夢の中の記憶
それは暖かな木漏れ日が差す穏やかな昼間の事だった。一月前母親から巫女の座を引き継いだラムネーゼは午前中の職務を終え、母親であるレムネリアの居る屋敷へ向かっていた。
少し疲れを見せるラムネーゼをカシムは心配していたが、巫女という立場上滅多に取れない親子の時間を大切にしているラムネーゼに無理やり休みを取らせる事は出来なかった。
屋敷の付近にやってくるといつもと様子が違う事にカシムは気付いた。何とも言えぬ奇妙な雰囲気が辺りに漂い不自然な静けさが辺り一帯を支配していた。
ラムネーゼも異様な雰囲気を感じ取りレムネリアの事が心配になった。ラムネーゼはカシムを連れて急いで屋敷の中へ向かう。
屋敷の中へ入ると警護をしていた騎士達が皆気を失い倒れていた。
カシムはラムネーゼを庇うように辺りを警戒しながらレムネリアの部屋へと向かう。
部屋の前までやってくると扉は半開きになっておりカシムは気配を殺しながら中の様子を伺った。
そこにはこの国の誉である十騎士の称号をもつ男、デスサイスが立っておりレムネリアの首を掴んでいた。
レムネリアの胸には斬り裂かれた傷がありそこから血が流れ白い布を赤く染めていた。
そしてデスサイスはカシムの方へ視線を向け口角を釣り上げた。
その時カシムの中で何かが切れる音がした。
カシムはデスサイスへ剣を抜き魔法剣を発動し向かっていった。
デスサイスは人差し指をカシムへ向け何かを呟くと次の瞬間カシムは吹き飛ばされ壁に叩きつけられた。
朦朧としている意識の中カシムが最後に見たのはレムネリアを抱き抱え部屋の窓から飛び出していくデスサイスの姿と、自分を心配し涙を流しながら名前を呼ぶラムネーゼの瞳だった。
長い夢から覚め、カシムが目を覚まし辺りを見回すとどうやらそこは宿の一室のようだった。
カシムは現状を確認する為起き上がろうとした。
その時隣の部屋から声がするのに気が付きその声の主がラムネーゼとリリアラである事が判りカシムはその声に耳を傾けた。
「ラム、きっとレムネリア様は大丈夫です。今は無事を祈る事しか出来ませんがライラ様に会う事が出来ればきっとなんとかなります。だからそれまで頑張りましょう」
「ごめんなさいお姉様。泣かないって決めたのに。これじゃあまたカシムを心配させちゃいます」
ラムネーゼが鼻声でそう言うのが聞こえた後暫くし、話し声は止んだ。
カシムは再び決心した。
(これ以上ラムネーゼ様に辛い思いをさせる訳にはいかない。俺は絶対レムネリア様を救う)
カシムが静かにベッドを出るとシェリアが部屋に入ってきた。
「状況を説明してくれ」
カシムがそう言うとシェリアは静かに頷き部屋の外にいた三人を招き入れたのだった。
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