真の戦い
メルティアは横薙ぎに腕を振り抜いた。
それに対し、リックは縦一文字に剣を振り下ろしメルティアの拳とぶつけ合う。
凄まじい衝撃が迸り、辺りの大地を揺さぶる。
リックの身体から青白い光が放出され、次の瞬間光速の速さで自身の残像を残しながら動き、メルティアに足払いを放つ。
メルティアは即座に反応する。
その場からノーモーションで飛翔し、攻撃を躱す。
リックは追撃しようとするが、辺りの異変に気付き咄嗟に防御の態勢へと移る。
リックの周囲には、三つの巨大な火の玉が出現しており、一斉に彼へと襲い掛かった。
「魔闘演武・爆裂の拳!!」
メルティアは未だに爆炎が立ち上るリックのいる場所へと拳を突き出し、そう叫ぶ。
直後、メルティアの拳から無数の炎の拳が出現し襲い掛かる。
凄まじい勢いでそれは着弾し爆裂していくき、次々と放たれる炎の拳は大地を吹き飛ばしていく。
「一発一発がなんて早く重い攻撃なんだ。流石十騎士と言ったところか。だが俺もやられっぱなしじゃないぜ!」
いつの間にかメルティアの上空へと移動していたリックは空中を蹴り急接近する。
「《シュレイドル・ホライズン》」
リックと彼の持つ剣が光を帯び、メルティアの四方を移動しながら斬撃を放っていく。
メルティアは手の甲でそれらを受け、ガードしていく。
リックはメルティアの周囲四方向から一撃ずつ、剣戟を放つと、最後に回転切りを放った。
すると今まで剣戟を放った四方から斬撃の残光が現れメルティアを襲った。
「魔闘演武・炎の舞!」
メルティアは華麗に踊るかの様に体を回転させ拳に纏った炎で身を守る様に周囲に振りかざす。
地面をも溶かす程の熱量を持った炎の渦が発生し、リックの放った斬撃とぶつかり合い相殺した。
それらの攻防は戦闘が始まってから、たった10秒程の間に行われた事であった。
「やっぱ、闘いはこうじゃなきゃな」
リックは笑みを浮かべながらそう呟いた。
「私も久々に本気を出せて嬉しい。星がプロテクトを張る闘いなんて人魔対戦以来」
メルティアがそう言い辺りを見回すと、周囲の大地から不可思議な光が溢れ出ていた。
「俺もこんなに激しい闘いは久々で不謹慎かもしれないが楽しくてしょーがねーよ」
「私も楽しい」
「十騎士にそう言ってもらえるとは光栄だね」
メルティアは無詠唱でヴォルカニックヘイルを発動し、次々にリックへと放つ。
それに対し、リックは斬撃を連続で放ち打ち消していく。
メルティアの魔法と武術を組み合わせた、魔闘演武に対し、リックはブレイブハートによる光速の剣技で対抗する。
二人の勢いは衰える事なく、激しさを増していく。
二人の周りは荒れ果て、気づけば巨大な穴だらけになっていた。
しかしそんな攻防も終わりを迎えようとしていた。
「《バスターフレイム》!!」
一筋の圧縮された熱戦がリックを襲う。
「《反魔光烈陣》」
リックが地面に剣を突き刺すとその周囲に魔法陣の様な物が出現する。
そして、熱戦がリックに直撃する直前にその魔法陣の様な物が激しく輝きそれを防いだ。
「隙あり」
リックが反応するよりも少し早く近づいたメルティアが拳を放つ。
「イフリートの持つ力を最大限に活かす、私の最強の拳。これで終わり」
「爆裂の超絶拳」
先程のスターブレイズ以上に輝く炎の拳が放たれる。
それらは光速のスピードを超え、この世界の調和、秩序を乱す速度で打ち込まれる。
辺り一面は吹き飛び爆裂する。
星が悲鳴をあげるかの様に大地から溢れ出ていた光が一層強くなっていく。
ライラの屋敷裏にあるこの森の南方面を全て破壊するかの様な勢いで炎の拳は止まらず放たれ続ける。
木々や地面は爆ぜやがて辺りには草一本残らなくなっていた。
ラムネーゼのいた場所以外は綺麗に全てが消え去り、緑色の神々しい光が溢れ出ているのみだった。




