真の戦い 開幕
メルティアの大規模魔法により、大地が軋み激しく揺れる。
メルティアは無表情ながらにして、降り注ぐ業火を目にしながら勝利を確信していた。
一方その頃、レイドはルナとリリアラを連れリック達とは正反対の北方向へと森の中を進んでいた。
「向こうは随分と派手にやってるようだな」
レイドは大地の揺れと、自分達の進んでいる方向とは反対方向に広がる南側の空の変化を感じながらそう呟いた。
リリアラはそれに対し不安を履くました声で返した。
「ラムネーゼ達は大丈夫でしょうか・・・」
「絶対大丈夫よ!リックは見かけは軟派でちょっとスカした感じだけど、腕は立つし信用出来る奴よ」
ルナはそんなリリアラに対して明るく声をかけた。
しかし、追っ手を足止めする為にシェリアを置いてきたと理由もあり、リリアラの表情からは不安が消えなかった。
そんなリリアラに今度はレイドが声をかける。
「シェリアが追っ手と対峙すると言い、あの場所に残ってから時間が経ったがあれから誰も跡をつけて来るものが来ない事を考えると、シェリアは上手くやれたと考えてもいい。それに彼女の事は君が一番よく知っている筈だ。あんな追っ手如きに遅れは取らないと言う事を」
一拍の間を開けレイドは続ける。
「事は君が考えているより上手く運んでいると思う。それにルナが言うように向こうにリックがいる以上向こうに勝ち目はない。何故なら彼奴は世界に祝福された男のなんだからな」
レイドのリックに対しての台詞にリリアラはどうゆう事なのか理解ができないと言う顔を向けた。
リリアラもリックが強いと言うのはしっている。
しかしルナもそうだがいくら強いと言っても相手はあのシュヴァリエが誇る最強の騎士達、最悪十騎士だって出てきているかもしれないのに何故そこまで断言できるのか、と。
「前も言ったが彼奴は光属性魔法の使い手だ。この世界中探しても彼奴以外誰も使う事が許されない唯一無二の魔法。今はそうとしか言えないが、それを意味するのが何なのかはここを無事凌いだら話そう」
リリアラはレイドの言葉を理解は出来なかったが何れ話してくれると言う事で納得することにした。
何よりレイドとルナ言葉には唯仲間だから信用しているだけとは言えない、形容し難いが何か絶対的な物を感じとり、それ以上は追求せず今は先に進むことだけを考える事にした。
場所は戻り、森の北方向ではメルティアが臨戦態勢を取りある人物と向き合っていた。
「さっきのはマジでビビったが、あれで仕留められなかったのは痛かったな。もうあの魔法は俺にゃ通用しないぜ」
そこには不敵に笑い、ピンピンしたリックの姿があった。
「流石に驚愕だった。巫女様を巻き込まないよう。範囲を絞ったとは言え威力は申し分なかった筈。見ていた様子だと英雄殺しの効果も聞いていた。どうやってディスティーハーダを防いだのかはわからないけどあれで無傷なのは私の頭の中の知識じゃ理解不能。取り敢えず解ったのは貴方は本気を出さないと駄目みたいと言う事」
メルティアはそう言うと、何らかの武術であろう構えを取る。
「業炎双腕のイフリート」
メルティアがそう呟くと、それに反応し彼女の両腕、両手に今付けている鎧の籠手よりもふた回りは大きな灼熱を纏った真紅の籠手が出現し装着される。
それを見てリックは口を開く。
「それがあんたの神器か」
「そう。全てを灰燼に化す灼熱の神器、イフリート。これを付けた私と闘って生きていたのは私と同じ十騎士だけ」
「楽しくなってきたぜ」
そう笑み見せるとリックはもう一言、言葉を続けた。
「俺もその本気に答えるとするか」
そう告げるとリックは腰に差していた、剣を抜きはなち構える。
その剣は神々しい光を放っており、青と金で彩られた刀身は美しくも鋭い冷たさを持っているかの様だった。
「ここからが本番だ」
「次こそ本当に貴方の終わり」
両者は同時に駆けぶつかり合った。




