レイドとリックとルナ
主人公登場です
緑の国リンドベルン。
自然豊かなこの国は独特な文化を築いている。
その中でもここ、リーザルの街は一目で他の街との違いが分かる。
森の中にできたこの街は木の上に家を作り、木と木の間に橋を架けて移動できる用にしている。
この様に造られているためこの街は殆ど伐採などをせず、森の形を保ったまま人々が生活出来る様になっている。
この街は観光客の多い、リンドベルンの中でも特に観光名所とされている場所、故に人の数は多いのだがその中でも浮いている人物達がいた。
一人目は金色の髪を持ち綺麗な碧眼の持ち主の青年、二人目も同じく青年だがこちらは深く濃い黒髪に鮮血の様な赤い目をしている。
三人目は藍色の癖一つ無い髪を腰まで伸ばし、誰が見ても美しいと言うと思えるほど整った顔をした女性であった。
「ハァ、やはり何処に行っても俺達は目立っちまうんだよなぁ」
リーザルの中でも有名なカフェで、名産のリーザルバウムクーヘンを頬張りながら金髪の青年がいった。
「俺の黒髪やお前の淀み一つない金髪は目を引くからな仕方のない事だ。この無駄美人も居るし余計だろう。それに今に始まった事でもない、気にした所で仕方のない事だろ」
黒髪の青年がそう言うと、無駄美人と言われた女性が怒り混じりな口調でいった。
「無駄は余計でしょ!普通に美人って褒めればいいのに素直じゃないんだから」
「所詮容姿など当てにできないって事だ。いくら美人でも自分で美人と言い張るような残念な中身じゃあな」
黒髪の青年はそう言い終えるとやれやれといった様子でフッと鼻で笑った。
「私の中身が残念ですって!人間性に関してあんたにだけは言われたくないわね! 」
女性が黒髪の青年と言い合いを始めるのを、金髪の青年は穏やかな表情で見ていたのだった。
暫く時が経ち、一向はリーザルを後にしていた。
「ねえリック、このまま森を抜けて暫くしたらシュヴァリエに着くんだよね?」
藍色の髪の女性の質問に金髪の青年が答えた。
「ああ、ここから真っ直ぐ進みこの街道を抜け森を出たら直に国境だ。そこから少ししたら村がある筈だから今夜はそこに泊まる予定だ。今日もルナが大嫌いな野宿をせずに済みそうでよかったな」
今度は黒髪の青年が口を開いた。
「今回はあまり騒動に巻き込まれる事なくここまで来る事ができた。このまま何事もなくシュヴァリエに入れたらいいけどな」
「ちょっと、嫌な事言わないでよ。レイドのそう言う発言の後って大体悪い事がおきるんだから。しかも私の簡易占いでも凶ってでてるし・・・」
レイドと呼ばれた黒髪の青年はルナの不安そうな言葉を聴いて余裕の表情で答えた。
「大丈夫だ。俺とリック、それにお前が居れば大体の厄介事は解決する。そもそも俺達の旅は各地の厄介事を解決するのが一種の目的みたいな物だろ?それになんだかんだ言って一番旅を楽しんでるのはルナお前だろ」
そう言うとレイドはルナのでこを指で弾いた。
「そうかもね」
ルナはでこを押さえながらそう言うと先を歩いている二人の頼もしい背中を追いかけるように再び歩き始めた。
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