その嫌な音の持ち主が
掲載日:2026/07/13
私の人生初にして最後になるだろう、ホラー作品です。
ホラーは、ほぼ読んだことも見たこともないので、これがホントにホラーなのかも分かりませんが……。
実話を元に書かせて頂きました。
これは今から十年ほど前、とある夏の日のことでございます。
私はいつものように仕事へ行くために、車を運転しておりました。夏真っ盛り、しかしその朝はまだ少し涼しく、冷房ではなく窓を開けて走っていたのでございます。
快適に走っていたそのときでした。
プーン
何とも嫌な音が、私の耳に聞こえたのです。
反射的に右手で耳元を払いますが……。
プーン
プーン
その音は続きます。
いやだ最悪。
そう思うものの、運転中なのでできることは限られており、出勤途中で車を止めて、件の音を出す虫と長く対決してもいられません。
仕方なくそのまま走り続けます。腕に痒みを感じても、引っ掻くだけで他にできることはありません。
プーン
なおも聞こえる、その音。反射的に手で払います。
どこにいるんだろう。
そう思って、なんとなくルームミラーを見たときでした。
――そのど真ん中に、フヨフヨと浮かんでいる蚊が、映っていたのでした。




