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革命ガ始マリマシタ  作者: XICS
戦いの始まり
28/72

信念と憎しみ

 《オーシャン》の中にいる雪音・恵良・賢の三人が見ている中、勇気は咲宮と激闘を繰り広げていた。

 勇気の搭乗する《ライオット》は、咲宮の《ペニーウェイト》のビームソードによる攻撃を躱しながら、ビームソードによる近接攻撃を繰り出してはつばぜり合っている。驚異的な速さで回り込まれることもあるが、彼は集中して相手の動きを見て攻撃を躱している。先程の動揺は、殆ど消え失せていた。

 しかし、勇気は《ペニーウェイト》に決定的な一撃を与えることができていない。さらに彼は、咲宮の戦闘技術を先程の剣戟から素人同然だと分析していたが、段々と動きがよくなっていることに気が付いた。剣戟の中から、彼はそれを感じ取ることができた。

 対する咲宮は、目線を動かしてペダルを踏むだけでSWを縦横無尽に動かしていた。彼のSWに取り付けられている、パイロットスーツに接続されている触手のようなケーブルを利用して、彼はそれを動かしている。



 咲宮のSWである《ペニーウェイト》は、操縦するのに操縦桿を必要としない。彼の腕や脚、胴などにパイロットスーツ越しに接続されているケーブルが、それが接触している筋を動かそうとする情報を読み取ってそれらを統合し、SWの各部位を動かしている。しかも、それは実際にその部位を動かすわけではなく、その部位を動かす意思さえあれば動くのである。故に、彼はSWを動かすのは初めてだが、自分の身体のように動かすことができているのである。



 《ペニーウェイト》の動きが、SWの素人の動きとは全く異なってきた。先ほどまでは乱雑に振られていたビームソードが、咲宮が激昂して一薙ぎした時のように正確に相手の急所を突いてくるようになった。

 それを軍人である勇気は受け止めるのに必死になっていた。相手の驚異的なパワーも相まって、《ライオット》は次第に押されていき、徐々に高度を下げていく。

――どうすれば……。

 勇気が攻めあぐねていると、《ペニーウェイト》が渾身のビームソードの一振りで《ライオット》を弾き飛ばした。呻き声を上げながら機体を制御する勇気に向かって、咲宮はビームソードをマウント、ビームライフルを取り出し右手にグリップ、勇気に向かって三発発射した。

「くそっ!」

 勇気は毒づきながら機体を左右に揺らして光弾を全弾避ける。海面すれすれまで降りると、《ライオット》もビームライフルを構え始めた。

 《ペニーウェイト》のビームライフルには、まるでそれで敵を切り裂けと言わんばかりの刃物状の突起が側面についている。さらに、発射された光弾は《ライオット》の機体色に近い赤色であった。明らかに、日本軍のそれとは異なっている。

 《ライオット》がビームライフルを構え始めると、《ペニーウェイト》はビームライフルをマウントし再びビームソードを構え始めた。獲物を見つけた猛禽類のように、勇気に向かって急降下する。

 勇気はそれを迎撃しようと、ビームライフルを三発発射した。しかし、咲宮はそれらを難なく避けて乗機を《ライオット》に向けて突進させる。《ライオット》は撃ち終わった後すぐにビームライフルをマウント、ビームソードを展開し、左腕のシールドも合わせて展開した。

 しかし、相手はすぐに降りてきた。敵とつばぜり合っている暇もないと判断した勇気はブースタを垂直方向に吹かして、繰り出してきた斬撃を間一髪で避けた。《ペニーウェイト》は海面を切り裂き、その影響で海水が蒸発して白い霧になった。避けようとした際に掠ったのか、《ライオット》の足部の先端が溶解している。

「今だ!」

 勇気は斬撃で生まれた一瞬の隙を突いて、《ペニーウェイト》の頭上に展開していたビームソードを振り下ろした。だが、白い霧の中から現れた赤い機体に動ずることなく、敵は冷静にビームソードをぶつけてつばぜり合いになった。

 電流が流れるような音が響き渡り、《ライオット》が段々と押されていく。勇気は歯を食いしばって操縦桿が潰れんばかりに握って押し続けるが、相手の無尽蔵の力には敵わず、破裂音に似たような音がした後吹き飛ばされた。勇気は両手に痺れを感じつつも、銀色のSWを睨みつける。

 次の一手として、《ライオット》は後退しながらビームライフルに持ち替え、連続で射撃した。何度も何度も、《ペニーウェイト》に向かって白い光弾を当てようとする。しかし、しっかりとロックされている筈なのに、敵はそれらをするすると避けて此方へと近づいてくる。

「……当たらない、か!」

 射撃による撃墜を諦めた勇気はすぐさまビームソードに持ち替えて展開、《ペニーウェイト》を迎え撃つ。

 相手は突撃するとき、真っ直ぐにしか突っ込んでこない――今までの攻撃パターンから、勇気は推測した。そこで彼は、敵をギリギリまで引き付けようとした。固唾を呑んで、突っ込んでくる《ペニーウェイト》を引き付ける。

 勇気が推測した通り、相手は馬鹿正直に真っ直ぐに突っ込んできた。相手がビームソードを振り上げ始める。どんどん近づいてくるなか、勇気はタイミングを見極めようと集中して相手を睨みつける。

 相手が、勢いに任せてビームソードを振った。しかし、そこには《ライオット》の姿はなかった。

「かかった!」

 勇気はビームソードが振り下ろされる直前、《ライオット》を《ペニーウェイト》から見て右の方向に回避、それの手甲にむけて展開していたビームソードを振り下ろした。これで少しは無力化できる――勇気は確信していた。

 しかし、咲宮の動きは勇気の予想の上をいっていた。

 《ペニーウェイト》は《ライオット》が繰り出したビームソードの振り下ろしを、まるで人間のように手を返して展開していたビームソードで受け止めた。

「ぐっ……」

 このままビームソードでごり押ししても、先程のように突き飛ばされるだけだ。そう判断した勇気は、シールドを展開している《ライオット》の左腕を動かした。

「食らえ!」

 勇気が叫ぶと、《ライオット》はシールドを展開してる左腕を振り回し、《ペニーウェイト》の頭部に繰り出そうとした。シールドバッシュとは違う、ストレートで相手の頭部を抉るような一撃――彼はその場でつばぜり合って静止している《ペニーウェイト》にそれを当てようとした。

 敵の頭部はがら空きである。見事、勇気が繰り出した一撃は《ペニーウェイト》の頭部を捉えた。コクピットの中の咲宮が、急激にきた衝撃とGで悲鳴を上げる。ビームソードは離さなかったが、敵はバランスを崩して少し位置をずらした。

 ビームソードが離れたところで、勇気はチャンスとばかりに《ペニーウェイト》に襲い掛かる。彼は咲宮のように真っ直ぐには突っ込まず、敵の後ろに回り込んで、ビームソードからビームライフルに持ち替えて至近距離で発射した。



 白い光弾が、敵を襲う。

 見事勇気は、《ペニーウェイト》の左腕を撃ち抜いた。前腕部分が吹き飛び、水没する。

 形勢逆転だ――勇気はそう思っていた。彼はこの一撃で安心していた。



 《ペニーウェイト》が、一秒と経たずに一八〇度旋回し、《ライオット》と向かい合った。しかし、先程とは様子が違った。

 敵機の左背部から、筒のようなものがせり出している。砲塔にも見えるそれは、真正面に位置する《ライオット》を捉えていた。

 勇気はそれの中心を一瞬だけ覗き込むように見つめると、反射的に左腕のシールドを構えていた。



 《ペニーウェイト》が、砲塔の中のものを動かない《ライオット》に向けて発射した。

 発射したものは、赤々と輝くビームライフルのそれよりも強大な光線であった。風を切り裂く音とともに、《ライオット》の左腕のシールドに照射される。

 さらに《ペニーウェイト》は、支えが何もないのに高エネルギーのそれを無反動で撃ちこんだ。照射されたものが強すぎて、周りを赤く染め、熱で周りを歪める。



 照射が終わったと見るや、勇気は《ライオット》を全力で後退させた。彼がシールドを確認すると、攻撃に晒された部分が銑鉄のように白くなり、ぽっかりと穴を作っていた。幸いにも貫通はせず、《ライオット》の左腕は守られている。だが彼はその傷跡を見て戦慄した。

 《ペニーウェイト》と十分に距離を取ると、勇気のもとに雪音から無線が入った。彼は救われたとばかりに息をホッとつき、無線に応じる。

『勇気、無事か?』

「はい、大丈夫です! 左腕のシールドは使い物にならなくなりましたが……」

『お前が無事ならそれでいい。引き続き気を付け――』

 そこで、無線が途切れた。また咲宮が割り込んできたのか――勇気はそう考えながら無線を睨みつける。

「……お前か、咲宮」

『てめえ……やりやがったな』

 咲宮がうめき声に近い声質で勇気に吐き捨てる。

 彼の口からは、血が垂れていた。先程の急激な機体の一八〇度旋回によって身体に強大なGがかかり、吐血したのだ。

 さらに彼の頭からも血が垂れている。先程のビームキャノンの照射によって後頭部をヘッドレストに強打したのだ。機体だけを見るとなんの反動もなく撃っているように見えるが、実際には内部で凄惨なことが起こっていたのである。

 咲宮は激痛を気にせず勇気に喚き散らし始めた。

「てめえは、なんだってこのクソみてえな国の味方をすんだ? 俺たち施設の奴らは、このクソみてえな国に虐げられてきたんだぞ!? 俺たちを守ってくれない国を守ってやる義理なんてねえだろうがぁっ!」

 彼の叫びが終わった後、勇気の無線には、彼の荒い息遣いが残った。それに反して勇気はやけに落ち着いており、十分に離れたところから《ペニーウェイト》を睨みつけている。

「……俺が一二歳の時、その時中将だった田の浦さんが講演に来てくれた」

『……ああ、俺も一二だった。無理矢理聞かされたから覚えてるよ。んで、それと何の関係がある?』

 勇気は意を決したように息を吸い、語り始める。

「その時の俺は、孤児だった自分と周りの大人に嫌気が差していた。でも、田の浦さんの講演を聞いて、日本はなんて素晴らしい国なんだ、自分はその故郷を守らなくちゃ、って子供心に思ったんだ。日本を守ることこそが自分の存在理由になると思った。お前には分からないだろうがな」

 勇気は淡々と、理由を語った。完全にこの国を恨んでいる咲宮には伝わらないと分かっていながらも、伝えずにはいられなかった。

 すると、咲宮は不気味に嗤い始めた――まるで勇気の思いを踏みにじるかのように。勇気の背筋に悪寒が走る。

『それがてめえの存在理由だったのか! 全くお笑いだなぁ。それで軍に入ってどうなった? お前の日本は守れたか? 軍の奴らに『根性焼き』でもされたのが関の山だろぉ?』

「お前には分からないだろうが! 日本を守るために、俺は、俺は――」

 勇気は《ライオット》のブースタを勢いよく吹かして、右腕に持ったビームソードを展開して《ペニーウェイト》に突っ込んだ。

「お前を、絶対に倒す!」

「やってみろぉ!」

 二人が叫んだ。その一瞬後、二機のビームソードがぶつかり合った。

 スパークした音がした後、二機は互いに吹き飛ばされた。すぐに二機がスラスタで姿勢を立て直すと、再び向かい合って睨みつけるように互いに動かなくなった。



 勇気は、自分の信念と相手の憎しみ、どちらが強いか確かめているかのように、もう一度咲宮に向かって吶喊した。



 《オーシャン》の管制室。雪音・恵良・賢の三人は、勇気と咲宮の戦いを固唾を呑んで見守っていた。賢は腕を組んでひたすら黙ってそれを見届けており、恵良は手を組んで祈りの姿勢を崩さず、まるで母親のような目で彼を見つめている。

 しかし、表情が硬い二人とは対照的に、雪音は口角を上げていた。勇気も田の浦の影響を受けて軍に入ったということを知って、親近感を覚えたからだ。彼女の中では自然と、田の浦の凄さが高まっている気がしていた。

 雪音の表情は、すぐに恵良に気付かれた。不思議そうな目で、恵良は彼女を見つめる。

「……なんで笑ってるんですか?」

「ん、いや、知ってる人の名前が出てな」

「田の浦さんのこと、ですか? もしかしてその人って、昔、日本軍の空軍の中将で、今は『日本自由の会』の議員を務めていらっしゃる、田の浦晋一さんですか?」

 雪音は恵良の問いに、そうだ、と答えた。

「やけに詳しいじゃないか」

「え? いやぁ……。父がよくその人の名前を申していたものですから――」

「そうか……。ああ、そうそう。私は、この人に推薦されてこの部隊の隊長になったんだ」

 二人は一斉に、雪音に驚愕の表情を向けた。彼女は二人の表情は意に介さず、二回頷く。

「田の浦さんも運がいい。貴方の講演に魅せられて軍に入った少年を、貴方に推薦してもらった私が拾うなんてな。しかもその少年はとても優秀ときた。他の誰よりもな」

 すると、雪音の顔から笑みが消えた。そして素早くキーボードを叩き始める。

「だから、無事に帰って来いよ、勇気。お前は日本ここにいなくちゃならない存在だから――」

 それに肯定するように、賢と恵良が頷く。

「そうだよ、勇気。皆勇気のことを認めてる。だから、お願い、勝って! 無事でいて!」

 恵良が、祈りながら呟いた。



 勇気と咲宮は、海面すれすれを飛行しながら渡り合っていた。互いの動きは、傍から見ている軍人たちが目を回すほどに速く、《オーシャン》で見守っている三人ですら目で追うことが難しくなっていた。

 《ライオット》がビームライフルを抜き出し引鉄を引けば《ペニーウェイト》はスラスタを調整して最小限の動きで光弾を避け、今度は《ペニーウェイト》がビームソードを展開して突撃すると《ライオット》も負けずにビームソードを展開、正面から突っ込んでくる敵をいなしてすぐに背後に回り込み避ける。それらの動きが一セットがたった数秒で終わってしまうほど、展開が速い。

 暫く互いが互いの攻撃を避け合っていると、《ライオット》が相手のビームソードの攻撃を弾いた。するとそれでスイッチが入ったかのように、勇気は攻撃を積極的に仕掛け始めた。

 勇気が仕掛けたのは、左背部に展開されているビームキャノンへの攻撃。そこを潰せば、相手を無力化でき、さらには大きなダメージを与えられるのではないかと、彼は踏んだ。

 《ライオット》が、《ペニーウェイト》の左肩に向かって右腕でビームソードを振り下ろし始める。それを振り下ろした先には、ちょうどビームキャノンの砲身が突き出ていた。

 ビームソードでのガードが間に合わないと判断した咲宮は、呻き声を上げながら機体を全速力で後退させる。勇気の一撃は空振りに終わったが、彼は諦めてはいなかった。

 勇気は機体を左右に振りながら、咲宮を攪乱するように彼のもとへと突進する。《ペニーウェイト》は、ビームキャノンのチャージを開始している。砲口が赤く光っているのがその証拠だ。

「こいつをなんとかしなきゃ――」

 すると、砲口から一瞬赤い光が消えたかと思うと、極太のビームが《ライオット》に向かって照射された。しかし勇気は、普通の兵士なら直撃を食らっている筈だが、一瞬光が消えたときに機体のブースタを垂直方向に吹かしてそれを回避していた。渾身の一撃を躱された咲宮は、苦虫を噛み潰したような表情でブースタを吹かす。

 照射が終わると、《ペニーウェイト》はビームライフルを抜き放った。それを見た勇気は機体を、相手のキャノンの砲口を真正面に捉えるように移動した。

「今ならアレは使えない筈……」

 勇気はそう呟いた後、腹の底から雄たけびを上げて、ペダルを壊れんばかりに踏みつけて機体を加速させた。

 出力差があるはずなのに、二機の距離はどんどん近づいていく。咲宮はそのことに焦っていた。彼は、この機体は現在の日本軍のどのSWよりも高出力で高機動であると教えられていた。それが少しずつ崩れていくのを、彼はまだ感じ取っていなかった。

「畜生……畜生! この機体が、あいつなんかに負ける筈がねえ!」

 咲宮が必死に叫ぶが、二機の距離はどんどん近づいていく。ビームライフルを乱射するが、全く当たらない。彼はビームライフルを諦めて、右手で再びビームソードを展開する。

 勇気は無線から聞こえてくる焦燥に駆られる咲宮の声をよそに、ジリジリと距離を詰めていく。機体を左右に振ろうが、上下に激しく移動しようが、彼はしつこく咲宮に食いつく。その様は、遠目から見ると、まるで二機がテレポーテーションしているかのような動きである。

 いよいよ討伐部隊の三人も、その動きについていけなくなった。無線が使えないことも相まって、何が起こっているのかも彼らには分からなくなっている。キーボードを未だに弄り続けている雪音以外は、その様子をポカンと見つめるほかなかった。

 すると、《ペニーウェイト》のビームキャノンが再びチャージされ始めた。勇気はそれに気づき、一気に距離を詰めようとする。

「間に合え――っ!」

 急激にかかるGで顔を歪めながら、ブースタが壊れんばかりにそれを吹かす。激しく動き回る《ライオット》を、敵機のモノアイが睨みつける。



 砲口から覗く、赤い光が消えた。



 勇気が雄たけびを上げる。それに呼応するように、《ライオット》がバッタのように飛び上がり、キャノン砲にビームソードを振り下ろす。

 構えられたビームキャノンは、《ライオット》のコクピットを狙っている。すなわち、ビームソードが当たらなければ勇気は最悪死ぬという状況である。

 それでも、勇気は《ライオット》のビームソードを恐れずに振り下ろした。歯を食いしばって、キャノンを一点に見つめる。

「当たれえぇぇっ!」



 捉えた。



 信念は憎しみを叩き斬った。



 一瞬後、《ペニーウェイト》の左背部のビームキャノンが縦に真っ二つに割れ、左肩部がごっそりと分断していた。切断された部分が赤々と灼け、配線をむき出しにしている。

「どうだぁ!」

 勇気は絶叫し、《ライオット》を後退させようとした。爆発に巻き込まれなければ、相手は誘爆してくれると思っていた。

 しかし、その発想が甘かった。



「死ねええぇぇぁぁあ!」



 勇気が気づくと、《ライオット》の左肩に《ペニーウェイト》のビームソードが突き刺さっていた。咲宮もまた、機体を斬られた反動に負けず《ペニーウェイト》を動かして、《ライオット》に一矢報いた。しかし、彼が狙おうとしたところはコクピットであり、その狙いは外れた。

「離れろぉっ!」

 左腕が使用不可能になったことを告げるアラートがけたたましく鳴る中、勇気はまだ生きている右腕を使って、《ペニーウェイト》の右腕を叩き斬った。鬼の形相で敵を睨みつける――その表情は、誰にも、一度も見せたことがない鬼気迫る表情であった。

 叩き斬られた《ペニーウェイト》の右腕が、突き立てられているビームソードからするりと滑り落ちる。そしてそれはそのまま海中へと消えた。



 それと同時に、二機の中心で、ビームキャノンの残骸による大爆発が起こった。




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