3 幼馴染
俺は朝食と昼用の弁当を作って家を出た。
当然伊藤家全員用だ。
母さんは朝からトンカツ、トンカツと喜んでるけど胃がもたれないんだろうか。
村役場に向かって歩くと、後ろから声を掛けられた。
「あんた、久しぶりじゃない何処行くの?」
幼馴染のタリサだった。
「久しぶりって一昨日あっただろう?」
俺はタリサのお母さんがいるかと探したがいなかった、残念。
「・・・あんた、相変わらず、あたしのお母さんが好きなのね」
「ははは、俺の初恋だからな、それに今でも愛してる」
俺がいけしゃあしゃあと答えるのを見て、ブチ切れてる。
「あんたいい加減に、あたしと付き合ってよ!!」
タリサは可愛いけど、16歳だしな。
あと最低30歳にならないと。
「お前さ、小学生の時から俺を好きって言うけど、無理だな」
「なんでよ!」
おー、スゲー睨んでる。
「俺は前から言ってるじゃないか、熟女以外は対象外だ!」
「本当にあたしじゃダメなの?」
あーあ、毎回毎回この繰り返しだと可哀そうだが、それとこれとは別だしな。
「悪いな」
「金ちゃんのバカー」
タリサが泣きながら走って行く。
タリサを泣かすのはもう何百回目だろう、お陰でタマルさんから怒られるし。
中学校を卒業して、タマルさんに告白してけど断れてしまった。
「金ちゃんのこと嫌いじゃないけど、タリサが居るからゴメンね」
だってさ。
俺はタリサ達の父親になる自信はあるんだけどなあー。
ぶつぶつ呟きながら村役場に歩いて行った。