踏切
新学期だ。
ああ、クソッタレな学校が始まる。
寧々の机の上には、花瓶が置かれている。
もうあの個人LINEに、新しいメッセージが来ることはない。
9月だというのに、まだ絶望するほど暑い。
まだまだ夏らしい。
夏の静寂を切り裂く、一筋の悲鳴。
花瓶を見て悲しむ、杏奈たち。
ホームルームから四時限目まで、寧々の話で持ちきりだ。
寧々は身を投げたらしい。
緊急全校集会でも、その話がされた。
誰もが悲しんでいた。
その話を聞きながら、杏奈達は笑いを堪えているように見えた。
私は毎晩寧々に謝った。
私のせいだ。
私は心を折られた。
同時に寧々の心を粉砕したのだ。
私は許されろわけにはいかない。
それ以降のいかなる学校生活は、抜け殻のように過ごした。
もはやただ学校に来ているだけ。
成績は下がる一方だ。
親は精神科受診を勧める。
もう手遅れだと、薄々勘付いていた。
ああ、なぜこうもずっと空は青いのか。皮肉なのだろうか。
世界を憎んだ。己を憎んだ。
その前を通るたびに、蝉の声と、悲痛な表情と、踏切の音がフラッシュバックする。
抜け殻のように進級し、あのクソどもとは別れた。
2年になった。
しかし学校になど行かなかった。
病院にも行かない。ただ自室で、帰ってくることのない個人LINEに謝罪文を送り続ける。
あれ、もう夏休みなんだ。
そう癒えば、宿題に読書感想文があったな。
私は足早にコンビニへ駆け込み、コピーを何枚か取った。




