第十八話:脳天気な彼女と凛然な彼女…
病院は、退屈…。安静にしているのは良いのだが、あまりにもする事が無いので退屈だ…。
「ぴんぽーん…」
はぁ、桜子か柊が来ないかなぁ…。いや、どうせなら2人とも一緒に来て欲しいかも…。
「ぴんぽーん…」
でもって、2人に看病をして貰う…うふっ。うふふっ、いやぁ…最高じゃん?幸せ過ぎますーぅ、うふふふーっ!?
「ぴんぽーん…」
あははははーっ?桜子が、りんごを食べさせてくれてぇ…。柊は、本を読んでくれる…きゃぁぁぁーっ!!し・あ・わ・せぇーっ!?
「ぽんぴーん…」
ご使用の際は、用法、用量をお確かめ下さい…?
「いや、風邪薬のCMじゃないんだから…」
「やぁーと、反応してくれましたねぇ?さっきから、呼んでいるっていうのに…」
はぁ、誰か来ないかなぁ…。桜子と柊が一緒に来てくれたら最高なのになぁ。
「また、無視!?先輩、先輩、せんぱーいっ!!」
あっ、そういえば、今日は桜子が俺の着替えを持って来るって言ってたな…。はーやく、来ないかなーぁ?
「…あれ?これって逆にチャンス?先輩が私を気にしないって事なら…私が先輩にチュウしても気にしないって事じゃん…?よぉし、先輩、キスキスキース!!」
「いや、気にするし…」
「あぁあん、急に正気に戻らないで下さいよぉー?せめて、私のキスが終わってから…」
ゴスッ!!
「ぎゃっ!?」
意味の分からない事を言っているので、とりあえず、殴っておいた。
「いったーい、先輩は関白主義ですかぁー?そんな事は許しませんよぉー?結婚したらお互いが同等の関係なんですからねぇー!?」
いや、結婚してないし…。
…先程から、俺と会話をしているコイツ。名前は木下 日陰という。馬鹿げた名前だが本名だ…。俺の4年後輩で、小さい頃から近所に住んでいるお騒がせ女だ。
「先輩、大丈夫ですか?テロリストとやりあうなんて…馬鹿ですか?」
うるさいよ。てか、お前の頭が大丈夫か?馬鹿はお前だろ?
「…先輩、いま失礼な事を思いませんでしたか?」
うぉっ、何だ?やけに鋭いな…。
「凛お姉ちゃんから、先輩の制御法は、みっちりと教えて頂いてますからねぇ…。うふふふふ、逃げられませんよぉ…?」
「こわっ!?コラッ、近寄るなっ!!…ぎゃあっ?服を脱がすなっ!?」
『うえへぇっ』と俺に近寄り、服を脱がそうとする日陰…。マズイ、こいつ意外と力が強い…?
「こらっ…。君達は何をしているんだ、何を…?」
危うく服を全部脱がされそうになった瞬間…。病室の扉が開き、1人の女性が入ってきた。
「助け、助けてぅ?きゃうーっ!?変態が…変態が俺を手込めにするぅーっ…!?」
「手込めだぁー!!手込めだぁーっ!!先輩を手込めだぁーい!!」
きゃぁぁぁぅっ!?いやぁぁぁっ?ちょっ、マジ、あぁぁあっ!?
「…君達…」
「いやぁぁぁっ?」
「手込めだぁ」
「…いや、君…」
や、やめて。もう、離して…。蝶々は、翔ぶ姿が1番美しいんだよ…?だから、だからぁ…
「ひゃぁぁっ!?」
「手込めって何だぁ?」
ブチッ!!
きゃぁぁぁ。…ってブチッ?…何だ…今の音…?
「き、貴様らぁぁっ!!そこに、直れぇぇえっ!!修正してやるぅぅうっ!!」
ぎゃあぁぁっ!?何か知らんが怒ってらっしゃるー?
「うわわっ?凛お姉ちゃん?落ち着いて…落ち着いてぇっ…」
日陰の言葉など聞かずズンズンと近寄ってくる女性…。あ、死ぬんだね…。僕は今日…死ぬんだね…?
「…むぅ。夏樹…君は安静にしないか…」
「ひぃぃっ、ごめんなさい。氷川警部補、ごめんなさい…て、あれ?」
殴られない?あれ?いつもなら『貴様、安静にしてないと…強制的に落とすぞっ!!』とか言ってヘッドロックとかするのに…?
「貴様…今、変な事を考えただろう?」
「いへっ…めっそうもございません!!」
じろーっと凝視してくる氷川警察補…。彼女の眼力は、有り得ないほど強力だ…。その強力さは、犯人を自供に追い込む率100%なのである…。
「まっ、良い。それより夏樹…。勤務中じゃないんだ、から…その…」
何だ?急にしおらしくなったぞ?
「その…だな。役職ではなくて…名前、で…だな…」
「凛お姉ちゃん、かわいいー!!」
「ばっ、馬鹿?日陰、何を言って…」
おぉ?何だ?今度は、日陰をぽこぽこ殴り始めたぞ?何か、いつもの警部補じゃない?
「だから、いま私は、幼馴染みとしてだな…お見舞いに…」
あ、警部補の自己紹介がまだだった…。えっと、彼女の名前は氷川 凛だ。ちなみに、俺の幼馴染みである。昔から何故か俺に突っ掛ってくる奇特な方だ…。
「むっ、いま失礼な事を考えたな…?」
「いや、別に…」
そして、有り得ない程に鋭い…。そのため、子供の頃から彼女に嘘をつけた試しがない。
「まったく、人が心配しているというのに…。失礼な奴だ、君は…」
「心配…してくれたんだ…」
「ふぇっ?いや、その…あ、当たり前だろ!?」
…昔から彼女といると心が休まる。何故かは分からないが、彼女の一つ一つが俺を包み込んでくれる様で…。
「わわっ!?ちょっ、何を良い雰囲気になっているんですか?先輩?凛お姉ちゃん!?」
「ふぇっ?なななっ!?何を馬鹿な…あぅ、あぅあぅ?」
おぉ?スゲェ、氷川警部補の顔が真っ赤だ…。
「…て、痛い?いだだだだだっ!?ちょっ、氷川警部補?な、何故にヘッドロック?くるっ、苦しい…」
し、死ぬ、死ぬよっ!?ぐえっ?…だ、駄目だ。い、意識が…?
「凛、お姉ちゃん…先輩、白眼になってますけど…?」
「ふ、ふぇっ…?」
こんにちは。
今回は、女の子2人!!しかも、どちらも既に前の話にて登場済み!!
さて、第十八話目です。幼馴染み…出てきました。番外の彼女です。ただ、兄より階級が上です(笑)まぁ、彼女はエリートですし、兄は何かと問題を起こすのでね…。
後、後輩も出てきましたね。こっちは、前に家に来た後輩と同じ人です。
では、今回はこの辺で失礼致します。ありがとうございました。
兄、人生に3度はあるという…モテ期に突入!?