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優しいエルフのトーリさん〜怖い顔のおっさん、異世界に転生したので冒険者デビューします〜  作者: 葉月クロル


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第30話 豊かな町

「そうだ、もうひとついいですか? この町の教会はどこにありますか? ちょっと祈って来たいんですけど」


『僕の考えた理想のキャラクター』に転生させてくれて、幸運の紐まで持たせてくれた女神アメリアーナに早くお礼をしたいと考えて、トーリは教会の有無を尋ねる。


 シーザーは「教会か。そういえばおまえさんは女神の加護持ちだったな……」と声をひそめて言ってから、小さな教会が最近できたことを教えた。


「ここはダンジョンができてから作られた町で……最初は村だったんだがな、できて五年くらいしか歴史がない。宿場、食堂、武器防具に雑貨を売る店などから増えてきて、ようやく教会を建てられるようになった」


 それまでは、ミカーネン領主都市と呼ばれるここよりも大きな街からやってきたシスターが、露店を開いてお守りやお札を売ったり、安全の祝福を祈ったりしていたらしい。


 ちなみに、ダンジョンで呪いを受けてしまうこともあるが、それは『浄化』魔法が使えれば聖職者でなくても解呪できてしまう。なので、ゲームと違ってシスターの出番はあまりなかったようだ。


「五年でここまで発展したっていうのもすごいですよね」


「冒険者のほとんどが、一柱くらいは神様を信仰しているからな。それに、領主様のところに、頭のいい補佐官がいるとのことで、計画性のある町づくりってやつをやっているらしいぞ」


「なるほど。なんとなく整然とした印象があるのはそのせいだったんですね」


 頑丈な丸太の壁で囲まれたこのダンジョン都市は、街の中の道も領主都市への道も整備されていて、多くの馬車が行き交っている。最初からきちんと町の設計がされていたからなのだろう。


「ダンジョン都市から領主都市へ、魔物やダンジョン由来の資源を流通させて、それを使った製品を領主都市の生産工場で作って販売するんでしょうか。この町では武器や防具を作っているようですが、近くに鉱山があるんですか?」


「……ああ。鉱山と加工場が町の裏手にある。少し離れてはいるが、そこから運んできて精錬して、ダンジョン都市や領主都市の店に卸している」


「農作物は、農村から来るんでしょう? 来る時に農地は見当たらなかったんですけど」


「領主都市を越えて行くと、穀倉地帯があるぞ。畑も牧場もそこそこある」


「なるほど。ここは元々豊かな領地だったところに、ダンジョンができたか見つかったかしてダンジョン由来の資源も加わって、より発展してきた都市なんですね。たくさんの冒険者が魔物を倒し、ダンジョンの中を攻略していけばいくほどに、この町も領主都市も発展する……領主様が多額の援助資金を注ぎ込み、冒険者ギルドが冒険者を手厚く保護している訳がわかりました」


 たくさんの講習会や、整備された冒険者ギルドや使いやすい買取り所のシステム、お金をかけて清掃されている町並み。多くの店が並ぶ市場。

 冒険者ギルドではシーザーが常に目を光らせているため、ガラの悪い冒険者が事件を引き起こすことも少なそうだ。

 そして、ラジュールのような騎士が常に目を光らせ、犯罪の芽を見逃さない。


「ある程度以上の腕がある冒険者を受け入れ、より強く育てることに力を入れていて、冒険者が住みよい町にすることで、最終的に力のある領地にする……それを実行できるところがすごいです」


 トーリは『頭の良さそうな領主様が治めているんですね』と感心した。


 (ゲームだと、同じパターンを組み合わせた町があちこちにあるけれど、ここはちゃんと人の手で作られている。領主が優れているかそうでないかで大きな違いとなるんですね。ステータスだとか不思議なカバンとか魔法とか、現実とは思えないものがたくさんあるけれど、やはりこの世界もひとつの現実なんですね)


「なんだよ、トーリは学者さんみたいなことを言いやがって。って、もしや、学者だったのか?」


「いえいえ、僕は単なる冒険者のたまごですよ。現実に人が生活する世界はゲーム……絵空事とは違うなあと、改めて感心しただけです」




 トーリはシーザーに別れを告げると、昨日騎士ラジュールと出会った門へと歩いていく。リスのベルンはなぜかトーリの頭の上に仁王立ちして、辺りを見張っている。リスなりに、トーリを守らねばと考えているようだ。

 確かに『頭にリスを立たせた美少年エルフ』はものすごく目立つため、彼に妙なちょっかいを出そうとする者も現れなかった。

 悪人は、注目を集めることを嫌うのだ。決してトーリの姿が怪しすぎるからではない。


「ええと、ラジュールさんに挨拶してから、教会に顔を出し、買い物をして、お風呂に入りにいく、と。なかなか忙しいスケジュールですね」


「す」


「ベルンはお風呂はパスでしたっけ?」


「すっ」


「ええ、臭くないですよ。おなかのモフモフもいい匂いでした。なんなら浄化をかけましょうか?」


「す」


「んじゃ、寝る前にね。あっ、あそこにも炒った木の実のお店があります。近くの森の中でたくさん採れるのかな」


「す!」


「わかりました、落ち着いたら木の実を探しにも行きましょう。ちょっと買って、味比べしてみますか?」


「す」


 リスと会話をする謎の美少年は「すいませーん、一袋お願いします」と木の実を買った。


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