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旧 リック&レイド  作者: アール・ワイ・オー
第一章 シュヴァリエ聖騎士国 十騎士偏
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護衛騎士カシム

戦闘ばっかりで話全然進みませんTT

 「アクアシェイブ! 」


 カシムがそう唱えると、カシムの手が青く輝きそこから圧縮された鋭い水流がライオネル目掛けて発射された。


 「マッドカーペット! 」


 それに対応する様にライオネルがそう唱えると地面がグニャりと歪みライオネルを守るように波打った地面が水流を遮った。


 カシムは攻撃のてを緩める事無くライオネルに水属性の魔法を放ち続けた。暫くするとライオネルの周りを覆っていた地面が崩れ始めた。


 「土属性の魔法を相性の悪い水属性魔法で突破するとは流石ですな。然しこのまま行けば魔力が先に朽ちるのはカシム殿そなた方ですぞ! ロックブレイク! 」


 カシムの周りから複数の岩の棘が彼を貫こうと飛び出してくる。それを素早い動きで躱し、水属性の魔法を放ち反撃する。カシムは遠距離攻撃で牽制しながら徐々に距離を詰めていく。そして剣が届く間合い入り込んだカシムはライオネルへ剣を一閃した。


 ライオネルはその一撃を受け止めると部下からの援護がない事を不審に思い周りを確認し、驚愕した。


 (これはいったい!?)


 ライオネルの部下達はその殆どが足や体を泥で覆われ身動きを封じられていた。


 「これは土属性の中級魔法ナチュラルトラップ!しかしカシム殿は水属性しか使えぬ筈・・・まさか! 」


 ライオネルは巫女達に匿われているシェリアを見た。彼女は疲れた表情の中に薄っすらと笑みを浮かべた。


 「先ほどの戦闘の際に仕掛けていたというのか。あの魔法は魔力が地面に馴染むまで発動できない上消費する魔力も多い。反面発動すれば強力な妨害魔法。時間稼ぎの為に自分が倒れた後我々の足止めをしようと準備されたものか。通りでシェリア殿の魔力の枯渇が以上に早かった訳だ」


 (私はマッドカーペットで自信の周りの地面をコントロールしていた為助かったという訳か。あれに捕まっていたら私といえどカシム殿相手に勝ち目はなかっただろう)


 内心ライオネルは冷や汗を流した。


 「ここからは一対一の真剣勝負。俺の水属性魔法は貴方の土属性魔法と相性が悪いが貴方はシェリアとの闘いで消耗している。これで勝敗は分からなくなったな」

 「よかろう。その一騎打ち受けて立とうではないか」

 

 カシムとライオネルは互いに剣を構えた。


 両者動いたのは同時だった。


 剣と剣がぶつかり合い火花を散らす。カシムは素早い剣戟でライオネルを攻めていく。それをライオネルは確実にいなして行く。しかし次第にカシムの剣戟がライオネルの鎧に掠りはじめた。


 「噂は聞いていたがまさかここまでとは。十騎士の中でも剣士としては右に出る物がいないとされるヴァールトフェルト殿の唯一の弟子カシムの名はそなたが巫女の護衛騎士なる前から聞き及んでいたが防陣方に特化した我が剣技を持ってしても捌ききれぬとは」

 「俺の名がライオネル殿の耳に届いていたとは光栄だな。それと俺はあの人の弟子じゃない。それに貴方のその守りを貫いた闘いも見事だ。剣を掻い潜って体に攻撃を当てようにも狙いを狭められて思うように急所に当てられず鎧のある部分に誘導される。更に土魔法の強化により体自体が強固な鎧のようだ。死神の盾の二つ名はだてじゃないな」


 カシムはそう言うと距離を取り息を整えた。


 「ここからは出し惜しみなしだ。俺の全ての力を使って貴方を倒す。魔力開放、魔力出力(トリプル)。これで決着だ」


 突如ラムネーゼが叫んだ。


 「カシムそれは使っては駄目なのです!お母様が言ってました!それを使うとカシムの体が持たなくなっちゃうと! 」

 「申し訳御座いませんラムネーゼ様。しかし彼は力を出し惜しみして勝てる相手ではないのです。シェリアはリリアラ様と貴女を守る為命を懸けて戦った。次は俺の番なんです」


 それを聞いて飛び出そうとするラムネーゼの手をリリアラが掴んだ。


 「ラム、カシムを信じましょう。大丈夫ですよ彼は強いんですから。それはラムが一番よく知っているでしょう? それにいざとなったら私達の神聖魔法で守ってあげればいいんですから」


 リリアラがそう言いにっこりと笑うとラムを抱きしめた。


 (お姉さま震えてる。当たり前だお姉さまだって怖くない訳がないのです。けどラムの事を怖がらせない為に必死に我慢しているんだ。私も我慢しないと! )


 ラムネーゼは顔を上げ同じようににっこりと笑って言った。


 「ハイ!ラムもカシムを信じるのです。なんていったってラムの自慢の騎士なんですから! 」


 ライオネルは目の前で魔力を滾らせるカシムを見、笑みをこぼした。


 「凄まじい魔力だ。だがそなたは魔力量自体が少ないと聞いた。魔力出力の限界は個人差がありカシム殿は最大出力である(トリプル)の使い手と見た。しかし自分の魔力に釣り合わない過剰な魔力の使用は命に関わる。だが、今ここでそなたの捨て身の大規模魔法を真面に食らえば私もたおれるだろう。それに私は魔力は多いが魔力出力は(ダブル)止まり故に大規模な最上級魔法は放つ事ができん。それ故相性がいいとはいえ魔法での相殺は望めないだろう」


 一旦言葉を区切りライオネルは息を吐き再び口を開いた。


 「だがこのライオネル断じて引きはしない。グランドフォース!大地よ我に力を与えよ! 」


 突如ライオネルの体が黄金色に輝きだしその魔力で大地震える。


 「そして我が剣パイルヴァイパーよ我が魔力を糧としその力を振るえ! 」

 「出たな、ライオネルの必殺の魔法剣技。ここからが正念場だ」


 魔力を漲らせたカシムがライオネルに魔法を放った。


 「受けろスパイラルイマージョン! 」


 ライオネルの周りに渦まく水の柱が複数現れ凄まじい勢いで襲い掛かる。ライオネルは剣を地面に突き立てると激しい破壊音と共に地面もろとも水柱を吹き飛ばした。


 「魔法剣は貴方だけの技じゃない蒼波斬! 」


 高速で振動する水を纏った剣でカシムはライオネルに切りかかった。一文字を綺麗に描くように放たれた剣はライオネルの黄金の魔力を纏った剣で止められた。カシムは距離を取ると再度魔法を放った。


 「食らえ!コンティニティアクアシェイブ、更にハイドロブラスター」


 カシムの手から複数のアクアシェイブが連続で繰り出され、ライオネルは遅い来る水流を剣で全て弾いていく。その後カシムは休む暇なく両手をライオネルの方へと翳しその手のひらから強烈な水の波動を発射した。恐ろしい勢いでその波動はライオネルへ激突した。


 「なんという魔法だ・・・だが我が剣の前では無力! 」

 

 なんとライオネルはその剣でハイドロブラスターを叩き切った。


 「流石に驚いたな。俺のハイドロブラスターを叩き切るなんて・・・しかし今の時間で準備は出来た。俺の最強魔法をお見舞いしてやる! 」


 ライオネルがハイドロブラスターを凌ぎ一息付こうとした時物凄い魔力をカシムの方から感じた。


 (一息入れる時間もくれませんか。いいでしょう次で決着です)


 「我が最強の奥義で其方の最大魔法を打ち破ってしんぜよう。これは先ほどの比ではないですぞ。我が魔力を吸い覚醒した我が剣とグランドフォースにより極限まで強化された我が肉体から繰り出されるグランドスレイヴをうけてみよ! 」


 ライオネルはカシム目掛けてその名の通り大地を粉砕しながら突き進む巨大な斬撃を放った。


 「全てを呑み込み巻き潰せ!水属性最大級魔法メイルシュトロム! 」


 一方カシムは平原が削れて真っ平になるほどの唸り荒れ狂うまるで、嵐そのものが集約された様にも見える水の塊を発生させ、それをライオネルへと放った。


 巨大な斬撃と荒ぶる水の塊が激突し辺り一帯が悲鳴をあげる。大地は抉れ風は衝撃により吹きすさびそれにより大気そのものが振動する。


 振動が止み辺りが静かになる。


 乾いた音がした。そこにはカシムが青い顔をして倒れていたのだった。一方のライオネルは剣を突き膝を笑わせながらも立っていた。


 「ぎりぎり防げたようですな。もう少しであの嵐の様な水の塊に呑まれ挽き肉になる所でした。カシム殿は魔力欠乏症によりもう闘えないでしょう。我々の勝ちですな」


 ライオネルはそう言うとリリアラ達の方にゆっくりと歩を進めた。


 



 




 

 


 



 


 

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