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革命ガ始マリマシタ  作者: XICS
戦いの始まり
25/72

隻腕の戦士

 完全に自分のミスだ――恵良は《ウォリアー》の左腕を『5』に切断された瞬間、頭の中でひどく後悔した。レーダを事前に確認すれば《燕》が援護してくれることは分かることができたし、こうやってビームライフルを慌てて避けることもなかった。そして、こうやって自分が不利になることもなかったと、彼女は自身をひどく責めた。

 それでも、恵良は前を向いていた。向かなければならなかった。

 間髪入れずに『5』がビームソードを振ってくる。今度は、右腕を切断しにかかっていた。

 剣筋が消え去るほどのスピード。それでも《ウォリアー》の持ち前の機動力で、恵良は今度はそれを避けた。

 すでに左腕と一本のビームソードは海中に没している。姿勢が崩れている機体と、一本しかないビームソードで、恵良は戦い続けることを決めた。それを伝えるために、彼女は賢に無線を繋げた。

「賢さん、すみません。私は……まだやれます! やらせてください!」

『……安心してください、僕は怒ってませんし、さっきのが恵良さんの失態だとも思ってませんよ。さっきのように突っ込んでください。僕が精一杯援護します』

 賢から承諾の無線が届く。恵良は表情を引き締めて眼前の『5』を睨みつけた。

「今度は同じことは起こさない。絶対に倒す!」

 再び、白い戦士ウォリアーが黒い魔物に向かって飛び出した。



 恵良と賢が『5』と交戦し始めたとき、礼人と雪次は本土を飛び出して三宅島上空にいた。そこで襲撃してくる二機の『ナンバーズ』を迎撃するという作戦だ。礼人操る《キルスウィッチ》と雪次操る《陰陽》は、横須賀基地の第2部隊と第3部隊を引き連れている。第2・第3部隊ともに、《燕》六機、《蓮華》三機、《剱》一機で構成されている。

 二人は上空で待機し、じっとレーダを見て耐えていた。いつ奴らが現れるのかが分からず、二人は張りつめた空気の中待っている。コクピットの中で、二人は周りの音が完全に頭の中から消え去るくらいに集中している。

 二人の緊張感がピークに達したその時、Eセンサーが反応した。礼人がレーダを睨みつける。

 二つの熱源反応が、異常な速度で此方に向かって突っ込んでくる。他のSWのレーダもそれに反応したようで、後ろで待機している部隊が戦闘態勢を取った。

 海面が切り裂かれているのが、遠目からでも確認することができた。その中心に、奴らはいた。

 すると、礼人の後ろで待機していた第2部隊の《燕》がいきなり『ナンバーズ』の二機に向かって突っ込み始めた。予想外の出来事に、彼は目を丸くした。すぐさま第2部隊の隊長に通信を入れる。

「おい、どういうつもりだ!」

『我々の部隊は、私の判断で動いてもらう。それだけだ』

「くそっ! あんたらの部隊だけじゃやばいって分かんねえのか!?」

 しかし、通信は一方的に切られた。礼人は舌打ちをした後、《燕》に追随する形で突撃した。怒りに任せてペダルをベタ踏みする。

 さらに、第2部隊の《燕》が突撃して少し間を置いて、第3部隊の《燕》も追随し始めた。対する雪次は冷静にそれらについていく。

 礼人たちは左の機体を、雪次たちは右の機体を標的に突進する。礼人の《キルスウィッチ》は《燕》を追い抜き、いち早く『ナンバーズ』と対峙した。

 純白の機体色で左肩部に「2」の太文字――彼が突撃したSWの正体は、『2』であった。《キルスウィッチ》は二挺の銃を抜き、それに向かって乱射する。それをするすると避けていく『2』に向かって、ビームソードを振り下ろす《燕》がいたが、その攻撃は見事に躱された。

「待ちやがれ」

 異常なスピードで驀進する『2』の進路を、《キルスウィッチ》が塞いだ。礼人は怒りを湛え、それに銃を向けた。

 雪次も勢いよく『ナンバーズ』の機体に突っ込む。《陰陽》の手には既に二本のビームソードが展開されており、今にも斬りかからんとする様子である。礼人に少し遅れて、彼は敵の姿を確認する間もなくそれに突っ込んで二本のビームソードで織りなす斬撃を叩きこんだ。

 一撃、二撃。しかし、それは全て受け止めた。両者がつばぜり合う。

「やはり……貴様か」

 雪次が確信したように呟く。彼の眼前には、薄い黄色の刺々しい見た目をした機体が、二本のビームソードで《陰陽》に対抗している姿が映っている。彼は、『4』と相見えた。両者のビームソードがスパークしながらぶつかり合っている。

 《陰陽》のブースタが、火を噴いた。



 恵良は『5』がどう出るのかを警戒しながら、ジリジリと本土に向かって後退していく。それに合わせて、賢も挟み撃ちになるように乗機を移動させる。

 そこで雪音は、その場の《燕》全機に通信を入れた。

「横須賀・千歳・猿ヶ森基地所属のSW部隊に告ぐ。お前たちはもしもの時のために本土を守ってほしい。奴は我々で必ず食い止める」

 すると、それを聞いていた横須賀の《鷲羽》の艦長が雪音に噛みついた。

『貴様の勝手な判断で我々を動かさないでもらおうか! 我々の部隊は我々の判断で動くと言っておろうが!』

 それに対して、雪音はフッと息をついた後通信用のマイクを握りしめた。

「今はそれどころではない。私の指示に従ってもらう。権力者面をするならこの戦いが終わった後にしてもらおうか」

 雪音の声は女性とは思えないほど低く、周囲を威圧させるには過剰ともいえる迫力を持っていた。敬語だったのがそうではなくなっていることも、威圧させる原因となっている。この声がもしも討伐部隊に聞かれていたならば、暫く悪い意味で彼らの語り草になっていただろう。

 それのおかげか、横須賀の《鷲羽》の艦長は低いうめき声を上げた後黙りこくってしまった。すると今度は、新から通信が入った。

『水城隊長の指示に従おう。千歳基地の艦長も、貴女の指示に従うと言っていた』

「ありがとうございます」

 雪音は礼を言うと、再び先程の指示を《燕》全機に、各部隊の隊長のお墨付きがでたという情報込みで通信で入れた。するとSW部隊はすんなりと本土へ移動した。

 『5』はその様子を見ていたが、その場から動こうとはしなかった。《ウォリアー》と《ダーケスト》に挟まれながら睨まれている状態であるため、迂闊に動けないと判断したからである。この陣形が功を奏し、討伐部隊以外のSW部隊の《燕》は本土を守るためにこの場を離脱することができた。

 恵良と賢に、雪音から通信が入った。

『《燕》は私の指示で移動させた。後はメガフロートを守りながら好き勝手に暴れてくれ。いいな?』

 二人は先程の光景に納得すると、大きく返事をした。それが確認されると、通信は切れた。



 恵良は、眼前に映っている『5』を今一度見つめた。巨大なスナイパーライフルと刺々しい見た目、そしてこちらを見つめている赤いモノアイ。左の腰部が抉れているのもあって、異様に不気味な雰囲気を出している。

 《ウォリアー》が、右腕のビームソードを構え直した。それと同時に、《ダーケスト》もスナイパーライフルを構える。

 すると、『5』が動きだした。ブースタを吹かして右に位置をずらし、その一瞬の間でスナイパーライフルを構える。さらに目にも留まらぬ速さで指を引き金にかけた。

 しかし、賢はそれに反応した。彼は《ダーケスト》を逆に左に移動させ、一瞬で『5』の前に回り込む。前面にそれを捉えた瞬間、《ダーケスト》のスナイパーライフルの銃口が光った。銃口は、『5』の胴を向いている。

 白い光弾が発射される。

 『5』はブースタを吹かして超機動で下方に位置をずらしたが、完全に避けることはできず左の頭部を抉られた。それでも反動は小さく、『5』は難なく引鉄を引いた。

 青白い光が周囲にほとばしる。それは陸にいる国会議員たちを乗せて避難している三台の黒塗りのセダンを襲ったが、直前で《燕》のシールドに阻まれた。しかし、威力が強いのか光弾は《燕》の左腕ごとシールドを吹き飛ばした。熱量が高く、殆ど蒸発したため、本土に被害は及ばなかった。

 しかし、恵良と賢にはそのようなことを確認している余裕はあまりなかった。本土と護衛対象の議員たちに被害が及ばなかったことを確認すると、恵良は一瞬硬直している『5』へ突進した。一本しかないビームソードで、敵を襲う。

 左から右への横薙ぎ。《ウォリアー》は『5』の胴にむかって繰り出した。

 しかし、『5』も傷を負っているが抵抗する。横薙ぎが繰り出された一瞬後それを受け止めようとするように方向転換、左腕を使って電磁シールドを展開し、それを防いだ。電流が流れるような音とともに、二つの兵器がぶつかり合う。電磁シールドは、『5』の胴をすっぽりと覆うほどに大きい。恵良は一旦距離を取って様子を見た。それを確認したのか、『5』は電磁シールドを解除した。

 賢も負けてはいない。スナイパーライフルのリロードに時間がかかるので、彼は『5』に近づき、恵良が離れたと同時にショットガンをお見舞いした。しかしそれも電磁シールドの前には無力で、それを破ることすら敵わなかった。

「あのシールドのようなものが厄介ですね……。どうしますか?」

 恵良は賢に通信を入れた。彼女は既に大粒の汗を額に浮かべている。《ウォリアー》・《ダーケスト》と『5』は、再び睨みあいの状態になっている。

「僕が後ろから奴の左腕を狙撃します。それまで時間を稼いでください。できますか?」

「分かりました!」

 賢の指示に、恵良は了解した。通信が切れると、《ダーケスト》は上空へと舞い上がった。しかし、それが明らかに怪しい行動をとったのにも拘らず、『5』は微動だにせず《ウォリアー》と向かい合っていた。恵良のことを警戒しているのだろう。

 すると、動かなくなった『5』に向かって、待機していた《剱》二機が突っ込んできた。両方ともビームソードを構え、挟み撃ちで襲ってくる。

 だが、『5』の方が一枚上手であった。すぐにスナイパーライフルを構え、右側から襲ってくる《剱》の頭部に向かって引鉄を引く。青白い光弾がそれを吹き飛ばした。反動で吹き飛ばされた《剱》は姿勢を制御しながらサブのカメラに切り替えるが、その頃には左の《剱》の両腕がビームソードによって切断されていた。すぐさま『5』は右の《剱》に突っ込んでいき、両腕を切断して無力化させた。

 そこに隙が生じているのを、恵良と賢は見逃さなかった。《ダーケスト》がスナイパーライフルを構え、引鉄に手を掛ける。《ウォリアー》はビームソードを展開しながら、『5』の懐に突撃する。

 『5』はまず、恵良に反応した。超スピードで向かってくる《ウォリアー》に対して、間に合わないと判断したのか電磁シールドは展開せず、大型スナイパーライフルに備え付けられているビームソード一本を左手でグリップして彼女を迎え撃った。

「今度は……負けない!」

 恵良が吶喊する。両機のビームソードが激しく火花を散らしてぶつかった。ぶつかった衝撃で両機が弾き飛ばされるが、すぐに体勢を立て直して再び剣戟に入る。

『恵良さん、離れて!』

 突如、恵良の無線に賢の叫び声が聞こえてきた。『5』の丁度後方に、《ダーケスト》は位置していた。

 引鉄が引かれる。『5』は賢にも反応し、素早くビームソードを格納した後、まるで攻撃が来ることが分かっていたかのように電磁シールドを張る。

 賢が放った一撃でもシールドは破られなかったが、少しの反動を与えることはできた。そこを恵良が吶喊する。

「食らええぇっ!」

 『5』の反応が、ほんの少し遅れた。

 《ウォリアー》のビームソードが、敵を一刀両断にせんと頭に振り下ろされる。『5』はその場で一八〇度旋回して電磁シールドを相手の方へと向けるが、遅かった。

 ビームソードがシールドを掻い潜って、左腕を溶断した。相手がわずかに軸をずらしたので、縦に両断することはできなかったが、相手の防御の手段を封じることはできた。

「これでぇ!」

 次に繰り出したのは、左から右への横薙ぎであった。しかし、それは見切られて『5』はブースタを吹かして後退する。『5』の左腕は海中に沈んだ後、大きな水飛沫を上げて爆発した。電磁シールドに、莫大なエネルギーが供給されていることを、二人は理解した。

 『5』が後退して攻撃を避けても、討伐部隊のターンは終わらない。今度は後方に陣取っていた《ダーケスト》が前進し、ショットガンを構えて発砲した。ビームの散弾が敵を襲うが、それらは全て避けられてしまった。

 その間に、《ウォリアー》は敵の周りを縦横無尽に駆け巡っている。相手のまともに使える武装がスナイパーライフルのみになったため、至近距離で動き回っていれば先程のように当たらないと考えたからだ――無論、警戒はしているが――。

 すると、二人の無線に通信が入った。二人は『5』の動向を窺いながらそれに注目する。

『灰田勇気であります。補給と修理が終わりました。これから復帰します!』

 その報告を聞いて、二人は自然と笑顔になった。特に恵良は、内心では泣きそうになっていた。賢と二人では不安というわけではないが、彼が戦場に加わると心なしか心強いと感じることができる。

「勇気! できるだけ早く来て。それまで頑張ってるから!」

『分かった。気を付けて! 賢さんもどうか気を付けてください!』

 勇気はそれだけ言い残して通信を切った。張りつめていた空気が、少しだけ和らぐ。

 恵良は気を取り直して、動き回りながら『5』を見つめた。今ならきっと勝てる。彼女は確信した。



 勇気は《ライオット》のコクピットの中で浮足立っていた。早く駆け付けなければならない――彼は恵良との通信で、彼女の声を聞いてそう思った。かなり疲れて焦っている、そして賢と二人がかりでも『ナンバーズ』苦戦していると、彼の心はざわついた。

 二人の、特に恵良の心配をしているうちに、《ライオット》の拘束具は外れ、信号はグリーンになっていた。雪音から無線が入る。

『発進できるか?』

「はい、できます!」

『よし、いいぞ。あいつらの援護をしてやれ』

 そう言い残して、雪音の通信は切れた。《ライオット》が発進のため前傾姿勢になる。

「灰田勇気、《ライオット》、行きます!」

 勇気が勢いよく叫ぶと、《ライオット》は《オーシャン》から射出された。彼はレーダを頼りに二人と『5』を探す。

 彼は、二人の無事を唯々祈っていた。



 恵良と賢の二人と『5』は、『5』が左腕を切断されてから膠着状態になっていた。どちらからも手を出さず、延々と腹の探り合いのような状態になっている。それでも恵良は《ウォリアー》を縦横無尽に動かし続け、賢は《ダーケスト》のスナイパーライフルの構えを解かない。さらに敵も油断はせず、いつでも引鉄を引けるようになっている。

――どうする? どう動く?

 恵良は自問自答していた。下手に動けば敵に風穴を開けられ、最悪死ぬ。かと言って動かなければ、隙を突かれて本土に被害が及ぶかもしれない。彼女は『5』から視線を逸らさず、自身はどうやって出ればいいのかを考えている。

 その時、『5』が動いた。スナイパーライフルを本土に向かって構え、引鉄を引こうとしている。片腕だけで大型で撃った時に反動が大きい火器を支えて、さらに視線の先にはまだ議員たちが映っていることに内心ぞっとしながらも、恵良はそれ目がけて突っ込んだ。

「させるかぁっ!」

 すると『5』は、スナイパーライフルを抱えたまま恵良の方を向いた。銃口が《ウォリアー》の頭部を捉える。それに反応した彼女は機体を大きく揺さぶり、ロックを外そうとするが、光弾は既に放たれた。

 片腕で引鉄を引き、スナイパーライフルを支えているのにも拘らず、狙いは大きくは外れなかった。それは《ウォリアー》の右頭部を大きく穿ち、機体を硬直させた。恵良は短い悲鳴を上げるが、硬直が解けたほんの一瞬で背部の追加ブースタを吹かして一気に彼我の距離を詰める。

「今度こそは――!」

 《ウォリアー》は左に六〇度ずれ、『5』を捉える。しかし、彼女は本体を狙ってはいなかった。

――まずは、無力化させる!

 恵良は『5』が抱えている大型のスナイパーライフルを狙っていた。それに気づいた『5』だったが、少し遅かった。

 恵良が雄たけびを上げながら、スナイパーライフルの銃身を叩き斬る。赤熱した切り口を見せた後、『5』はそれを手早くパージし、それに備え付けられたビームソードを素早くパージして手元に収めた。使い物にならなくなったスナイパーライフルは、左腕と同じように海中に没した後十メートルはあろうかという水柱を上げて爆発した。

 さらに攻撃は続く。今度は《ダーケスト》が至近距離でショットガンを構える。しかし、『5』はスナイパーライフルを捨ててより身軽になったのか、散弾をすべて躱し、逆にショットガンにビームソードの一撃を叩きこんだ。賢は銃身が真っ二つに斬られたそれをパージすると、スナイパーライフルを構え直して後退した。斬られたそれは空中で爆発を起こした。

 恵良は、『5』が賢と戦闘している隙を見逃さず、さらなる一撃を叩きこまんとして追加ブースタを吹かして突進する。それに気づいた『5』は《ダーケスト》を追うのをやめ、恵良と真っ向からビームソードでぶつかり合った。

 恵良は腹の底から叫びながら、鬼の形相で《ウォリアー》を操縦して剣戟を目標に叩き込む。突き・薙ぎ・切り払い――持てる力と技術を全力で出し、隻腕の機体で『5』の剣戟とぶつかり合う。

 次第に、《ウォリアー》が『5』を押し出してきた。出力では『5』の方が上だが、恵良は――本人は気づいていないが――手数で相手を押している。彼女が何十合繰り出したか分からない連撃に、相手が対応できていないのである。

 そして、その迫力に賢も応えた。《ダーケスト》がスナイパーライフルを構え、『5』の右大腿部を撃ち抜いたのだ。右脚が破壊された『5』はそのままバランスを失い、海へと落下していく。必死に姿勢を制御してなんとか着水は免れたものの、そのまま恵良が突っ込んでくる。

「恵良さん、今です!」

 賢が無線に向かって思い切り叫ぶ。それに呼応するように、恵良は再度雄たけびを上げた。しかし、突然コクピットに機体損傷のアラームが鳴り響き、《ウォリアー》の右肩からはショートしたような電流がバチバチと音を立てて光り始めた。次で決めないと機体がもたないと、彼女は察した。

「いっけえぇぇぇっ!」

 追加ブースタを使い――そのブースタからも微かに黒煙が上がっている――、一気に距離を詰める。対する『5』も諦めたわけではない。再度ビームソードを握り、《ウォリアー》を迎え撃つ。



 二機の距離がほぼゼロになった。『5』がビームソードを思い切り振る。



 しかし、『5』の視界にはビームソードで描いた白い軌跡しか映っていなかった。

 《ウォリアー》は、それの丁度真上にいた。ビームソードを振った後の『5』は、一瞬だが動けない。



 隻腕の戦士が、『5』に向かってビームソードを振り下ろした。




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