守護者との対話と次なる試練
大理石の螺旋階段を登り切った先に待つは、風を纏い時を飛翔せし古の保持者たちの栄光。
守護者との対話で示された継承の重みと、カインの支えがリゼットの胸に力を宿す。
第7章では、蒼水晶が映し出す過去の幻影を乗り越え、鍵に刻まれた新たな紋章が示す“空の門”への道が開かれます。
――淡い光を帯びた大理石の螺旋階段。
足元を取り囲む結晶が、星屑のように瞬く。
リゼットは鍵を胸に抱え、鼓動の余韻を胸に一段一段を昇っていく。
カインは隣で短剣を静かに構え、彼女の背中を見守った。
階段を昇り切ると、壮麗な大理石のホールが広がっていた。
天井画には風を纏い、空を飛翔する先人たちの姿が描かれる。
床には幾何学模様のタイルが敷き詰められ、四方の壁には歴代鍵保持者の浮彫り像が並ぶ。
中央の奉納台の背後に、銀白の光を放つ人影が浮かび上がった。
その胸には、リゼットの鍵と同じ刻印が深く刻まれている。
守護者はゆっくりと視線を巡らせ、低く語りかけた。
「かつての保持者たちは、風を纏い、時を飛び越えし者。
汝、その歩みを拓かんと志すか?」
リゼットは鍵を高く掲げ、声を震わせながら応じる。
「はい。私も、この鍵の導きに従い、飛翔の道を切り拓きます」
カインは剣を構えたまま、そっとリゼットの肩に手を置いた。
「過去と向き合うのは辛い。でも、俺がそばにいる。君は一人じゃない」
その優しい言葉に、リゼットは小さく頷いた。
守護者は一歩下がり、奉納台の周囲に蒼く輝く小水晶を四つ浮かび上げた。
「次なる試練は蒼水晶の間。汝が過去を直視し、己が真価を示さねば、力は授けられぬ」
四つの水晶は微かに脈打ち、空間に不思議なざわめきを呼び起こす。
リゼットは意を決し、ひとつの水晶に手を伸ばした。
蒼い霧が立ち上がり、内部に夕暮れの庭の幻影が映し出される。
――母の淡い緑のドレスが陽光に透け、父の笑い声が遠く響く。
幼いリゼットは駆け寄り、「また一緒に踊って!」と無邪気に手を引いた。
「……そんな日々が、あった」
リゼットは胸を締めつけられる痛みに耐え、拳を固めた。
「私は……前を向きます」
涙をこらえながら、再び水晶に手を触れた瞬間、四つの結晶が同時に砕け散り、蒼い光の雨がホールを満たす。
守護者の声が光の中に響く。
「三つの鍵が開くは、時の扉と空の門。次は風を纏いし空へ――共に飛翔せよ」
その言葉とともに、リゼットの胸に小さな翼状の紋章が浮かび上がった。
まるで次の行き先を示す地図のように。
守護者は静かに一礼し、壁面の結晶が風圧を伴って回転し始める。
石壁が軋んで開閉し、その先には無限に続くかのような螺旋路が姿を現した。
足元の縁は宙に浮き、まるで飛び立つ準備を促すかのように浮遊している。
リゼットは浮かび上がった紋章を見つめ、力強く宣言した。
「空の門へ――飛び立ちましょう」
カインが笑顔で肩を叩いた。
「俺も一緒に飛ぶよ」
二人は視線を交わし、螺旋路の先を見上げる。
宙に浮く階段が、次の冒険へと誘っている。
ご閲読ありがとうございました!
リゼットは幼き日の痛みと向き合い、過去を乗り越える決意を示しました。
鍵の導きは次なる目的地――“空の門”への飛翔を約束し、二人の旅路は新たな段階へと進みます。
次回、第8章では宙に浮かぶ螺旋路を舞台に、未知なる試練と光景が待ち受けるでしょう。
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