7 バルト教官ご乱心
1週間只々走り込んだ結果、「身体強化」のスキルを取得しレベル3まで上がった。
「ヒール」についてもレベル3に上がった。
そして今日から武技の訓練になることになった。
「坊主、先ずは体術からな」
「あれ教官、斧とか鉈とかじゃないんですか?」
「馬鹿野郎!先ずは拳と蹴りだよ、俺は手を出さない、攻撃してみろ」
バルド教官は俺に対して普通に立っている、まあ俺と教官の身長差が30cm以上、体型というか体重差は無差別級対60kgだしな。
「じゃあ、いきますよ」
「おう、やってみろ」
俺はまず左足の外脛にローキックを入れる振りをした。
当然躱すと思ったが、教官は自信があるためか動かない。
俺は左足の膝に乗ってジャンプし教官の顎に飛び膝蹴りを入れた。
あれ?入っちゃった・・・
教官はそれ程ダメージはないが、鼻血がスーと垂れた。
「・・・坊主、お前体術やってんだろう」
「一応、ねーちゃんに虐められたと言うか、相手をやらされてました」
教官が鼻血を止めながら俺を睨む
「何年やってんだ?」
「10年ぐらいですね」
「・・・そうか、因みにお前のねーちゃんって、伊藤香葉か?」
「はい」
「締め技とか関節技も」やってるな
「はい」
「・・・もう一回やろうか、セメントで」
教官が笑ってるけど、目はマジだ。
「せ、セメントはやりたくないかなー」
「いや、坊主、勝ち逃げはダメだよな」
「教官、訓練です。教官は教える方、俺は聞く方」
「無・理・だ・な!俺鼻血でちゃったし」
「攻撃しろって言ったじゃん」
「うるせー、ゴングだ!」
あ、マジですか。
いきなり殴ってきた、大振りだから避けれるけど、拳に風が舞う。
俺は当たらない様に拳の反対に避ける。
「てめー、避けんじゃねー」
いや、当たったら死にますから。
あ、冷静になったかな、大振り止めた、良かったー。
て、今度はタックルしてきた。
ダメだ、俺は冒険者課にダッシュで逃げ始めた。
▽
「バルドさん、理由は?」
教官は正座して、佐伯さんは仁王立ちしている、俺は佐伯さんの後ろで隠れてる。
「だってよー、こいつ伊藤香葉の弟じゃねーか」
「だから何よ」
「俺に飛び膝蹴り入れたし」
「攻撃しろって、伊藤さんに言ったんでしょ」
「・・・」
「いきなりセメント始めて、攻撃したんでしょバルドさんが!」
「・・・」
「ごめんなさい、は!」
「・・・」
「・・・」
「ごめんなさい・・・」
「じゃあ、この後はどうするの」
「斧に切り替えます」
「よろしい、では伊藤さん、またバルドさんが切れたらすぐに連絡してね」
「はい、ありがとうございました。佐伯さん」
佐伯さんが冒険者課に戻って行くと、教官が俺に声を掛けた。
「坊主、後でセメントやる「佐伯さーん、教官が」」
「何ー」
「「何でもないでーす」」
教官はブスッとしているが、まあこれで大丈夫かな。
よし、斧スキルの練習だ。