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2 伊藤家

「ただいまー」


家に帰ってくると、奥から声が聞こえた。


「おかえりー、おにいー」

「お帰りなさい」


居間に入ると母さんと妹がお茶を飲みながらノンビリしていた。


「金ちゃん、どうだった?」


居間に座ると母さんがお茶を出してくれる。


「職業適性検査したらさ、木こりだって」


「木こり?」


俺は貰って来た用紙を母さんに渡した。


「おにいー、木こりって何?」


「何だろうねー、兄ちゃんもよくわかんないよー」


8歳の妹はコロコロ笑ってる。


俺の家族は母さん、23歳の姉、18歳の義兄、そして妹だ。


自慢だが俺を含めて全員美人だ。


特に妹は天使だ。


ぷよぷよ、ぷよぷよ。


「おにいー、なんで愛の頬っぺた突っつくの?」


「愛ちゃんの頬っぺたが美味しそうだから」


「やー、食べらりるー」


「おい、そこのバカ弟妹、鬱陶しい」


やべ、香葉かよねーちゃんが台所から出て来た。


「香葉ちゃん、これ金ちゃんの職業適性検査ですって」


母さんが香葉ねーに用紙を見せる。


「なんだこの『木こり』って、バカ金、お前あたしと同じく戦士になるって言ってただろう」


「せ、戦士も載ってるじゃんか」


「バカ金、適性Eじゃねーか」


「だって4年前じゃんか、戦士になるって言ったの」


「なんだとー「ボク大好きなお姉ちゃんみたいに戦士になるよ」ってキラキラした目で言ったろ」


やめて、香葉ねー、ダメージが強すぎるよ。


「このバカ金、美少年」


「お、俺は成人したんだぞ!美少年はやめろ」


「本当に美少年よねー、母さん羨ましいわ」


母さんやめて下さい。


「おにいは美少年だよねー」


あ、もうダメだ。


俺は愛ちゃんを抱っこしながらノックアウト状態だ。


「だから愛を抱っこすんな!」


香葉ねーが俺の腰にストンピングを開始する。


あ、止めて、下半身に振動が。


「あらあら、香葉ちゃんたら」


母さんがニコニコ微笑み、香葉ねーがドSに喜び、愛ちゃんは単純に喜んでる。


「相変わらず幸せな伊藤家だなあー」


香葉ねーの旦那、義兄のキルスが帰って来た。


「兄ちゃん、た、助けて」


「無理だね、香葉ちゃんがその状態になったらボクでも対応出来ないよ」


ニコニコとキルス兄ちゃんは笑ってる。


クソー、ドS夫婦め!



「「「「「いただきまーす」」」」」


香葉ねーとキルス兄ちゃんが獲ってくれたワイルドボアの生姜焼きと豆腐の味噌汁、ごはんと玉葱とキャベツとピーマンの野菜炒め。


「バカ金の料理は美味いよな、お前を嫁には出せない」


ニコニコ笑いながら香葉ねーが美味そうに食べる。


「俺は男だ、嫁を貰うのはこっちだ」


うちの家族は俺以外料理をしない。


母さんも姉ちゃんも料理音痴で、下手にやらせると死人が出てしまう。


不味いレベルじゃない、100%食中毒になる。


俺は妹に期待しているが、ダメな時は料理好きの嫁さんを貰うんだ。


30歳以上の熟女がいいなあー。


3軒隣りの猫人族の未亡人タマルさん、美人だよなー。


問題はその子供達。


タリサは俺の同級生で、クロスは2歳下の舎弟だけど。


俺がタマルさんと話すと怒るんだよなあー。


「金ちゃん、お母さん明日はトンカツ食べたいなあ」


「・・・わかったよ母さん、だけど野菜も食べてよ」


母さんが美味しそうに食べながらリクエストする。


「えー、野菜食べなきゃダメなの」


箸を噛みながら上目遣いで俺を見る39歳の瑞葉母さん。


20歳代としか見えない。


フェロモン出しっぱなしの母さん、近所のオッサン達のアイドルだ。


だけど俺は知ってる、母さんは腹黒い。


貢いで潰れた男は二桁だ、6年前に失踪した父さんは生きているのだろうか。



「さて、じゃあ伊藤家会議を始めますね」


ニコニコ笑うキルス兄ちゃん、一応家長だ。


ハーフエルフの義兄は回復術師、香葉ねーとコンビで冒険者をやってる。


「金ちゃんの職業適性検査は見たよ、君自体の希望は有るかな?」


「俺は・・・適性SSSなんだから木こりになりたい」


「ふーん、死にたいんだ」


おい!


「バカ金!あたしが養ってやる。うちで主夫やれ」


「あ、いいわね、あたしも3食金ちゃんの料理食べたいし」


香葉ねーに母さん、勘弁してくれ。


「ボクもそれがいいと思うよ、金ちゃんが木こりになったら初日に必ず食われるから」


「そうだよな、キルス」


「おにい、死んじゃヤダ」


愛ちゃんが泣きそうになってる。


「じゃあ金ちゃんは伊藤家で主夫になるという事で」


「おい、決めんな!」


俺はみんなを睨む。


「なに可愛いか顔してんだ、お前村から外に出た事あるか?」


いや無いけど。


「モンスターを倒した事あるか?」


「・・・」


「お前が1人で外に出たら必ず死ぬんだよ」


香葉ねーに言われて、俺は何も言えなくなった。


ダメだ、泣きそうだ。


「・・・金ちゃん、僕達と一緒に冒険者になってみるかい?」


え?


俺はキルス兄ちゃんの顔を見た、いつもと違う顔だ、笑っていない。


「おいキルス!」


「いいから香葉ちゃん、金ちゃんただし2週間訓練所で練習しなさい、お金はボクが出してあげる」


「キルス兄ちゃん・・・」


「2週間後、ボクと香葉ちゃんが金ちゃんが冒険者を出来るか判断するよ」


「ダメだったら?」


「素直に主夫になるか、村の中で仕事を探すことだね」


「・・・わかりました」

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