仕事が無い!⑤
「フルダイブ型のVRで一位とれるくらいなんだし、いけるっしょ」
「いや、だとしても、朝日のだろ? 壊したら───」
「あげるよ。私が買ったんじゃなくて、兄貴が二個セットだと安いとか言って買っただけだし」
「いや、それはその兄貴に悪いよ」
「まぁまぁ、細かいことはいいから。それにこのゲームで10位以内に入れば、ゲームPRプレイヤーになれるらしいよ。一位の人なんて月100万ももらってるなんて噂もあるし」
「ひゃ、100万……」
あまりの大金に唖然とする。
だが、すぐに現実を見る。
「でも、知ってるだろ? 朝日、俺運動は全然できないってこと」
「でも、強くなれるきっかけにはなるかもよ?」
言われてみればそうだ。
今までは、やらなければいけないからやっていた。
だが、目的があれば少しは体を動かすきっかけにはなる。
結果的に引っ越しのバイトとか肉体労働にも対応できるようになると考えた。
「わかった。やってみるよ」
「決断が早くて助かるよ。あ、デバイスとかいつ渡せばいい?」
「朝日の都合がつく日に連絡くれれば受け取りに行くよ」
「わかった。じゃあ、また後々連絡するね」
「あぁ」
アラタは短く答えると、ベンチから立ち上がり、駅へと向う。
「いーの?」
「何が?」
「あれ、本当は朝日がお金貯めて買ったやつでしょー?」
「や、八重? 何で知ってるの?」
「ひーみーつー」




