫌いな食べ物

苦味の強い山菜

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