番外:夏樹
どうも、空海夏樹です。
「はい、じゃあ…今日の授業はここまで…」
ここは、中学校です。あぁ、自分、中学2年ですから。
「こら、貴様。次は移動教室だぞ?早く、用意をしないか…」
さて、この生意気な女子は、俺の幼馴染みである氷川 凛という厄介な奴だ。小さい頃から、事あるごとに何か突っ掛ってきます。…正直、ウザイです。
「むっ、今なんか…ウザイとか思ったろ?」
有り得ない程、鋭いな…。
「…まぁ、良い。…サボるなよ!?」
無理だな。俺はこれから、用事があるからな。だいたい、俺は義務より権利の方が好きなんだ。
「……サボるなよ!?」
……有り得ない程、鋭いな。
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「はっ、こんちわっす夏樹さん!?」
「ちぃーす!」
「ちゃーす!!」
「うーす!!」
「夏樹さん、ご苦労様ッス!」
「こ、ここ、こんにちはッス!」
「夏樹さん、はよっす」
「ちぃす、夏樹さん」
さて、学校の授業をサボってやってきた俺。ここは街からやや外れた場所に位置する某廃ビル。ここには、長年放ぽっておいて事もあって何十人もの不良達が集まる。いわゆるたまり場。その中で、会う奴、会う奴に挨拶をされる俺…。それもそのはず、俺はここにたまる不良たちが組するグループのリーダーなのだ。
「あぁ、皆…おはよ」
実際はもう昼近くなのだが…まぁ、不健康な生活をしている奴らの集まり。大抵の人間が昼起きが普通なのだ。
「夏樹さん、隣町の族の話なんですがね…」
今日もまた、抗争の話。別段、争いが好きという事ではない。実際の所は人と絡む事さえ億劫で、このグループにしても、ただただ、ムカつく奴らをシバキ回していたら…。いつの間にか、こんな大所帯になってしまっていたのだ。
「ふーっ…」
いつからだったか、こんなにも気だるい感情を抱き始めたのは…。別に、不幸な訳では無い。飯も食べられない奴らに比べたら、学校にも通え、飯も好きなだけ食べられ、何事にも縛られていないのだから、不幸な訳が無い。ただ、何か分からないが、いまは何もかもが全て無意味に思えてしまうのだ。そう、いまここに自分が存在する事さえも…
「まぁ、こんな事を言っていたら…母さんは、泣くし…馬鹿親父は鉄拳を飛ばしてくるんだろうな…」
「貴様、あれ程サボるなっと言っておいたのに…」
……おい、有り得ない程、鋭すぎやしないか?
「テメェら、コイツは集会所に入れるなって言っておいただろうがっ!!」
ビルのとある一室。その奥のソファにドカッと座っている俺に対して、ギロッと睨む凛…。
「いや、駄目って言ったんですが…姉さんが無理矢理」
「ウチの奴らで夏樹さんと姉さんに意見できる奴なんて居ませんぜ?」
「そうそう」
いや、あの、姉さんって…。何でコイツ、こんなに皆から上位に位置付けされてんだ?
「来い!!中学校は義務教育だ!!良い大人になれないぞ!!…こら、お前達もだ!!こんな不健康な生活を続けず、ちゃんとした生活をしろっ!!」
凛の説教から逃れるように散々になる不良達…。だが、逃がすまいと彼女も不良達を追い掛ける。
「逃げるな!!お前達を修正してやる!!」
「ぎゃああっ!!」
「姉さん、勘弁して下さい」
「助けてぇ」
「姉さん、やめて〜」
「いやぁぁぁあーっ!?痴漢よ強姦よ、いや、強……男?」
……はぁ、これじゃ、おちおち考えもしてられんよ……まったく。
「凛…」
「むっ?何だ、夏樹…?」
……ありがとう。
こんにちは。
とりあえず、時間が許す限り、投稿しています。まぁ、番外編なので書き溜めが多くあるだけなのですが…(笑)
兄の過去話ですね。トラウマは既にあるようで、どことなく暗いですね。てか、不良です…(笑)
さて、幼馴染みが出てきました。…この幼馴染み、別に番外編だけのキャラではありません…。なんと、既に本編に出ています。…えっ?どこに?…えっと、どこだろう?(笑)
では、今回はこの辺で失礼致します。ありがとうございました。
番外編…そろそろ、本編?