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第三十話:柊と柚子(コロッケ少女)




 俺が退院して1日が経った。入院中、最初の内は気を失い寝ていたので入院生活をそう長くは感じなかったのだが、実際には一ヶ月も入院していたらしい。…道理で我が家が懐かしいはずだ。



 そんな事を考えながら俺は、いま地元で流行りの『ローズアリア』という洋菓子店のコーヒーを一口、飲む。



「みゅ、にぃ…」



 その声に俺は左下の少女を見る。そこにいたのはコロッケ少女である。彼女は俺の左隣に座っており、ベッタリと俺の腕に抱きつき満足そうに目を瞑っている。



「うぃ〜!!離れろっ、柚子ゆず!!」



 そこへ柊が現れ、コロッケ少女のほっぺたをつまみ上げる。




「みゅう〜…!?」



「うぃ、みゅう、ではない。兄は私の物だ。柚子ばかり兄とベッタリしてズルいぞ!?」



 ドタバタと暴れ回る柊とコロッケ少女。その度に俺の持つコーヒーが、チャポンチャポンと揺れる。


「うぃ〜っ!!」



「みゅう〜!!」




 さて、どうしたものか……。


 昨日、病院にて再会した俺とコロッケ少女。彼女は、あのニュー・エントランスビル事件の後、警察の尋問を受け、凛によって保護され彼女の家で過ごしていたのだが…。



『彼女を君の家で保護してやってくれないか?私の家に暫くいたのだが、何分なにぶん私の家にはもう一人の居候がいるのでな…。それに、彼女も君の家の方が良いと言っているし、どうだろう?』



 と、凛が言ったので俺は快く承諾した。大体、コロッケ少女を最初に保護したのは俺だ。彼女の行く場所が無いのなら、俺が保護するのは当然である。それに、コロッケ少女が来てくれれば、我が家も賑やかになる。そう思い彼女を我が家に受け入れたのだが、はははっ(笑)


「うっ、うぃ、うぃ、うぃ〜っ!!」



「みゅっ、みゅう、みゅう、みゅう〜っ!!」



 あぁ、ちょっ、コーヒーが…。


 そんな訳で、昨日初めて出逢った我が妹達とコロッケ少女。桜子の方は『まぁ、妹が一人増えたって思えば…。よろしくね、柚子ちゃん?』と言ってくれたのだが…。




「うぃ〜!!柚子のバカ馬鹿ばかぁ〜っ!!」



「みゅう〜!!馬鹿じゃないもん…」




 ん〜、ぽこぽこと二人が叩き合ってるよ。普通だったら、凶悪に見えるはずの殴り合いなんだけど。なんか、スッゲェ可愛く見えるのは俺だけだろうか…?


 いやいやいや、そうではなくて…。柊とコロッケ少女。昨日、初めて出逢った時からこんな感じである。彼女達にはお互い似た所があるから仲良く出来ると俺は思っていたのだが、似た者同士過ぎて逆に…て事だろうか?



「みゅう、にぃ…」



「うっ〜、兄にスリスリするなぁ!!…私もスリスリしますぅ!!」



 二人はぎゅう〜と俺に抱き付く。途端、俺の背筋にぞくぞくっと何かが走る。二人はまだ、幼い。そのため、女性として成熟していない分、所々にやや硬い感触が印象的である。だが、それ故に柔らかい所は柔らかいまま、より強調されているように思える。



 そんなふにゃ柔らかな感触に、あたふたと俺は動揺してしまう。別に彼女達は少女なのだから意識する必要はない。逆に意識し過ぎるのは犯罪であり、軽蔑するべき事である。だが、俺は動揺してしまう。というか、誰でもこんな状況に置かれれば同じ反応になると思う。残念な事は、この二人がまだ幼いという事…。これが成熟した女性であればより嬉しいのだが…。



「うっ?何やら兄がいやらしい顔に…」



「みゅ?」



 はっ!?…ごほん!!


 先程から柊はコロッケ少女の事を『柚子』と呼んでいるが、これは凛がコロッケ少女に付けた名前である。



 凛がコロッケ少女、もとい、柚子を保護した時に『名前が無いのは不便』という事で付けたらしい。ちなみに、何故に『柚子』なのかと俺が凛に聞いた所『自分の名前を考えてみると良い』と言ったのだが、未だに分からないままである。



「こんにち、はぁ〜!!」



 ん、何だこの間抜けな『こんにちは』は?そんな事を考えていると、ガチャリと廊下へと続く扉が開く。



「やっぽ〜、夏樹〜ぃ。居候に来たよぉん!!」



 太郎である。普段の白衣を纏い、どデカイリュックとハムスターのゲージを抱えた太郎が、そこに居た。



「はぁ!?居候ぉ?」


「うん、居候〜っ」



 何を急にコイツは…。そんなの桜子が許してくれる訳無いじゃん。…ん、あれ、待ってよ…何だ?何か忘れているような?……あっ!?



 その後、帰って来た桜子を説得するのに3時間を用したのだった。

 こんにちは。

 祝・話数30!?前回から今回にかけてはシリアス編とコメディ編のキャラクター顔合わせといった所。まぁ、コロッケ少女だけですが(笑)




 さて、第三十話目です。コロッケ少女、名前を改め『柚子』と命名。名付け親は凛ですね。名前の由来は夏樹、というか空海家に有り!?



 柊と柚子については似た者同士といった所。この二人は作者である私から見てもかなり似ていると感じます。『うぃ』とか『みゅう』とかの口癖も似ているし。当分は兄・夏樹の取り合いが続きそうかも?



 それでは、今回はこの辺りで失礼致します。ありがとうございました。



 柊と柚子。…彼女達は、ただ似た者同士という訳では無い!?

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