第三十九話:枕元のプレゼントは…
「写真?」
夏樹は片手に湯飲みを持ち、柊の差し出す写真を手に取る。
「うぃ、そです。サンタさんのくれたプレゼントは、クマのぬいぐるみにこの写真でした。何故でしょう?」
クリスマスの朝。昨日、夏樹はサンタクロースとして、桜子や柊、柚子の枕元にプレゼントを置くというイベントをおこなった。しかし、写真?柊にあげたクリスマスプレゼントはクマのぬいぐるみ一体だけのはず。枕元に写真などは置いてきていない。お茶を口に含ませながら、ちらりと夏樹は写真を見る。
「!?」
途端、夏樹の表情が一変する。
「うぃ、写真の人物は3人です。この大柄の男は父ですよね?つまり、この赤ん坊は小さい頃の兄です?」
柊は、夏樹の表情が変わった事に気付いていないのか話を続ける。
「…うぃ、つまり、赤ん坊の兄を抱いている女性は……母ですか?」
夏樹は額に汗が滲むのを感じる。確かに、大柄の男は若き日の父親であり、赤ん坊は幼い頃の自分である。そして、幼き自分を優しく抱き、写真に向かい微笑みかける女性。その女性は、空海家の母であった。
「母、なのですね?やっぱり、そうなのですね?…うぃ、私が欲しい物を知っているのは柚子と…」
柊が何か言っているが夏樹の耳には入ってこない。彼の額に汗が滲む。何故なら、柊が持つ写真。それは、この世に存在しないはずの写真なのだからだ。
空海 真里愛。それが、写真の女性。空海家の母の名前である。彼女は夏樹が17歳の時、持病が悪化してこの世を去った。そして、その時に空海家の父・空海玄治が彼女の写る写真を捨てたのだ。その為の理由。その為に空海家には母の写真が存在しない理由なのだ。
しかし、何故だ。何故に柊がその存在しないはずの写真を持っているのか。…サンタクロース。そんな事が夏樹の脳裏に過った。しかし、彼は馬鹿馬鹿しいと否定する。しかし、それでは何故に柊がこの写真を…?
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「母です。これが、私の母なんです」
柊はベッドに寝そべり、飽くる事なく空海家の母の写る写真を眺めていた。とても、嬉しかった。知りたかった母、見たかった母。柊はえへへと笑い、写真を胸に抱く。そして、思う。
「サンタクロースに弟子入り出来たのです。きっと、そして、私にプレゼントを…」
柊はそんな独り言を言い、公園で出逢った小さな悪魔の事を思いだす。
「うぃ、忘れません。決して忘れません、貴方のしてくれた素晴らしいプレゼント…。はやく、愛を配れるサンタに成れると良いですね」
柊は微笑む。優しく、嬉しく、そして、切なく。少女の不思議な出来事。ありえないほど珍妙で奇妙な出会い。その出会いは楽しかった。嬉しかった。だから、彼女は微笑む。別れはツラい。しかし、彼女は泣かない。
「だってクリスマスは、また、やって来るですからね…」
こんにちは。
ちょっと、話的に文字が少ないですね。その為、どこか物足りないし、分かり辛い。すいません。
とりあえず、第三十九話目。第三十八目の補足的話。その後、的な話ですが意外と重要?しかし、良い感じに文章が浮かばず、少量で断念。その為、内容もスカスカです。
えぇい、とりあえず次に行きましょう!!
では、今回はこの辺りで失礼致します。ありがとうございました。
空海家、母。実は登場済み。しかし、夏樹同様に名前は時間差。流石、親子?(笑)