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うちのかあさんしりませんか?  作者: ひまわり
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第5話 親子のキズナ

第5話 親子のキズナ


あの後かあさんは…夜空を見上げて潤ませた瞳が嘘のように、ベッドをギシギシ歪ませながら大の字になって爆睡していた。


朝方夢を見た…しのぶさん部長昇進おめでとう!私達は一心不乱に仕事する先輩を見てきました!愚痴をこぼす事もなく、嫌味な上司のセクハラやパワハラもかいくぐり、ただただ成績をあげる事にこだわり続けた結果ですね!


かあさんが広報宣伝部長に昇進した、お祝いの時の夢なのだろう。確かに小さい時のとうさんの印象はあまりなく、かっこいいかあさんは俺の自慢のかあさんだった。幼稚園で他の子に濡れ衣を着せられた時も、俺の話をゆっくり聞いてくれて幼稚園に調査するように命じていた。


「かあさん!」


「なぁに?つよし」


「かあさんは他の子のおかあさんみたいに僕を怒らないの?」


「つよしはかあさんに嘘をつかないでしょ?かあさんはつよしが言った事を信じてるよ」


「ふ~ん…やっぱりかあさんかっこいいね!僕の大好きな自慢のかあさんだね!」


「かあさんもつよしの事…大好きよ」


いつからウザいと思うようになったのかなぁ…


一晩居ないだけで我が家はパニック!俺もとうさんも出かける用意すらままならなかった。かあさんは偉大だなぁ…


交通事故現場な訳じゃないけど一応かあさんの自転車が倒れていた場所は学校の行き帰りに通ってみるか…


地面を少し眺めて…かあさん!どこに行っちゃったんだよぉと思っていると一瞬小さく光ったと思ったら地面からなにか出てきた。


これは…なんだ?掴んで引っ張ってみる…


「つよし!つよしがそこにいるの!?」


か…かあさん!?


「かあさんなの?」


「つよしなのね!ちょっと待ってね」


「せぇの!」


ドドドっ!ぺったん!


「もう1回!」


ドドドっ!ぺったん!


「まてまてかあさん!声は届いているのか?」


「はぁ…はぁ…聞こえるわよ」


「今…餅をつくような大きな音がしたけど…」


「昨日…目が覚めた場所になにか手掛かりがないか来てみたのよ。そしたら壁から小さな光が見えたから、昨日もらった金貨を入れてみたのよ」


「だから…この壁を壊したら帰れるんじゃ無いかと思ってね!」


ドドドっ!ぺったん!


「だから…かあさん!少し落ち着けって!」


「わかったわ…」


「とにかく、生きててくれて良かったよ。とうさんなんて朝起きたら目が凄い事になってたから…一晩中泣いたんだと思うぜ」


「とうさんより…つよしはどうなのよ?」


「俺は早く寝ろーってうるさく言う人が居なかったからゆっくり夜中までテレビを堪能してからぐっすり寝たよ」


「照れちゃって…つよしくん可愛いねー」


「それはいいけど…どこにいるの?」


「それがね…どうやらかあさん異世界って所に来ちゃったらしいのよ」


ドドドっ!ぺったん!


「だから待てって…一生懸命餅つきしたって、かあさんのお腹じゃ大福もできないだろ!」


「あら…つよし…上手く言うわね…最近かあさんもそういうの真似てたまにやるんだけど…昨日は渾身の例えを出したら思い切りすべったわよ!というか成立さえしなかったわよーーー!」


「なにしてたんだよ」


「暴漢から女の子を守ったり…魔物ってやつから子供と女の子を守ったり…まあまあ活躍したわよ」


「相変わらずたくましいね!かあさん…多分さぁ…その壁を壊したらこっちに戻って来れるというような、単純な事じゃ無いと思うんだよ。それにこうやって話をするのもいつもできる訳じゃないと思う」


「そうね…そうかも知れないわね」


「とにかくとうさんにはこの金貨を見せて状況を説明しとくよ」


「そうだね…わかった」


「あと俺もこのかあさんの自転車が倒れてた場所はちょくちょく調べてみるから…」


「そっちがどんな世界かわからないけど…危険な世界なら無理しないでね」


「わかってるわよ!かあさんもここの壁をちょくちょく調べてみるわ」


「つよしも風邪ひかないように元気でいてね…とうさんの事は頼んだわよ」


「わかった…んじゃ、かあさんまたね」


「気をつけて!がっこ……」


あらら…途切れちゃったよ。


確かに見た事もないような金貨だなぁ…質も悪いし…


まあなんにしても生きててくれて良かったよ!かあさん!


冒険者ギルド受付


「マーリーアーちゃん!」


「おはようございます!昨日はぐっすり眠れましたか?」


「ばっちり寝たわよ」


「朝からご機嫌ですねぇ」


「それがさぁ…昨日の路地裏に行ったらね。壁からちょーっとだけ光が漏れてて…本能的に金貨を差し込んだらさぁ。向こうの世界からつよしが金貨を掴んで抜いたのよ!早く戻りたいって気持ちでいっぱいなんだけどさ…子供と話が出来たから、少し落ち着いたって言うかさ。毎日同じ家に暮らしていてもほとんど話なんてしてなかったから…おばさん少し元気になっちゃった!」


「そうですか!それはとても良かったですね」


「マリアちゃんのおかげよーっ。あなたには人を幸せにするチカラがあるのかもしれないわね!」


「大袈裟ですよ…それより、そういう事なら依頼を受けて見ますか?」


「そうね…なんにしても仕事はしなきゃいけないから、簡単なやつをやってみようかねぇ」


「わかりました。それなら、決まりではありませんが…慣れるまでの3ヶ月間先輩冒険者と同行して頂きますね。適性試験とか…そのような物は存在しませんので、講習というような物では無いのですが…しのぶさんの場合は、この世界の事もあまりご存知無いので、初めは付けた方が良いかと」


「そうね…助かるわぁ…だけど昨日見たようなおバカはダメよ!」


「はい♪それはもちろん心得ていますよ。それにお願いする冒険者を呼んでおきました!」


「ご紹介します。キャシー・ベネティクトさんです。彼女は私の幼なじみで…私は魔法学校、キャシーは剣術学校創業です。2つ上なので…もう冒険者になって2年ですね!」


「キャシー・ベネティクトです。マリアから昨日の事は聞いています。しのぶさんに教える事など出来ないかもしれませんが…よろしくお願いします!気軽にキャシーとお呼びください」


「キャシーさんね…こちらこそよろしくお願いしますね。マリアちゃんといい…キャシーさんといい…可愛い子ばかりね」


「とんでも無いです…昨日しのぶさんがオークを倒した武勇も聞き及んでいます。私の戦いを見てアドバイスがあれば遠慮なく言ってください」


「それでは…お互いに挨拶も済んだ所で新米冒険者の定番依頼…薬草採取しながらスライム討伐って言うのはどうですか?街の中も城壁の外もなんとなくこの世界を味わえます!」


「私は何もわからないからキャシーちゃんの言う通りでいいわ」


「では…本日はそれで行きましょう!」


かあさんの冒険者生活が始まった。道中キャシーさんから、冒険者について説明を受けたらしい…冒険者には冒険者ランクがあって、始まりはFランクから始まる事。依頼はランクにより振り分けられる事。2年経ったキャシーさんがCランクである事。かあさんが倒したオークはCランクなら数人のパーティで倒す事。などなどである


何事ものめり込んだら一心不乱に努力するタイプのかあさんである!帰って来た時に筋肉隆々のマッチョになってたらどうしよう?とおびえるつよしだった



第6話 冒険者デビューに続く







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