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第十五話:高さ65階にて、決着…



 どれくらいの時間が経ったのだろうか…。いや、実際には10分も経っていないのだろうが…。それだけの時間、フルに命の取り合いをしていたのだ…。疲れないはずがない。



「はぁ、はぁ、はぁ」


 俺は左脇腹から抜いたナイフを右手に装備し、月影はストックなのか別のナイフを忍者刀のように装備し構えている。



 俺も月影も一歩も引かない。雄雄しく、ライオン同士のケンカの様にぶつかり合う俺達二人。


 『おおおっ!!』、『がぁぁぁっ!!』、『グォォォオッ!!』


 悲痛の叫びにも聞こえる俺達の叫び。


「はあああっ!!」



 月影が気合いの叫びと共に走り、近付いてくる。……右!?



 ヒュン!ヒュン!と幾度もナイフが俺の体をかすっていく…。


「はぁ、はぁ、はぁ。…なかなか当たってくれませんねぇ」



「ぜぇぇ、ぜぇぇっ…ごほっ、ごほっ!!」


 クソがっ!!当たってくれない、だと!?

 確かに、月影のナイフは俺に当たらない。当たらないが、俺は避けるので精一杯で月影に攻撃をほとんど加えられない。これでは、何のためにナイフを奪ったのか…。


「…ふふっ。攻撃は当たらないですが、ダメージには…なっているみたいですね」



「!?」



 月影のその言葉に俺はハッとする。汗?



 俺の全身は有り得ない程に汗だくになっていた。血液が流れているのだと思っていたのだが…いや、それもマズイのだが…。とにかく、汗だくの俺。経験した事のない不快感が襲う。



 頭痛、吐気、鼻水、寒気、体の至る所から悲鳴が聞こえてくる。


「辛いですか?」



 辛い…。アドレナリンが分泌されている筈なのに、異常に動きが鈍くなる。



「遅い!!」



 あぁっ?



 よろめいた俺に月影は容赦なくナイフを突き立てる…。マズイ、避けねば…駄目か?



「ひゅーっ…ぐっ、があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!!」



 ガギィィィイン!!


 避けられないと思った俺は月影に対し真っ向から対峙する事にした。つまりは…



「ぐっ!?馬鹿な?ナイフをナイフで受け止めた!?」



 と、いう事だ。ガチガチガチッと、俺と月影の力が拮抗しナイフ同士が震える。



 拮抗を保ったままの俺達…。しかし、段々と俺の方に力が入らなくなる。血が足りない?ガチガチと震えるナイフだが、震えているのは俺も同じだった。


「ふふふっ…。段々とナイフが、貴方に近付いていっていますよ…?」



 月影の言葉通り、力に押されて2つのナイフが俺の顔辺りに近付いてくる。


 苦しい。息が出来ない。何が何だか分からない。手が、体が、ジンジンと痺れていく。このままでは押し切られる!?



「………夏樹さん…」


「?」



 不意に月影が語りかけてきた。今まさに、この死闘の決着がつこうという所に、何故?



 「…ここで負ければ…貴方の家族がどうなると思います?」


「な、に!?」



 ピクッと俺の眉が動く。



「我が組織は最早、空海家を黙って見過ごすわけにはいかない。だから、もし、貴方が負ければ…私は、空海家を潰します。…もちろん、貴方の身近な人達から…」



 はっ!?何が!?潰す?誰を?空海家?俺の身近な人達?…俺の…大切な人達?…大切な妹達を…?


「どうします?…差し当たって、まず、貴方の妹さん達から…」


 ブッチィィイッツ!!



 聞こえた。俺には、その時、確かに血管のキレる音が聞こえたのだ…。



「つぅ、きぃ、かぁあ…げぇぇぇぇぇぇえっ!!」



 バキィィン!!と俺の力で両方のナイフの刃が、同時に砕け散る。



 月影の…。奴の胸ぐらを掴み、ゴッチィィンと俺の額を月影の額にぶつける。



「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す、殺すぅっ!!」



 ゴン!ゴン!!ゴン!!!ゴン!!!


 幾度も幾度も、幾度も俺は月影に頭突きを繰り返す。奴の額が割れたのか俺の額が割れたのか、俺達の頭は、俺達の顔は、鮮血に染まりグチャグヂャになる。


「ぐっ、はぁっ!?」


 遂に耐えきれず、月影が顔をあげる。それを、区切りに俺は拳を挙げ…!!


「があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」



 おもいっきり月影の顔面を殴り飛ばした…。



 聞いた事の無い音が辺りに鳴り響き、月影が後ろへと吹っ飛ぶ。


 まだ、殴った感触が拳に残っている。ジンジンと痛む拳、しかし、あの感触は月影の鼻がグニャリと曲がった感触だ。奴の鼻の骨を砕いた事は、まず、間違いない。…だが、まだだ!!まだ、足りない。妹達を傷付けると言ったこのクソ野郎は、まだ、許せない!!


「ぐあっ…!?あああっ…。うふっ。うふふふふふっ…。まだ…まだ、私は生きていますよ?早く殺さないと、貴方の大切な妹さ、んぐっふぁぁぁあっ!?」



「喋んな糞カスが」



 月影がガクガクと立ち上がり、しつこく妹達の話をしようとしたので言い終わる前に奴の顔面を再度、強打してやった。



 ガコンと窓側に倒れ込む月影。奴は何度も頭突きをされ、二回も殴られ、フラフラだ。しかし、フラフラのはずの月影は立ち上がる。



「はっ!!冷めねぇなぁ!!まだまだ、殴り足りねぇ。テメェがさっき言った事は、万死に値する!!」



 だから、何度立ち上がろうが関係ねぇ…。倒れねぇなら、倒れるまでど突き回すだけだ。


「ぁぁあっ!?ゴフッ?ぶっひっ、ぶふふふふっ。私を殺さない限り、貴方の妹達は組織が狙う!!それが、嫌なら…!!」



「ああっ!!じゃあ、テメェをここで殺して組織も潰す!!」



 最後だ!!怒りで立ち上がり、怒りで月影を殴り飛ばしたが…次で最後。もう、力が湧いてこない。だから、これが、最後の一発!!



 ゴッキィン!!と三度目を月影に叩き込む。どこをどう殴ったのかさえ分からない。ただ、月影は吹っ飛び、俺は勢い余って前に倒れ込む。



 バリィィン!!


「!?」



 ガラスの割れる音…。俺に殴り飛ばされた月影が窓を突き破り、外に出てしまったのだ…。



「…貴方の…勝ちです。…ありがとう。やっと…やっと、死ねる…」



 死ねる?



「!?」



 忘れて、いた。階にして高さ65階の超高層ビル!!ここは、その、最上階だ。その最上階の窓を突き破って外に放り出されたという事は…!?




「つ、月影ぇぇぇぇぇえっ!?」

 こんにちは。

 兄と月影の対決…一応の決着がつきました。エントランスビル事件編も次話で終わり。…やっと、やっとコメデイ編に!!



 あっ!でも、面白くなかったらどうしよう。てか、また暗い方向に物語を持って行きそうかも…(笑)



 とりあえず、第十五話目です。兄は無敵超人なのでしょうか?だいぶ、痛めつけてやったんですが(笑)…まだ、生きていらっしゃいます。


 兄は大丈夫なのか、月影は果たして…?まぁ、とにかく、次話でエントランスビル事件編は終了の予定!!



 では、今回はこの辺で失礼致します。ありがとうございました。



 兄に妹達を傷付ける、もしくは、侮辱する言葉は…禁句!!

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