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花房主水でございます その6

2017年、親父が亡くなった。

仕事で中国武漢市に赴いた際の出来事だった。


急性マラリアによる多臓器不全。

地元の感染症専門病院の見解では、そういうことだった。


人間なんてあっけないものだ。

南米では、ゲリラに拳銃を突きつけられた事もあるあの親父がだ。


お陰で、平昌冬季オリンピックの前後、

遺産相続の為に、日本へ何度も足を運んだ。

その時に、父の旧知だという人物から警察へのスカウトがあった。


ソチでは六位だったが、平昌では銅メダルだった事から目を引いたらしい。


その男は元警察官僚で、今は国家公安委員を務めている黒木代議士だ。


“主役の顔を持つ男”とでもいうべきか、

長身で苦味走った黒木には

頭の天辺から靴の先まで学習院が長い人間に特有のスマートさがある。



そういえば昔、大学から学習院と言う、浅黒く美しい女とスキー部の合同合宿で会った事があるが、プライドが高くて、タバコを吸っていた。


当時ススキノでホストのバイトをしていた同級生の加藤が片足をついて、酒を注いでいたのには、

流石に呆れたが。笑。


その女はその夜、布団に全裸で忍び混んで来た。ハッカタバコの臭いでその女だとわかった。


“いびきをかく”からという建て付けで、一人部屋を取っておいたのが

以外なところで功を奏したようだ。


フェラーリ412で夜の街を流しながら、

主水はふと、思い出し笑いを浮かべた。



かく言う主水も数年前に一度、武漢には行った事がある。


2010年の冬に韓国と中国が合同開催したEゲームの国際大会に参加したのだ。


その当時、日本と中国の間には、これまでにもない緊張が漂っており、日本チームの参加は

2週間前になってようやく決まった。

当初予定していた選手たちのスケジュール調整が難航する中、

日本側の運営から助けを求められた主水も

助っ人として参加した。最年長だった。


確かその時にいたイケメンの佐反兄弟と

あれは誰だっけ、萬尾という少年。

そして主水。


最終日の帰国便が天候不良でストップして、

日本チームはシンガポールチームと一緒に

打ち上げと称して、武漢市の怪しげな薬膳料理店に足を運んだのだ。


あの時に食べた、アルコールづけのサソリの踊り食い、あれはいまでも忘れることのない、

強烈な体験だった。


アルコールづけだと寄生中のリスク側低いから

と、思わずエイヤーで食した記憶がある。

あれが、身体に何を残したのかは、今でも分からない。


ただ確かなことは、最近になって特に特別なことは何もしていないのに関わらず、加齢に逆らうが如く身体と意識とが最適化されてきている、いや、むしろそれ以上と言って良い。

もしかしたら別の何かが自身の中に住み着いている、ふとそんな気がした。

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