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(改)6話 「愚か者よ」

光輪の揺れる部屋。

海の光がゆっくりと壁を滑る。

如月博士は、観察者たちを前に静かに口を開いた。



◆1 如月博士──“地球の寿命を先に殺す者たち”


如月

「……誤解しないでほしい。

 グローバリストは、地球を壊したいわけではない。」


伯爵

「では、何を望んでいる?」


如月はホログラムを切り替えた。

世界地図に赤い“酸化ポイント”が浮かぶ。


如月

「彼らの目的は──環境の寿命を

 人間の寿命より“先に”終わらせることです。」


その言葉に、部屋の空気が揺れた。


リンダ

「……なぜそんな狂ったことを?」


如月

「狂ってはいません。

 “彼らの思想体系では論理的” です。」


パイカル

「聞こうじゃないか、その歪んだ理屈を。」


如月

「人間は環境に依存する。

 環境が死ねば、人間は弱くなる。

 弱くなる人間は、管理しやすい。

 管理された人間は、従順になる。」


伯爵

「つまり“自由意志の破壊”か。」


如月

「その通り。

 彼らは 自由意志こそが人類最大の欠陥 と考えている。」


リンダの目が怒りで細くなる。


リンダ

「魂の否定……そういうことね。」



◆2 なぜ“酸化”なのか──その思想の原点


如月博士は、電子顕微鏡写真を映す。


如月

「酸化とは、電子を奪うこと。

 生命の“根幹”を削る行為です。

 微生物、土壌菌、植物、動物、人間──

 すべては電子を奪われると弱体化する。」


パイカル

「電子を奪えば、魂も弱くなる……そういう理屈か。」


如月

「ええ。

 環境寿命を縮めるとは、

 生命圏全体の波長を“低俗化”する作業 なんです。」


伯爵

「波長が低くなれば、意志は鈍る。

 人は思考できず、選択できず、流される……」


如月

「彼らにとって、それが“最終進化形態”です。」


リンダ

「命を管理可能な電化製品に変える……

 そんな文明は、文明じゃない。」



◆3 では、なぜ政治家や役人は従うのか?


パイカル

「しかし、疑問だ。

 どうして政治家や官僚は追従する?

 地球が死ねば、自分たちも死ぬだろう。」


如月は小さく笑った。


如月

「彼らは“自分だけは助かる”と思っている。」


伯爵

「典型的な支配者幻想だ。」


如月

「金、地位、女、海外口座、内密の利権。

 酸化した世界でも生き延びられる “特権階級”。

 彼らはそう信じて疑わない。」


リンダ

「魂を売った代償ね。」



◆4 では、どう止める?──答えは“魂の階層”にある


如月は、次のホログラムを投影した。

青い光の海。

脳波の深層域。


如月

「グローバリストが決して触れられない領域がある。

 物質でも、環境でも、電子でもない──

 魂の階層ディープ・レイヤー です。」


パイカル

「……冥界の波長か。」


如月

「そう。

 物質としての地球が酸化しても、

 魂の波長までは支配できない。

 そこが唯一の“逆転ポイント”です。」


伯爵

「なるほど……

 だから切り札がアギト。」


如月博士は迷いなく頷いた。


如月

「アギトは魂の次元へ“降下”できる。

 ラズリの死を越え、冥界への門に触れた。

 彼の旅立ちは──

 地球の酸化計画に唯一対抗できる“魂の戦争” です。」


パイカルは二本指敬礼で言った。


パイカル

「全ての役者は揃った。

 あとはアギトが闇を割るだけだ。」


リンダ

「息子たち(蘭・アギト・光一)が動き始めた……

 もう止まらない。」


光輪が強く輝き、

世界の“裏の裏”が静かに決まった瞬間だった。


◆5 場面転換──名古屋・公安調査庁 中部支局

(映画的クロスカット)


光輪の輝きがフェードアウトし──

次の瞬間、蛍光灯の白が鮮烈に画面を満たす。


名古屋の公安調査庁・中部支局。


無機質な会議室で、

六名の公安幹部がノートを広げて待っていた。


そこへ如月博士が入室する。


この場のテーマは“酸化”ではない。

公安の関心は、もっと直接的で、現実的だ。


──バックドア。

──インフラ乗っ取り。

──国家機能の停止。


博士は資料を置き、静かに言った。


如月

「今日話すのは一つだけ。

 “勝手口バックドア”の危険性です。」


調査官

「勝手口……?」


如月

「家の玄関は鍵をかけても、

 裏の勝手口が開いていれば意味がない。

 それがバックドアです。」


スマホ

EV

太陽光インバータ

海外製Wi-Fiルーター

ドローン

監視カメラアプリ


如月

「これらは全部、

 製造した国が“いつでも入れる裏口”がある。」


調査官

「……スイッチひとつで?」


如月

「はい。

 日本中の電力・通信・交通・医療が止まります。」


室内が凍った。


如月

「名古屋港から入る“青蓮会チンリェンホイ”の物流が、

 その裏口の中心拠点です。」


調査官

「それを潰せるのは……」


如月

「現場に動いている二人がいる。

 ──蘭と光一です。」


調査官たちの目が鋭くなる。


如月

「名古屋で動き始めたその二人が、

 この“勝手口計画”を最初に止める。」



◆6 名古屋──“二つの影”が街へ入る


冬の名古屋駅。


夕暮れのホームに、

蘭の黒い影が降り立つ。


(……磁場が濁っている。)


No.1コピーの刺客──

“禁忌の影”が潜んでいる。


「……いい。ここで終わらせる。」


同時刻。


名駅南に、光一のロードスターが停まる。


光一

「青蓮会……まずは幹部ボスから落とす。」


二人はまだ互いに気づかない。


だが、

同じ名古屋の地で、同じ夜に動き出した。


環境の寿命を殺す者たち。

自由意志を消す者たち。

勝手口から文明を乗っ取る者たち。


その全てと戦うために──。


6話 END

次回「アギト、冥界への降下」へ。


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