巫女を守りし騎士
「何故戻ってきたのですか!? 」
シェリアは驚愕の表情で突如目の前に現れた人物にそう言った。
「やはり私には大事な友人であり、姉の様に慕っている貴女を見捨てて逃げる事なんてできません!」
シェリアの前にはリリアラが庇う様に両手を広げ立っていた。リリアラの前には光で出来た壁の様な物が展開されており、ライオネルが放った技はこの壁に防がれたようだった。
「流石巫女様の神聖魔法、私の最大の技を防ぐとは参りましたな」
そう言いつつも余裕の表情は崩さないライオネル。
「お姉さま~ラム達も戦います! 」
声のする方から先に行った筈のラムネーゼとカシムがやって来た。
「カシム、何故戻ってきたのだ!?私の覚悟を無駄にする気か!?」
「俺だって止めたさ。けどリリアラ様は俺の隙を付いて勝手に行ってしまわれるし、ラムネーゼ様は自分達の事なのにリリアラ様やシェリアに守ってもらって自分だけ逃げるなんてできない、と行って足を止めて進もうされなくて如何し様もなかったんだよ。それに俺だってお前と同じ巫女を守護する騎士だ。お前の覚悟も分かる。だが覚悟なら俺にもある、ラムネーゼ様が決めてここに戻ってきたからには俺も命を懸けて戦う。お前一人に格好はつけさないぞ」
カシムは笑顔でそう言うと、腰の剣を抜き放った。
「巫女の護衛騎士が二人に巫女が二人、確かに先ほどに比べれば捉えるのは厄介になりましたな。ですがそもそもこの状況は我々が当初から考えていた状況に過ぎず驚く事など何もないのです。盛り上がって居る所申し訳ないのですが、我々二番隊の精鋭達とこのライオネルが居る限り貴方方に勝ち目はない」
ライオネルは背中に背負っていた物を取り出すと再び口を開いた。
「これはシュヴァリエに伝わる魔道具。神聖魔法に反応し魔力を削る特性がある剣、過去に力が制御できない未熟な巫女の暴走を止める為作られたこの魔道具ですが、まさか巫女を捉える為に使用する羽目になるとは誰も思わなかったでしょう」
「そんな物まで持ち出してくるとは・・・・・・しかし我等巫女の護衛騎士を嘗めないで欲しいな。これでも俺は守護結界を張り、外敵からこの国を守ってくださる巫女様を守護する役目を騎士王様から任じられている身。そもそも巫女様の力は国の為の力。巫女様のお力を借りずとも窮地を脱する事が我等の役目。我等巫女様を守護する騎士が生半可な実力で選ばれる物ではないという事を証明してやる! 」
「シェリア、お前は暫く休み少しでも体力を回復しておけ。ラムネーゼ様、リリアラ様、俺がライオネルを倒すまでの間、結界を張り周りの雑兵攻撃を凌いでおいてください。その間ライオネルは絶対に近づけさせませんから」
カシムはそういい残すとライオネル目掛けて駆けていった。
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