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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

無敵の人

作者: もりもり

僕は無敵の人。

暑い中、街中を颯爽と歩き会社に向かう。

半袖のワイシャツが汗だくになるけど気にしない。

僕は無敵の人だから。


ビルの谷間から熱風が顔に当たる。

太陽がじりじりと頭皮を焦がす。

残り少ない髪の毛が焼けてしまうかも、

でも、僕は無敵の人だから気にしない。


昼は一人でコンビニおにぎり、赤飯のやつがお気に入り。

休み時間は一人でネットサーフィン。

一人は寂しいという人もいるかもしれないけど。

僕は無敵の人だから気にしない。


大学卒業して、エントリーシートを何枚も何枚も書き、

ネットエントリーも何十社もしたけど、結局、パ○ナの派遣になった。

元請けは100万・月で請求しているみたいだけど、

僕に入るのは、ほんのちょっと。

僕は無敵の人になるから気にしない。


毎日、毎日、銀行のシステム統合のためのプログラム。

古代の遺跡のように入り組んだコード。

僕は命がけでそれを読み解く冒険者。

終電がなくなると、冒険で傷ついた体をひきづって家まで帰る。

僕は無敵の人、そう思わないとやっていけない。


風の噂で、高校時代の同級生の子供が小学生になったと知った。

あれ、僕がコンビニの店員さん以外の女性と最後に喋ったのはいつだろう?

絵が好きな娘と一度デートして、彼女が勧めた絵を買ったのが最後?

あれから連絡が取れなくなったな。。。

気にしない、気にしない。

僕は無敵の人、女性からも自由だ。


そう言えば、両親がなくなってから地元に帰ってない。

戻っても荒れ果てた実家が残っているだけ、

僕は前しか見ない。

だって、僕は無敵の人だから。


ある日、銀行のシステムが完成した。

契約も終わり、明日から行く場所がなくなった。

僕は新しい冒険を探し始めた。

そうだ。異世界に行こう。

僕は無敵の人だから。


部屋の中のものを売り、アパートも解約した。

あとは異世界に行くだけだ。

素手で戦うのは無理なので、包丁を両手に持って街へ出る。

僕は無敵の人。そう無敵なのだ。


人が悲鳴をあげて逃げて行く。

何か起きたのかな?

冒険者である僕が助けないと。

近づけば近づくほど、皆逃げて行く。

僕は無敵の人、みんなを助けないと。


パトカーとともに、警官たちがやってきた。

僕と一緒に頑張るのかな?

足手まといにならないといいな。

何か叫んでいるけど、サイレンがうるさくて何を言っているかわからない。

パン。パン。

乾いた音とともに、胸に激痛が。

体の中心が熱くなる。

かんかん照りの太陽が僕を祝福する。

僕は無敵の人。

この世界から去るには良い日だ。。。


「緊急速報です。

 本日、午後3時ごろ代々木駅周辺で両手に包丁を持った男が暴れていましたが、

 射殺されました。

 警察によりますと、説得を続けていたが、付近の住民の安全を守るため、

 射殺した。

 手続き上、瑕疵がないと。。。」




実際の事件とは関係ありません。

ただ、氷河期世代をこのままの状況にしておくと、無敵の人が増えて行くのではないかと思います。


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