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MAGIN ―アゼルの魔導士達―  作者: カシミア
終幕 魔導士の帰還
50/51

11-03

 その後、アイシャは事務処理のため一旦学院に戻っていった。残ったティノたちは部屋の掃除だ。記念すべき最初の任務である。ベッドの上にちょこんと黒猫がすわった。


「いいかみんな。俺がリーダーになったからには、俺の言うことはちゃんと聞いてもらうぞ。わかったな、いいな。なんたって俺がリーダーなんだからな。ほらそこ聞いてんの?」


「はーいっ」


「元気のいい返事だけどな、ソル。お前が一番独断専行すんだよ、お前が。わかってる? いいかみんな、リーダーの言うことは絶対だ。俺のいうことは何でも聞くんだぞ。絶対だぞ」


「はーいっ」

「こら、ビビとシャナ、お前らだけ返事がないぞ」


 二人はティノに構わず、掃除の準備に取り掛かっている。

「清掃用具どこかしら?」

「下に行ってミーシャさんに借りてきましょ」

「そうね」

「ソル、カイトも行くわよ」

「うんっ」

「わ、わかった」


 そして部屋に静寂がおとずれた。


 黒猫はジタバタと暴れた。



     * * *



 シャナトリアたちは手分けして部屋の掃除に取り掛かった。

 ティノは皆の働きぶりを眺めながら、ときどき応援する。そしてベッドの上でゴロゴロ。これの繰り返し。


「ハァ、いいご身分ね。リーダーさん?」


「そうとも俺ぁ、リーダーだぜ。

 それぁつまり、隊長(キャプテン)てことだ。

 隊長は貴族がなるもんだ。

 貴族は労働なんてしねえんだぁ」


 そういってティノはお気楽にゴロゴロするのだった。

 シャナトリアはカチンときた。


「にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃ!」


 首根っこをつかまれた黒猫は隅に置かれてあった鳥かごの中に放り込まれてしまった。

「邪魔。このベッドシーツも洗うから、あんたはそこで頭でも冷やしてなさいね」

「にゃーっ、出して」

 貼りついたような笑顔のシャナトリア。黒猫の泣き声にソルフィスがすっとんできた。

「ちょ、ちょっとシャナ。いくらなんでも可哀そうでしょ」

「ふん。いいのよ、こんなバカ猫。のぼせ上がってるみたいだから、丁度いいでしょ」

「出して出して。わかった掃除手伝うから、ここから出してー」

「へえ、どうすんの。モップ代わりにでもなってくれるの?」

「にゃー!」


「シャナ、言いすぎだよ! そんなにいじめないの、ほらマジ泣きしてるじゃん……」

「ソルはティノに甘あまなのよ。それこそダメよ、こいつはもう隊長さんなんだから」


 ソルフィスはぷるぷる震える黒猫をかごから出してあげた。


「まったくもう……、それに懲りたら、大人しくしてるのよ。隊長さん」


 リーダーらしく威厳を振舞おうとして、ちょっと背伸びしただけなのに、この仕打ち……。

 ティノがシャナトリアから本当に認めてもらうには、もう少し努力が要りそうだ。


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