表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旧 リック&レイド  作者: アール・ワイ・オー
第一章 シュヴァリエ聖騎士国 十騎士偏
17/24

カシムとシェリアの覚悟

日も沈んだ頃、皆はライラの提案により屋敷に泊まる事になった。

夕食を済ませ各々用意された部屋に案内され各自、体を休めて居た。


そんな中、シェリアとカシムは巫女二人を部屋に残しライラの執務室に来て居た。


「貴方達の事情が分かった以上、私は協力しようと思います。しかし、私はここを離れる訳にはいかない。私がここを離れればシュヴァリエは愚かこの大陸に人が住めなくなってしまう恐れすらありますから」


ライラの言葉にシェリアもカシムも何も言う事が出来なかった。


「本来ならば私が自らシュヴァリエに戻り真相を突き止めたいのですが、現状それは不可能です。ですから私の代わりに貴方達に真実を明らかにしてもらう他ありません。幸いな事にあのリック君達は我々に協力してくれると言ってくれている事ですし、戦力の面で言っても貴方達の話から推測するに副隊長を倒す実力がある以上は申し分ないでしょう」


ライラが言い終えるとシェリアは苦い顔で口を開いた。


「ですがやはり、十騎士が出て来るとなると私達ではどうしようもなくなる。カシムと私の実力は副隊長格とほぼ互角と言った所。二人掛かりで挑んでも勝つ事が出来ないのは明白です」


そう言うシェリアにライラは優しく言葉をかける。


「何もそう急ぐ事はないでしょう。追っ手も私の居るこのグリンペレーにはそうは入ってこないでしょうし。巫女様二人はここで匿う事にするとして、貴方達二人にはここで少しばかり特訓して貰おうと思います」


カシムはその言葉に驚き声を上げる。


「お言葉ですがライラ様、俺達がほんの少し特訓した所で何も変わらないと思います。これでも俺達は既に完成された騎士。ここからの成長は厳しい物があるでしょう。それもこの様な事態の中我々が成長するまで特訓している時間はありません。レムネリア様や二人の巫女様達も助けなければいけないと言うのに」


カシムの発言に確かにその通りだな、と言うシェリア。

そう言う二人にライラは先程までの優しさを露散させ、厳しい口調で言った。


「貴方達青二才が完成された騎士とは笑わせてくれますね。自分の限界を自分で決めてしまう事ほど愚かな事はありません。今のまま戦えばまた同じ様に敗れ捕まるでしょう。それともリック君達を当てにして全て押し付ける様な無責任な考えをしているんじゃないでしょうね?」


ライラの言葉に二人は俯き唇を噛み締めた。


「今から貴方達二人には短期間で強くなれる可能性を示してあげましょう。しかし、それは想像を超える苦痛を伴うでしょう。貴方達にそれを耐え抜き自らの力で巫女様達を守り抜き、十騎士に剣を向ける覚悟があるか見定めます」


ライラがそう言うと、シェリアが口を開いた。


「もし本当に強くなれると言うならやらないと言う選択肢は私にはない!レイチェル様とルルリーゼ様達のお陰で私とリリアラ様は救われたのだ。私がその特訓で強くなり助け出せる可能性が少しでも大きくなるならどれだけ辛かろうとも耐え抜いてみせる! 」


シェリアの言葉にカシムも続く。


「シェリアの言う通りだ。本当に強くなれると言うのなら何だってやりますよ。俺はラムネーゼ様を守りレムネリア様を救う事が出来るのなら命だって投げ出す覚悟も出来ています。だけど俺もシェリアもリック達に助けて貰わなければ巫女様共々捕まる所だった。確かに彼等を頼ろうとしていた気持ちが無かったと言ったら嘘になります。でももう俺達は負けたくない。負けられないんです!今度こそは俺達の力で巫女様達を守り救い出したい! 」


ライラはそんな二人を見て、いいでしょう、と言うと続けて話し始めた。


「その覚悟本物かどうか分かるのはこれからです。二人にはそれぞれに合った別の特訓を用意しますから、それぞれメニューをこなして貰います。早速今から始めますから付いて来てください」


そう言うとライラは二人を連れて部屋を出るのだった。





一行がグリンペレーに到着してから10日が経っていた。


レイドはルナとリリアラと共に屋敷近くの広場にやって来ていた。

周りには誰も居らず、辺り一面は落ち葉で埋め尽くされている以外は特に何もない場所であった。

そこでレイドはナイフで指先を切り、自らの血を使って呪術を発動していた。


「どう?まだ弾かれる感覚はある?」


そう問うルナにレイドは答える。


「やはり少しはまだ抵抗がある。だが以前よりは大分マシになってきた。この調子だと元に戻るのも時間の問題だな」


そう言うレイドにルナは苦笑しながら言った。


「レイドって元々無愛想だから見た目だけじゃわかんないのよね」


レイドは手元にある自分の血の付いたナイフをしまった。


ルナは表には出さないがレイドの事を心配していた。

レイド達がこの大陸に着いてから間も無くの頃、訪れた街で悪事を働く輩を退治した事があった。


その親玉は今では滅多に居ないとされる呪術師だった。

その呪術師はレイドと違い正規の手順を踏んだ方法でしか呪術が使えなかったが(それが一般的には普通)かなり熟練した使い手であった。

しかしレイド達を前に追い詰められた時、自らの命を生贄にして強大な呪いを放ってきた。

その呪いは人の感情を永遠に奪い廃人にしてしまうと言う恐るべきものだった。


レイドはその呪いを一手に引き受けリックとルナを守った。

幸いレイド自身が呪術使いであり、耐性があったのとリックが咄嗟に放った呪いを弱める光属性魔法により廃人になる事はなかった。


しかし、レイドが呪いを受け喜怒哀楽の感情がなくなってから、暫く時が経つまで言葉を発する事すらなかった。


時間が経ち少しずつ感情が戻ってきている事が分かった時ルナは内心嬉しくて、彼に隠れて涙を流したがレイドには内緒である。


しかしまだ万全の状態ではなく問題は残っていた。


例えば、レイド達がリリアラ達を助ける時、いきなり飛び出したり、躊躇なく騎士の首を刎ねたりしたのも感情がまだ回復しておらず感情が不安定だったのが原因だった。


しかし元々好きであった料理や、ルナやリックとくだらない話をする時に湧き上がってくる感情をレイドは感じ取っていた。


自分で感情が戻ったかどうかと言うのは、どうにもハッキリ分かるような物ではないらしい。

なので今レイドは自分に掛けられた呪いがどれ程解けたかを確認する為に、この広場で自らに呪いを掛けて確かめていたのだった。


呪いと言うのは既に呪いに掛けられている者に掛けた場合効果が薄れるのだ。

更に先に掛けられている呪いが強力であれば他の呪いを全て弾いてしまう事すらある。


レイドに掛けられた呪いは物凄く強力な物だったのでこうして自分を呪う事によってその反応で確認しているのだった。


その様子を見ていたリリアラはルナからその話を聞かされ、一人納得していた。


(そんな理由があったのは驚きでしたけど、やはりレイドさんは仲間思いのいい人と言う私の推測は当たっていましたね)


リリアラはそう思いながら、レイドとルナを眺めていた。




読んで下さりありがとうございますm(__)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ