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旧 リック&レイド  作者: アール・ワイ・オー
第一章 シュヴァリエ聖騎士国 十騎士偏
13/24

レイド観察日記

レイド達一行はリンドベルンに入り、十騎士の一人であるライラの居るグリンペレーを目指していた。


 カシムが目覚めた後、彼が気を失っている間に起きた出来事を説明し、レイド達に協力して貰う事を改めて巫女一向は決めたのであった。


 レイドは森の中の道を進みながら、普段は頭に付けているゴーグルを指に引っ掛けくるくると回しながら、一行の先頭を歩いていた。


 そんなレイドの後ろをリリアラは観察しながら付いて歩いていた。


 彼らの能力の説明を聞いた時驚いたが、それよりも彼らという人間に興味を持った。


 巫女という立場上神殿の中に引きこもっていた為、外に殆ど出た事の無かったリリアラは自分が世間知らずという事を少なからず自覚していた。

 しかしそんなリリアラでも彼らは異様だと思った。

 だからこそ興味を持ったのだとも思っていた。


 特に彼らの中でも一般的に魔力を持たず無能者とされる黒髪を持つレイドが、どの様にして今の様な強さを身に付けるに至ったのか興味を持った。


 レイド達と出会ってから現在までの間、四日が経過していたが、その間リリアラはレイドの表情が変わるのを片手で数える位しかみていなかった。

パンクな柄がデザインされた白いシャツと血の様に真っ赤なマント以外は、皮で出来た黒のジャケットや黒のズボンなど殆ど黒で統一されたその風貌も目を引くが、それ以上にリリアラは彼の独特な雰囲気に好奇心を向けていた。


 ほんの偶に微笑む以外は常に感情の読めない無表情のレイドに、リリアラはここ数日間の間話しかけていた。

 少しでも距離を縮める為に何度も話しかけたのだが、その試みは見事失敗に終わっていた。


 ここ数日間でリリアラがレイドについて分かった事は極僅かであった。

 

 しかし少ない情報の中でもリリアラにとって嬉しいことがあった。


 レイドはリックとルナと話している時、一見何時もと変わらない様に見えるのだがほんの少しだけ優しい表情をしているのがリリアラには分かった。

この事を踏まえ、その他の小さなやりとりからレイドは二人の事を心から信頼していて、他二人も彼の事を信頼していると思った。


 他人の事を心の底から信頼し、自分も他人から信頼されるレイドをリリアラは表面上では分からないが、芯の通った心の持ち主だと思った。

 会って間もない上、時には口で貶しあっている彼等だが自分とシェリア、そしてカシムとラムネーゼがそうである様に彼らも深い絆で結ばれているのだとリリアラは核心していた。


 リリアラは無表情のレイドを観察しながら心の中でそんな事を思っていた。


 レイドは後ろでそんな事を思われているとも知らず無表情ながらにそろそろ腹がへってきたな、などとのんきな事を考えていたのだった。


 

 日が暮れ始め、辺りが薄暗くなってきた頃、一行は野営の準備を始めた。


 「レイドお兄ちゃん!今日の夜ご飯は何なのですか? 」


 食事の準備をしていたレイドにラムネーゼが尋ねてきた。


 「今日はシチューだ。それも唯のシチューじゃない、ここリンドベルンのオーミの街で育てられている特産のオーミ牛の肉を使い更に牛乳も同じオーミで育てられた乳牛から採った物だ。野菜もここまで来る途中リンドベルン内で購入した物だから新鮮だ。その上この俺がその食材を使い調理するんだ最高に美味いに決まっている 」


レイドが珍しく饒舌に説明するとラムネーゼがはしゃいだ。


 「おねえさま!聞きました?!今日もごちそうです! 」


 「ええ、レイドさんとリックさんの料理は毎回美味しいですから楽しみですね」


 リリアラはそういえば料理の事になるとやけに熱くなる所も普段とギャップがありましたね。と心の中のレイド観察日記に書き込むのだった。


 そしてシェリアはいつも通りの平静を装いつつも心の中で必死にあふれ出る涎を我慢していた。


 (いかんぞ私!いくら料理が美味しそうだからと、はしたない! )


 そんなシェリアを見てこっちはこっちでギャップがありましたね、と苦笑いするリリアラだった。


 突然カシムが言い辛そうな顔をして口を開いた。


 「俺牛乳駄目なんだ。その・・・すまん」


 リックが驚き、声を上げる。


 「お前牛乳も駄目なのか?!昨日は蜂蜜が食えないって言ってたよな? 」


 「もう!カシム好き嫌いはダメなのですよ!ラムも野菜は苦手なのです。でもリックさんやレイドさんの料理は美味しいから食べられるのです。だからラムよりも年上のカシムが食べられない訳がないのです。ラムはそう思うのですよ」


 ラムネーゼにお説教され項垂れるカシム。それを見ていたシェリアが愉快そうに笑う。


 「カシムよ。ラムネーゼ様にこう言われては好き嫌いを直すしかない様だな。いい大人がいつまでも好き嫌いが多いままでは恥ずかしいだろう。良かったじゃないか直す良い機会を与えてもらったのだから」


 「うるさい!シェリア、お前は逆に昔から何でも食べすぎなんだ! 」


 そんな言い合いを始める二人を余所目に、いつの間にか出来たシチューを食べ始めるレイド達五人であった。


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