番外:とある家庭の、事情…
いや、暗い訳でして…。暑い訳でして…。汗だくの訳でして…。
「てか、花の高校生が何で警察の留置所にいるのかなぁ?」
俺の名前は空海夏樹・16歳。花も羨む青春真っ只中の高校生なのですが…。
「ガハハハッ!!親父様を怒らすと後が恐いのだ、夏樹よ!!」
こちら、ウチの馬鹿親父…。県警の捜査3課・特殊係に所属する刑事…。
「テメェ、何が怒らすと後が恐いだ!!俺が何をしたってんだ!?てか、寝てる間に留置所にぶち込むとはどういう了見だ、あぁ!?」
「あぁん!?テメェ、覚えてねぇてのか?ふざけんな!!お前は、お前はなぁ…昨日の晩御飯で母さん特製ハンバーグを俺より一個多く食べたろぉぉがぁっ!?」
馬鹿かぁぁあっ!?何を言うとるんだ、この馬鹿親父は?俺が、母さんの特製ハンバーグを一個多く食べたぁ?
だから、息子である俺を留置所にぶち込んだんだとぉ!?
「母さんの、母さんの…あの愛情ハンバーグはなぁ。…俺のだったんだよぉぉおっ!!うおおおおーん!!」
馬鹿親父は意味の分からない事を言い、子供の様に泣き叫ぶ。しかし、その泣きっぷりを見ていると何だか…
「おろろーん!!だから、だからぁー。テメェをデストローイ!!」
ふざけんなぁぁっ!!何を考えてんだ、馬鹿親父がぁぁっ!!
「うっふっふっふっ…」
あー、…何をしているのかな?てか、何かな?それ…
「うふふっ。こりはねぇ、親父様が丹念に改造を施した銃でねぇ。オートマグ3改・ゲシュペンスト=イエーガーって言うんだよぉー?うふふふふふーっ?」
うふふふふふーっ?そんな事を聞いているんじゃないんだよー?その銃をどうするつもりかと、聞いているんだよー?あははーっ…。
「最近、手入れをサボってたからなぁ…。暴発しちゃうかもなぁ…?」
だれかぁぁあっ、助けてぇえっ!!てか、警察はこいつを逮捕しろよぉぉぉっ!!
「よいしょっと…」
「銃口をこっちに向けんなぁぁぁあっ!!」
ヤバイよ、ヤバイよ、ヤバイよこの人!!目がめっちゃマジなんですけどぉぉぉっ!?
「こらぁぁっ!!玄ちゃーん!?夏くーん!?」
うおおおおっ!!天の…いや、母の助けだぁぁっ!!
「むぅ。どうして、君たちは私のご飯を食べずに朝早くからいなくなるのかなぁー?」
ぷんぷんという擬音が似合うような怒り方をする俺の母親…。
「ひぃ、ごめんなさい、母さん!!」
えっ?何その反応?…親父って、馬鹿?母さんなんて全然怖くないのに…。
「むっ…ふむ、分かればよろしい…」
「ふー…」
…なんだこの夫婦?
「あれ?夏くん、そこで何してるの?」
いま気付いたんですか母さん?…遅いよ。
「そぉだ。丁度、良かった。あのねぇ、夏くんはぁ…弟、妹、どっちが良いぃ?」
…えぇと、どこをどうみて丁度が良いのかな?てか、そんな相談は夫である親父にして下さい…。
「…母さん。また、その話を蒸し返すのか?」
なんだ?いつものおちゃらけた親父が…何かシリアスな顔に…。
「夏樹を産んだだけ良しとしようって…あの時、決めただろう?お前の体は…そんなに、丈夫じゃないんだから」
…あー、いきなり、シリアスなんだけど?てか、俺…置いていかれてる?
「うぅ。でもでも!!」
「でもも、かもも、ない!!…頼むよ、母さん。わがままを…言わないでくれ。もし、子供をまた産むことになったら…今度は本当に死ぬんだぞ?…俺を、俺を置いていかないでくれ!!」
…シリアス過ぎ!!何をこんな警察の留置所で語らっているの!?てか、早く俺をここから出せぇっ!!
「なぁぁぁっ!!夏樹、うるせぇ!!何をガンガンと鉄格子を蹴ってんだ?警察の留置所で遊ぶなっ!!」
お前が連れて来たんだろがぁぁぁっ!!俺だってこんな所で遊びたく無いわぁっ!!
「ぐすん、玄ちゃんの馬鹿…」
「えぇっ!?何で馬鹿?どこら辺が馬鹿?直すよ?母さんが嫌だって言うなら即効で直すからぁぁあ!!」
うぉぉぉんとガキみたいに泣く馬鹿親父…。正直、いい気味だと思う。でも、…クソッ!!母さんが、まだ暗いままだ…。折角、邪魔して話を逸らそうとしたのに…。
「…母さん?」
「うぉぉぉん、母さぁん!!」
「だぁぁあっ、五月の蝿!!いや、うるさい!!」
母さんの顔が見えない。…泣いているのか?クソッ、泣くなよ…泣かないでくれよっ!!
「ぐすっ。別に…産むから親なんじゃないもん。そりゃ、産んだら親だよ?でも、育てたって親だもん」
「…母さん…」
そっと母さんを包み込ように抱く親父…。
「だからね…。親って、決めるのは愛だと思うの!!愛があれば、皆、幸せなんだよ!?…ねっ?そうでしょ、玄ちゃん?」
愛が有れば…。母さんがいつも口する言葉…。いつも、ニコニコで我が家の太陽の母さん…。愛か…。確に、愛、されてるよな…俺。…親父、どうすんだ?ここで、養子縁組を拒んだら…
「分かったよ、母さん…。そうだよな、そんな考え方もあったよな」
「えへへっ。あのね、もう調べてあるの。県内に結構あるみたいなの養護施設って…」
ちっ、やっぱ…親父が一番か…。まぁ、そりゃそうなんだがね…。
「よしよし、じゃ、あっちで話をしよう。なんかここ暗いし、環境悪いし…」
「うん!!」
はぁ…。とにかく、やっと出られる。さっさとこんなジメジメした所とはおさらばだ…。
「はぁ、おい、早く鍵を…て、あれ?親父?母さん?…えっ?あら?ちょっと?ちょっとぉぉっ!?」
あは?あははっ?えぇと、何というか…置いていかれた?話的にとかじゃなくて…物理的に、置いていかれたのかな?は、はははっ……
「こぉの、馬鹿夫婦がぁぁぁあっ!!」
こんにちは。
番外を次々に載せていきましたが…。今回、番外編にて、一番シリアスかも?
兄が16歳の時の、空海家の面々ですが。兄・夏樹と親父とお母さん…あれ?シ、シリアスです…。
さて、親父と兄の関係…。どこかの神話を匂わせます。この時の兄はマザコンだったんですね。そして、同族嫌悪でもあった…。
お母様は、親父より位が上。つまり、母親最強説?(笑)
とりあえず、ちょっと?昔の話…。空海家の昔話でした。
では、今回はこの辺りで失礼致します。ありがとうございました。
兄の口グセ?は母親譲り。主婦的な所とかも、ここから…(笑)