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おにいちゃん☆注意報  作者: おりのめぐむ
おにいちゃん☆注意報
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二足わらじの女子高生

 白いブラウスの上に羽織った紺のブレザーに黄色系のチェックのプリーツスカート。

 胸にはビルだか何だか分からない模様のエンブレムがあって襟元には赤いリボン。

 それが今、あたしが鏡に映っている姿。

 雰囲気的には制服っぽい、可愛いんだけど見たことの無い洋服。

 翌日の月曜日。

 平日である今日、早朝5時半にマサさんからのモーニングコールで叩き起こされ、おにいちゃんのためにひと働き。

 結局昨日はしっちゃかめっちゃでマサさんを困らせていたみたい。

 そして今日も相変わらず失敗ばかりで時間だけが過ぎていった。

 …一生懸命やってるんだけどね。

 何故だか間に合わない? からとマサさんに強制バトンタッチであたしはおにいちゃんと共に朝食にありついた。

 7時からの食事を黙々と食べ終わること30分。

 突然、部屋に行って用意している服に着替えてこい! のおにいちゃんの鶴のひと声。

 スーツ姿のおにいちゃんは優雅にコーヒータイム。

 言われるがまま、クローゼットを開けてみると掛かっていた真新しい服。

 さっきまで無かったのに! いつの間に用意されてるのやら。

 そして例のメイド服から着替えたシロモノ。

 ノックの音がし、まだかとおにいちゃんが顔を覗かせた。


「い、今行く」


 慌ててきびすを返すと足がもつれてすってんころりん。

 嫌になっちゃうな、ホントに。



「何だ、この足は?」


 黒ベンツの車内でおにいちゃんが呆れた声を出した。



 転んだ後、おにいちゃんが駆け寄ってきてひざ下と背中に手を通して持ち上げられた。


「大丈夫だよ。歩けるから」


 おにいちゃんの顔が間近にあり、抱きかかえられていることに気づく。


「…時間が無いだろ」


 抑揚の無い声で答えると部屋から出、すたすたと階段を下りていく。


「行ってらっしゃいませ」


 玄関で執事の永井さんがドアを開けると目の前に黒光りのボディが。


「運転手の中川だ」


 車のドアを開けて待っている前にも見かけた黒スーツに白い手袋の人がいた。


「おはようございます。貴裕様、葵様」


「…ぇ? あ、おはようございます…」


 抱えられた状態での紹介であたふたしたまま、乗り込む形となった。

 座席に腰掛けたところでさっきからひりひりする足を見る。

 膝丈のスカートだったからちょうどひざ下の部分を絨毯の摩擦で擦り剥いたみたい。

 こんな怪我は日常茶飯事! 唾を付けてれば治る!!

 で、そうしようとひざに顔を近づけている時のことだったんだ。


「さっき転んだ時に怪我した擦り傷っぽい」


「…いや、それ以外は何だ?」


「…それ以外?」


 よく見ると足の周りは痣や傷だらけ。

 考えてみると階段から落ちるわ、ぶつけるわで心当たりが多々。

 もちろん足以外に腕にも同じ症状が…。

 生傷の絶えないあたし、笑って誤魔化すしかなかった。


「葵らしいな…。だけどもう少しどうにかならないか…」


 ため息交じりのおにいちゃん、どこからともなく薬箱を取り出し、手当てしてくれた。 


「そういえばさっきから時間が無いって慌ててるみたいだけどどこか行くの?」


 移動中の車窓の外が気になってしょうがなかった。


「学校だ」


「が、学校?!」


 これからはマサさんの指導のもと、おにいちゃんの専属としてメイド紛いに専念させられるんだろうなぁ…て思ってた。

 まさか学校とは予想してなかった。

 ってことは今来ている服は制服ってコト?


「…ちょっと待って。こんな制服知らないよ」


 だって先週まで着ていた制服とは明らかに異なってるもん。


「当たり前だろ。新しい学校に転入してるんだから」


「てん、にゅう?」


「前の学校から転校したってこと」


「ええ~~!! いつの間にぃ~~?」


 そんな風に驚いていると運転席と後部席をふさいでいた仕切りがスス~と開く。

 車の正面からレンガ造りの立派な門扉に掲げられた修美院学園という文字が目に入る。


「今日からここが葵の通う学校だ」


 校門を抜けると並木道が現れ、何台かの車が列をなしていた。

 ゆっくりと進む車の先には噴水っぽいものが見える。

 さらにその奥に白っぽい大きな建物があるみたい。

 車が進むにつれ、白っぽい建物の左右にレンガ造りの校舎があった。


「左側に見える建物が高校で右側が大学院。噴水の向こう側に見える白い建物が講堂だ」


 やがてベンツは左側の校舎へと近づき、停車した。 

 修美院学園付属高等学校と書かれたプレートが正面らしい玄関にある。


「事務室に向かえ。入ってすぐのところにある」


 車から降りてあたしの横に立つおにいちゃんは肩にぽんと手を置いた。


「葵、クラスメイトに何を聞かれても余計なことを言うなよ。オレとの関係や家で葵がやってることとか、な」


 分かりましたとコクンと頷く。


「あと昼休みが12時半からだ。授業が終わったらすぐに噴水の前に来ること」


「え? 何で?」


「ランチのために決まってるだろ。葵はオレの専属だからな」


 学校に通うことになってもおにいちゃんの専属は変わらないって事か。


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