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太陽の宮殿の最終試練

霧の谷、氷の通路、浮遊島を越え、ついに辿り着いた太陽の宮殿。

黄金に輝く広場で待ち受ける「太陽の守護者」は、かつて光を乱用した者を戒める古の番人。

第13章では、リゼットとカインが「始まり→試練→誓い→帰還」という旅の重みを投影した四つの鏡を点灯し、太陽の瞳を覚醒させる最終試練に挑みます。二人の絆と成長が試される、光と音のドラマをお楽しみください。

――階段を昇り切ると、目の前に広がったのは黄金にきらめく広場だった。

中央にそびえる巨大な太陽紋章のモニュメントからは、まばゆい光が床の大理石に反射し、朝の熱を含んだ空気が頬にじんわりと心地よく伝わる。背後には金箔を貼ったかのように輝く「太陽の宮殿」が聳え立ち、その尖塔は燃え盛る太陽のごとく耀きを放っていた。周囲には大小さまざまな太陽結晶のオブジェが散在し、わずかに震えるたびに「ぽとん、ぽとん」というかすかな振動音を響かせながら淡く輝いている。


リゼットは胸に抱えた光の核をぎゅっと押し当て、震える声でつぶやいた。

「……ここが、本当に最後の試練の場所なのね」


その瞬間、リゼットの胸中にはこれまでの試練が走馬灯のように蘇った。霧の谷で双子の幻影に揺さぶられ、氷の精霊と死闘を繰り広げ、光鏡の泉で影を受け入れたあの日々。彼女の鼓動は高鳴り、最後の不安がわずかに揺らいでいた。


「大丈夫?」カインがそっと背後から声をかける。

リゼットは一瞬目を伏せ、「本当に、私…勝てるの?」と小さく呟いた。


そのときカインは微笑を浮かべながらリゼットの手を強く握りしめた。

「怖いかもしれない。でも、君なら大丈夫。僕は最初から君がここまで来れると信じていた」


リゼットはその言葉に背中を押され、胸の奥で固まっていた何かがほどけるように「……うん」と頷く。互いに深く見つめ合い、決意を新たにして宮殿の正面大扉へと歩を進めた。


大扉を押し開くと、広大なホールが視界いっぱいに広がった。

天窓から差し込む光は金色の柱を照らし、その光は床の大理石に反射してゆらゆらと揺れる。大理石は朝陽の熱を吸い込み、「ほんのり」と温かさを足元に伝えてくる。壁面には古の太陽神話を描いたフレスコ画が連なり、祝祭に興じる人々や太陽の恵みを讃える農民たちの姿が壮麗に彩られていた。ときおり「ひそり…」というかすかな囁きが響き、フレスコ画の人物の瞳が「きらり」と光るたびにリゼットの背筋がひんやりとした。


ホール中央に据えられた「太陽の瞳」と呼ばれるクリスタルの球体。その内部では淡く蠢く炎のような光が揺れる。周囲には四つの大理石の鏡面が円形に並び、それぞれに「始まり」「試練」「誓い」「帰還」と刻まれた太陽紋が浮かび上がっており、鏡面はやがてゆっくりと回転を始めた。


その「太陽の瞳」の前に立つのは、全身を黄金の鎧で覆い、瞳が燃え盛る赤い光を宿した「太陽の守護者」だった。鎧の隙間から漏れる炎のような光は、まさに古代から宮殿を守り続ける番人を思わせる威厳を放っている。守護者が険しく一歩踏み出すと、鎧が「ぎしり」と重厚な音を立て、ホール全体がひんやりと身構えるような緊張に包まれた。


守護者はゆっくりと両手を広げ、その厚い声はホールの隅々まで響いた。

「光を求むる者よ、この宮殿に足を踏み入れしは真の勇者か。かつて光の力を乱用し、この地を闇に沈めし者あり。ゆえに我が使命は、太陽の瞳を守り、真なる光を証明せし者のみをここに通さん――今や最後の試練の時。己の魂に映る太陽の輝きを証明せよ」


声に伴って床の大理石が「ドン…ドン…」と小刻みに震え、ホールの空気がいっそう重苦しくざわめいた。


リゼットは胸の光の核を強く抱え、気丈に一歩を踏み出した。

「私はリゼット・クロノ。鍵と光の核を携え、この世界に真の光をもたらすためにここへ来た!」


その言葉には、これまで抱えてきた葛藤と覚悟が凛とした力を帯びて込められていた。


カインは剣の柄を握りしめ、そっと背後でリゼットを支える。

「守護者よ、どうか私たちの決意を見届けてください」


守護者はリゼットの言葉を受け止めるように静かに頷き、杖を掲げたまま告げる。

「汝らの決意、確かに我が胸に届きし。さあ、太陽の瞳を照らす四つの鏡を正しき順序で点灯せよ。順序を誤れば、光は闇に呑まれん――」


その瞬間、四つの鏡はゆっくりと回転を始め、それぞれの太陽紋が「ぴかっ」と光り、「始まり」「試練」「誓い」「帰還」の文字が浮かび上がった。ホール内には「コトコト」というさざめきが響きわたり、これから始まる試練の重みを告げているかのようだった。


守護者の言葉を胸に、リゼットは核を取り出して四つの鏡を見つめた。

「始まり…試練…誓い…帰還…」彼女はゆっくりとその言葉を口にし、胸中で過去の出来事をたどる。


カインはそっとメモを取り出し、守護者の言葉を思い返して囁いた。

「太陽の輝きは、まず目覚め、その後に試練が訪れ、誓いを示して光を保ち、最終的に帰還して新たな光をもたらす――まさに、リゼットが歩んできた道そのものだ」


リゼットは目を閉じ、わずかに頷いた。


「霧の谷で双子の幻影に恐怖を見つめた“始まり”…氷の精霊と戦ったあの寒い通路での“試練”…光鏡の泉で影を受け入れた“誓い”…光の核を手に走り出した“帰還”…すべてがここへ導いてくれた。」


深く息を吸い込んだ後、リゼットは光の核を掲げた。まず「始まり」と刻まれた鏡に向け、淡い金色の光を注ぎ込む。光は鏡面を優しく撫で、「きらり」ときしみ音を響かせた。ホールの空気が「ざわ…」とざわめき、初心を取り戻したリゼットは胸の痛みが和らぐのを感じた。


次にカインが光の核を「試練」を示す鏡へと向けた。白金色の光はまるで真夏の太陽のように強烈に煌めき、「ごおっ」という轟音がホール中に響き渡った。その轟音に呼応するように、遠くの松明の炎が揺れ、フレスコ画の人物たちの瞳が「きらり」と光り、試練の重圧を二人に突きつけた。


リゼットは光を照らしながら再び心を巡らせる。


「あの凍える通路で氷の守護者と戦ったあの日…生き延びた私を支えたのは、カインの隣で感じた安心感だった。」


フレスコ画の人物たちがまるで当時の苦闘を知っているかのようにじっと見守っている気がした。


三つ目は「誓い」の鏡。二人は互いに手を重ね、リゼットが光の核をかざすと、カインがそっと自分の手を重ね合わせた。その瞬間、二つの光が重なり合い、「どんっ」という深い共鳴音がホール全体に広がった。温かな金色の光が壁画を照らし、人物たちが深くうなずくかのように感じられ、まるで過去の旅路を共に歩んだ証を祝福するかのようだった。


最後の「帰還」の鏡の前では、リゼットが光の核をゆっくりと掲げ、青白い冷たい光を注いだ。「しゅうう…」という静寂ののち、「ぱあっ」という虹色の輝きが炸裂し、太陽結晶のオブジェが「キラキラ」と星が瞬くような音を立てて振動した。光は天窓へ一気に吸い込まれ、赤く染まった朝陽と溶け合うように、ホール全体を黄金と紅の光で満たした。


その瞬間、「ざわざわ」という囁きがホールを駆け抜け、石盤の周囲を包んでいた空気がかすかに震えた。二人はお互いを見つめ合い、胸の中で抱えてきたすべてを確かめ合った。


四つの鏡が完全に点灯し終えた瞬間、中央に据えられた「太陽の瞳」が一気に輝きを増した。

クリスタル内部の炎は「ゴォォォ」という轟音とともに燃え上がり、天窓から差し込む朝陽の赤と呼応してホール全体をまばゆい光で包み込んだ。


フレスコ画の人物たちは「ざわざわ」という囁き声とともに一瞬だけ流動し、まるで二人を祝福する視線を投げかけるかのように見えた。リゼットはその光を胸いっぱいに受け止めたところで、温かさと同時にこれまで抱えていた最後の不安がすっと消え去る感覚に包まれ、鼓動は穏やかに落ち着いた。光はまるで彼女の魂を浄化し、これまでのすべてを融和させるかのように深く優しく包み込んだ。


守護者は静かに一礼し、燃え盛る赤い瞳でリゼットとカインを見つめた。

「我が試練は、汝らに真の光を示さんがためのものなり。汝らは見事に太陽の四季を調和し、太陽の瞳を覚醒させた。その勇気と絆に、我は心からの賛辞を贈る」


その言葉が響き渡ると、「ごろん…ごろん」という低い振動が床の大理石に広がり、ホール全体が温かな余韻に包まれた。


リゼットは深く頭を下げ、「ありがとうございます、守護者様」と静かに返した。胸の中には、光と影が完全に調和した達成感がほんのりと残っていた。


守護者は両手を掲げ、ホール天井に描かれた巨大な太陽結晶を指さした。

「我が祝福を受けし者よ、次なる試練は天上の太陽結晶にあり。その結晶に触れ、真の光を解放せよ――だが、それこそが最後の試練となる」


その言葉が響くと、「カラララ…」というかすかな金属音がホールにこだまし、天窓の一部が音もなく開いた。外の空が一瞬だけ深紅に染まり、ホールのフレスコ画が赤い光を受けてまばゆく瞬いた。


リゼットはその赤い空を見上げ、光の核をしっかり握りしめながら呟いた。

「天上の太陽結晶…次はそこを目指すのね」

その一言に、指先にわずかな痛みを感じるほど握りしめた核の重みが「これが最後の段階なのだ」と彼女に告げていた。


カインは剣を軽く構え、「どんな試練だろうと、俺は君と一緒に立ち向かう」と力強く返し、リゼットの肩を軽くたたいた。彼の言葉には、これまで二人が共有してきたあらゆる瞬間が刻まれていた。


ホール背面の大扉が大きく開き、天窓から差し込む赤い朝陽が二人の影を長く伸ばしている。その扉の向こうには、薄紅に染まる空を背景に太陽結晶が浮かぶ階段がかすかに見え、新たな舞台への期待感を高めていた。


リゼットは一度深呼吸をし、鎖に下げた鍵と光の核をぎゅっと握りしめた。二人は扉の前で一瞬だけ沈黙し、互いの瞳に宿る覚悟を確かめ合った。


そしてリゼットは静かに囁いた。

「行きましょう。夜明けの門を越えて、太陽の宮殿へ」


カインはゆっくり頷き、「ああ、どんな試練が来ても、君と乗り越える」と応えた。


二人は再び深く頷き合い、その開かれた扉をくぐり、眩い光の中へ足を踏み出した。


――雲海を越えた先には、天上の太陽結晶が待ち受けている。まるで世界を照らすために二人を見守っているかのように――。

ご閲読ありがとうございました!

リゼットとカインは、太陽の四季を映す鏡に光を注ぎ、太陽の瞳を見事に覚醒させました。その瞬間、ホールを満たした光と祝福は、二人の絆の証です。

次章では、守護者が示した「天上の太陽結晶」へと向かい、最後の試練が待ち受けます。光と炎の舞台で、リゼットはどのような覚悟を示すのか――ぜひご期待ください!

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