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おにいちゃん☆注意報  作者: おりのめぐむ
おにいちゃん☆予報 ~「おにいちゃん☆注意報」番外編~
34/85

中川のドライバーズ日誌~2月から4月まで~

 2月13日。

 貴裕様のご指示により、某所のアパート前で待機。

 父と娘らしき親子をお迎えにあがるため。

 貴裕様の専属になってからご本人以外の方をお迎えにあがるのは初めてのこと。

 粗相のないように気をつけなければと気合を入れておく。

 お屋敷到着後、しばらくして今度は貴裕様を含めて3名様のご移動。

 場所は藤堂家のご愛用の老舗旅館、清明館。

 ひっそりと人里離れた場所に佇んでいる歴史ある館だ。

 数日前に降った雪が少しだけ轍に残っていたが運転に差し支えない。

 一時間も経った頃、貴裕様が車にお戻りになる。

 やけに真剣な表情だったのが印象的だ。

 夜間の山道の運転になるので慎重に進む。



 2月16日。

 貴裕様の専属ということでご紹介された葵様。

 先日、お迎えにあがった時には全く存じ上げずにご挨拶が遅れてしまった。

 別館に住み込みでマサさんから直々に仕込まれるということを耳にした。

 また葵様はご勉学も大事ということで貴裕様と同じ学園に通うことになったらしい。

 そのご登校初日の貴裕様に抱えられてのご乗車。

 伺えば足にお怪我をされているご様子で慌てて薬箱をご用意。

 心配するほどではないとの事、が、いつお怪我を?

 葵様、貴裕様を降車後、一旦はお屋敷へ。

 お昼近くに再び学園に向かい駐車場で待機。

 貴裕様より昼食の運搬指示されており、連絡が入ればすぐにお渡しする旨。

 今まで昼食を依頼されることがなかったので感慨深い。

 少し重い籐のバスケットはシェフの張り切りようが伺える。

 ご昼食後、軽くなったバスケットを受け取り、つい顔が緩む。

 食の細い貴裕様がお召し上がりになった! ときっとシェフが泣いて喜ぶに違いない。

 それからすぐ会社の方へと移動。

 貴裕様は院の方に通い始めてからずっとこの生活の繰り返し。

 健康でお若いからといってもハードな毎日だろう。

 更に本日は夜の7時を過ぎた頃、会社の駐車場に待機中、マサさんから連絡が入る。

 驚くことに葵様が貴裕様のご夕食をお運びになるとの事!

 お仕事中のため、門前払いを受けるのではという心配をよそに階下には警備員のみが戻る。

 しっかりと食べていただけてるようで本当に喜ばしい限り。

 帰りの運転は心なしか軽快。



 3月14日。

 本日は午前中から貴裕様と葵様がお出かけということで送迎。

 目的地は某所の夢の国。

 普段よりお綺麗な姿の葵様が印象的。

 貴裕様も心なしか楽しそうに見える。

 丸1日かけて探索なさるそうでお迎えは夜でよいとの事。

 時間になりお迎えにあがるとさすがにお疲れのご様子。

 お食事もとっていないという事で途中で某ホテルのレストランで降車。

 その後、帰路へと向かう。

 車内では先程と打って変わってお元気な葵様。

 到着後、貴裕様の笑った口元が目に入る。

 一瞬の表情ですぐに元にいつものご様子に戻られたが見逃さなかった。

 きっと楽しい時間を過ごされたに違いない。



 3月18日。

 ここ最近、葵様の元気がないのが気になる。

 いつもなら満面の笑みを浮かべてご挨拶なさるのに。

 おそらくお一人でご登校するのが寂しいのに違いない。

 先日は呼び止められ、昼食をご一緒させていただく。

 美佳子様がいらっしゃってから往来が激しくなる。

 本館付きのベテラン専属ドライバーがいるのにも拘らず、こちらを利用することが多いためだ。

 葵様を学園へ往復。美佳子様を学園、会社、プライベートなどで往復。

 貴裕様はお屋敷にお戻りにならず、ホテルで仮住まい。

 そのため、学園、会社、ホテルなどで往復。

 目の回りそうなルートで居眠り運転だけは注意しなければ。



 3月27日。

 学園が春休みに入り、送迎が貴裕様の会社のみとなった。

 先日までの忙しさとは打って変わった運行状況だ。

 しかも貴裕様の帰宅が普段よりも早くなっている。

 葵様の勉強を見られるということだが楽しそうに見える。

 また桜の名所で楽しめるところを調べておくように告げられる。

 春の陽気とともに貴裕様も以前と比べると微笑む姿を多く感じ、この上ない。



 4月8日。

 新学期が始まったようで学園への往来が復活。

 明人様もお戻りになり、本館、別館ともそれぞれが活躍。

 ところが本日の放課後のお迎えの際、明人様が突然ご利用に。

 本館ドライバーに事情を説明し、2台連なりお屋敷へ。

 途中、明人様のやんちゃが始まり、少々困惑。

 それに葵様が止めに入ったらしく、身を乗り出して遊んでた際には誤って窓を閉めるスイッチを押したらしく明人様の顔が挟まれる始末。

 さすがに懲りたのかそれから静かになり、無事に到着。

 運転中は何もできないので注意が必要。

 願わくばこれから問題のないように運転できれば、と。

 また貴裕様が少々元気をなくされているようにお見受けする。

 何事もなければよいのだが…。


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