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如月一族 BEFORE2

その夜の続き。


不覚にも少し飲みすぎたらしい。

翌朝、目を覚ますと、見慣れない天井が視界に入った。


身体を起こそうとして、思いとどまる。

横で、深田真以子が眠っていた。


寝顔は驚くほど無防備で、昨夜の鋭さが嘘のようだ。

長い睫毛が、朝の光を拒むように伏せられている。


——えらく、可愛い。


最初は、彼女もかなり抵抗していたはずだ。

距離も、言葉も、きちんと線を引いていた。


だが——

「君の魅力に、逆らうことが出来ない、願わくは俺を解放してくれ」


そう告げた時、彼女は小さく息をついた。


それからのことは、あまり覚えていない。

ただ、彼女が妙に素直で、

そして僕自身も、これまで溜まっていたストレスのようなものが、

綺麗にリセットされているのを自覚していた。


——お互いに、多分「燃えた」という言葉が一番近い。


シャワーを浴びていると、

真以子が何事もなかったように入って来た。


俺の視線に気づいて、


「まるで、芸術品を鑑賞するみたいな目で見るのね」


彼女は笑う。

確かに僕は、彼女を芸術品として見ていた。


そして彼女は、自分の歯形が残る俺の首筋に、軽く触れた。


ホテルのレストランで朝食バイキングを済ませ、

二人で並んで外に出る。


ガード下で、短く、だが長いキスを交わし、

彼女と駅まで歩くと

俺はキザな2本指の敬礼で彼女を送った。


彼女も、一瞬だけ言葉を探すような表情を浮かべた。


ここは新宿。

大京町のマンションまでは、歩いて帰ることにする。


昨夜の熱と、朝の冷たい空気が、

まだ身体のどこかで拮抗していた。


マンションに戻ると、

ガンロッカーからトラップ用のミロク製作所MS2000と、

スキート用のブローニングCitoriとを取り出し、ガンケースに収める。

ブローニングも、実はミロク製作所のOEM——国産品だ。


車、パソコン、携帯電話、時計に至るまで、普段使いする

機械に関しては専ら国産派だ。それが一番信頼出来る。


今日は腕時計も普段使いのGショックに換え、

スニーカーはオニツカタイガーのメキシコ。

シンプルな革ジャンを羽織り、

インプレッサのシートに腰を下ろしてエンジンをかける。


成田の射撃場へ向け、車をスタートさせた。


外苑から首都高に入り、

東関東自動車道を水戸方面へ。


やがて、スカイラインR32 GTRが挑んでくる。

バックミラーには、その後ろにもう一台——

R33スカイラインらしき車が、一定の距離を保ってついて来るのが見えた。


僕は、あえてスピードを落とす。


やがて32GTR、そして33GTRの四ドアが追い抜いて行った。

佐倉で高速を降りる四キロほど手前、

その二台が路肩に停まっているのが見えた。


どうやら、33GTRの方は覆面パトカーだったらしい。


僕はそのまま高速を降り、

国道51号から県道へ入り、成田射撃場に車を停める。


スキート、トラップそれぞれ百発。

それで上がりだ。


明日は気分を変えて、千葉の国際で練習することにする。

そう決めて、僕は会計を済ませた。


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