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うちのかあさんしりませんか?  作者: ひまわり
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第4話 なんにしても仕事はしなきゃね!

第4話 なんにしても仕事はしなきゃね!


日本ではとうさんが慌てふためき。つよしが何度も瞳を潤ませていた頃。当のかあさんはと言うと…


「異世界の食べ物も結構いけるわねぇ…」


ギルド併設の酒場で飯を食っていた


「マリアちゃん!何から何までありがとうねぇ」


「いえ!ほんとに何度もお礼を仰らなくても大丈夫ですよ!これ…さっき話した報酬と買取料の金貨60枚です!」


「あら…全財産持ち歩くのも物騒ねぇ…」


「こちらもどうぞ!ベルトとマジックバックです。マジックバックにベルトを通して腰に巻いておけば取られることはありませんよ。マジックバックの容量は、馬車の荷台くらいありますから…武器でも着替えでもたくさんの荷物を収納できますよ。」


「そんな便利な物があるのね…だけどそのベルト私のお腹に回るかしら?」


「それも大丈夫です!大抵の装備は装着者の身体に合うように出来ています!」


「そうなの?なんか…凄いわね」


「はい!」


「私がご馳走様するからマリアちゃん好きな物頼んでね!」


「では…遠慮なく!」


「ところでマリアちゃんはいくつ?気も効くし…しっかりしてるわねぇ…」


「今年成人しました!15歳です!」


「へぇーーー!うちのつよしと同い年ね!ますますしっかりしてるわね!感心しちゃうわ…」


「お子さん…つよしさんと言うのですか?羨ましいです。私もしのぶさんみたいな母が良かったです」


「なに?あなた…そんなに若いのにお世辞も言えるのね…なにもでないわよ!」


「いえ…お世辞なんかじゃありません!強くて、優しくて、かっこよくて…憧れます!」


「成人したならお酒飲めるの?好きなら何杯でも飲んでね!他の人から1人の人として見られたのはあまりに久しぶりだったから…気分が良くなったわよ…一気飲みましょ!今日はここで一緒に泊まってくれるんでしょ?」


「はい!それではお酒は好きなので…お近付きの印に親睦を深めましょう!」


「しのぶさん…1人の人としてって言うのはどういう意味ですか?」


「マリアちゃんも恋をして、結婚して、子供ができて…朝から晩まで家の仕事にてんてこ舞いするようになればわかるわ!外に出ればつよしくんのおかあさんとか、高橋さんの奥さんとか…しのぶとして接してくれる人が少なくなるのよ」


「同級生や友達はもちろんいるけどね…晩ごはんの支度とか…お風呂の用意、あと片付け…アイロンがけもあるわ。そっちが優先になるから滅多に会えないのよ」


「そう言われて見れば母も確かに父に付随した存在ではありますね。家の事はメイドさん達がするので掃除や洗濯はしませんが…お茶会や食事会といった社交の場ではマイスター家の奥方という立場で存在していますね」


「マリアちゃんは家にメイドさんが居るようなおうちのお嬢様なのね…しっかりしてるのはその家柄って事なのかしらね…ところでマリアちゃんお腹も落ち着いて来たし…おすすめのお酒ある?」


「そうですねぇ…私の好みで良いですか?それならここのハウスワインがおすすめですよ。ワインはわかりますか?」


「ぶどうで作ったお酒でしょ?それは私が暮らしてた世界にもあったわよ。それは赤?白?」


「ぶどうで作ったお酒には違いないですが…赤いような紫色のような…そういうお酒です」


「じゃあ…それもらおうかしら」


「しのぶさんの世界のワインは2種類あるんですか?興味あります!」


「ははは…マリアちゃんは食い付き良いわね。多分いま飲んでるこれは私が言った赤ワイン…ぶどうを皮ごと潰して皮も実も種も全部発酵させて作った物…白ワインって言うのは、白いぶどうの果汁を絞って果汁だけを発酵させた物。私のいた世界では料理に合わせて飲み分けるのよ」


「へぇー!面白いです!」


「マリアちゃんは可愛いわねぇ…私も娘が欲しかったわよ。男の子の方が可愛いとは思うんだけど…年頃になると何を考えてるのかわからないのよね」


「私も…しのぶさんの娘だったら良かったのになぁって思って話してましたよ(恥ずかし)」


「ところでしのぶさん!明日からどうされるのですか?」


「そうねぇ…とりあえず明日は目が覚めた路地に行って帰る扉でもないか?探して見ようと思ってるけど」


「冒険者はどうですか?登録はしましたし…しのぶさんになら良い依頼を安心してお願いでにます」


「そうねぇ…なんにしても仕事はしなきゃね!明日、路地裏を見に行って帰れそうになかったらお願いするわね」


「はい!私はあそこの受付に居ますからね」


「こうして何ヶ月ぶりに外食をして。家事からも解放されて。マリアちゃんと過ごしてる今は凄く楽しいんだけど…ふっと間があると、つよしがお腹空かせて無いかなぁとか…とうさんは着替えの置いてある場所はわかるかなぁとか恋しくなっちゃうのよね」


「そんなご家族が素敵ですね…私は恋愛をする事は許されていませんから…心に思う人ができて、結婚できたら素敵なのかなぁって憧れはありますけど」


「それは家柄ってもので…女の子は政略結婚の道具って事?」


「全面的にそこまであからさまでは無いですが…良い家に嫁いだ方が生活の不安が無いとか…そういう安定感も含んだ上で…政略結婚のような感じになるのが普通ですかね」


「会ったばかりのマリアちゃんにする話じゃ無いかもしれないけど…いい?」


「是非!お話してください!」


「私もね…若い時はもっと細くて顔もまあまあだったから…大きな会社の息子さんとか、顔も良くて仕事もできる人とか、お医者さんの卵も居たわね。とにかく色んな人からお付き合いしてください!とか結婚を前提に僕を見てください!とか…何十人も居たのよ。そうやって言って来る人がね」


「それを思ったら今の主人は優しいだけで…仕事もできないし…幻滅するほどどんくさいし…1番ハズレくじを引いたわ。でもね、誰よりも手の温かい人だった」


「収入は少ないし…私が働いてた時の半分くらいしかないんだもん。結婚して子供もすぐにできて…そら苦労したわ。でもね…いつでも幸せで居られたのは、自分で決めた事。だからなのよ」


「マリアちゃんもこれから長い人生には色々ある。だけどどんな壁にぶち当たったとしても、その壁を乗り越えるのは親のチカラじゃない!家のチカラじゃない!マリアちゃん自身の強い意思なのよ!」


「おばさんの独り言と思ってくれたらいいんだけど…決められた未来を生きるよりも抗う勇気を持った方が良いわ。それにね…家柄なんて物は、現時点で目に見えている幻想に過ぎないのよ。他国と戦争になったり、社会情勢が変わって売れる品物が変わったりするだけで意外ともろく崩れ去るものよ」


「しのぶさん!かっこいいです!私…大好きです!」


「眩しい!眩しい!マリアちゃん!対向車がハイビームで走ってきたくらい眩しいわよー!」


「なんですか?ハイビームって…」


「いや…それはいいわ。例えとしてもイマイチだったし…」


「今日はありがとうございました。またしのぶさんの住んでた世界の話とか…女の子としてのかっこいい話とか…してくださいね!」


「こちらこそありがとうね。つよしの顔が見れなくて寂しい気持ちになってたから…マリアちゃんのおかげで気が紛れたわ。ところでマリアちゃん!お風呂ないの?」


「一応ありますけど…入りますか?」


「今日はたくさん飲んだしいいわ。もし明日ここに戻って来たらお願いするわ」


ベッドの置いてある部屋にはベランダがあった。一息ついた、かあさんはその世界の夜空を眺めていた。


そして涙を浮かべてつよし!かあさん頑張って帰るからね!と決意していた


おい!とうさんもちょっとだけ思い出してやれよ!



第5話 親子のキズナ に続く






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