ぷろろーぐ
アニマルコメディはじめました。
「ねえねえかえでちゃん、虹草ってしってる?」
ヒナタがそう言ったのは、七年前のことだった。
「西のほうにある山って、すごくおっきいでしょ? あそこのどこかに虹色の草がはえてるんだって。もしその虹草をひとつ見つけることができたら、お願いごとがひとつ、かなうんだよ」
「そんなの、うそに決まってるじゃん」
カエデはあきれた。
「そんなのがほんとうだったら、おとながみーんな見つけちゃってるよ」
「それがね、おとなは見つけられないんだって」
「うっそだー」
「ほんとだよ。みーちゃんがゆってたもん」
みーちゃんとは、ミナトのことだ。
ミナトはなんでも知ってるから、カエデはもしかしたらほんとうに虹草があるのかもしれない、と思った。
「だからさ、こんどみーちゃんとかえでちゃんとヒナの三人で、虹草をさがしにいこうよ!」
「ヒナはなにかお願いごとがあるの?」
「ううん。ないよ」
「じゃあどうしていくの?」
「だって、たのしそうだもん!」
ヒナタは満面の笑みで答えた。
「ねっ! いこっ!」
「うん……」
高学年にもなって、虹草なんてものをさがしに行くのか……。
カエデは、もしみんなにこのことがばれたらはずかしいな、と思いつつうなずいた。
「ねえテンちゃん。テンちゃんもいくよね?」
ヒナタのすぐうしろには、ぼうっとした表情の男の子がいた。
テンヘイはすこししてから、ヒナタの言葉にうなずいた。
「う、うん。僕もいくよ」
そして翌週の日曜日、虹草を探しにいったものの、当然のように見つけることはできなかった。
しかし、そこでカエデは違うものを見つけることになる。
それは小さな小さな、猫の赤ん坊だった。
うろな町参加作品です。
うろな町参加者以外の方も楽しめるようになっております。
では次回から本編すたーとです