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うちのかあさんしりませんか?  作者: ひまわり
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第19話 久しぶりの討伐クエスト

第19話 久しぶりの討伐クエスト


冒険者ギルド


「なんか?久しぶりな気がするけど…そうでもないんだよな」


「師匠!ここのところ色んな事が、ありすぎたからじゃないでしょうか」


「確かにそうよねー♪」


「マリア様!それがバルムントですか?」


「そ、そうだけど…」


「キャシー様のベルセルクも見せて頂けませんか?」


「見せるだけよ!」


抜剣し高々と掲げた


「おぉー!」冒険者達がどよめく


「しのぶ様の宝玉というのはどのような物なのですか?」


「これよ」


10cmを少し超える楕円形の真っ赤な宝石に、金細工が施してあるペンダント


「綺麗ー!」


女性冒険者はうっとりし、男性冒険者は唾をのんだ


国宝だった物をもらって、飾るか…使うか…という論争を3人で繰り広げた結果。飾る場所もないし、ハウスに置いておくには、魔法鍵もかけるといえど不安だ。それに何より冒険者らしくない。結局せっかく国王から授かった物だから、誰でも見れるように。と使う事を決めたのだ。


「あんまり近寄らないでね…危ないわよ。このルベウスの効果にまだ慣れてなくて、たまに魔力が暴走するのよ」


宝玉ルベウスは魔力増幅に加え、装備者を守護する働きがあり、魔法反射と毒物のように口から摂取する害からも守られるそうだ。


「またつまなぬ進化を遂げてしまった」


かあさん!それ斬鉄剣を持った人を少し真似たのだろうけど…かっこよくないから(汗)


受付嬢が走ってきた


「マリアさん!」


「あらティナちゃん!もう受付業務はなれた?」


「はい!今日はお願いしたい依頼があるんです!」


「聞きましょう!」


かあさんが倒したオークがなぜ噴水広場に現れたのか…当初、犯罪集団の仕業と予想されたのだが、それにしては痕跡がない。しかも犯罪集団程度では、オークは運べないという結論になり、下水道侵入説が目下の最有力原因らしい。


「ですのでみなさんには、南西にある下水道出口から、王都の地下中央までの区間、隈なく探索して頂きたいのです」


アフロディーテには欠点があった。かあさんも含み3人揃って人が良い為「断る事が苦手」なのである。余程の理由がない限り、頼まれると嫌とは言えない。しかも今回はマリアさんの後輩からの頼みである。広い下水道の探索である事と、余程の事がない限り魔物に遭遇する事は無いので、新人研修もついでに頼まれたのだが…参加希望者があまりに多かった事、危険に変わりは無いので、そういう気構えで望む気にはなれない事。を理由にそれについては断った


「調査自体は引き受けましょうか?」


「マウスの討伐数も、報酬対象にしてありますので、よろしくお願いします」


3人は城門を出て南西の下水道出口に来ていた


「ところでマウスって魔物はどんななの?」


「マウスは魔物というか…小さくて、チュウチュウしてるやつですよ」


青ざめるかあさん…下水道出口の直近で3角座りをして拗ねた子供のようになった


「私…ここでまってちゃだめ?」


「師匠どうされたのですか?」


「そのマウスって…多分私の苦手なやつ」


そう!かあさんは子供の頃にネズミに耳をかじられた事がトラウマになっていて、某テーマパークキャラクターでさえ、受け付けないのだ


「しのぶちゃんは可愛いでしゅねえー!怖がらなくても大丈夫でしゅよー!」


マリアさんがあやす


「師匠!私におまかせください!」


キャシーさんが先頭に立つ


「しのぶさん♪それにマウスは少し穢れを貯めて居るので…ルベウスの効果で間近には来ませんよ。見つけたらキャシーが先行して仕留めます」


「群生地に出くわした時だけ目を瞑って良いですから…火の玉を連発してください♪」


「そ、そうなのかい?2人だけに任せる訳にもいかないか」


真っ青な顔をしているかあさんは立ち上がった


「灯りをつけますね♪ライト!」


早く終わらせたくて先頭のキャシーさんをかあさんが押す


「し、師匠…気持ちはわかりますが、落ち着いてください!」


「ははははははっ!しのぶさん!大丈夫ですって!」


チュ!と聞こえれば悲鳴をあげ。ちゃちゃっと足音がすれば耳を塞いで座り込んだ。それでもキャシーさんもかなり成長していて、気配がすればサッと走って確実に仕留めて行った


「ベルセルクを授かってから…少し短めの2本目を帯剣していたので、ちょうど良かったです。この通路で振るにはベルセルクは長いし、何よりマウスに使う気にはなれないし」


「キャシーちゃん!ごめんね…」


「さて!しのぶさん!キャシー!ここからが本番ですよ!この先で通路が半円形に12本の層になってます。中央の王城の地下まで、隈なく探索しますよー!」


「2人は疲れて無いかい?休憩しても良いよ。少しだけ慣れてきたから…」


「ですね。疲れてるわけではありませんが、水分補給と軽く携行食をかじって、本番に挑みましょうか」


「よし!もう大丈夫!やるわよ!」


「通路も少し広くなったし、ここからはキャシーちゃんが近いやつ、遠くに見えたら私が魔法を打つわ!キャシーちゃんを頂点に三角形になって進むわよ!」


それからはその広い下水道通路を走り回った。少し時間が経つと「いやー!」とか「きゃー!」で火の玉は発動した。行き止まりではマウス50体くらいの群生地が出てきたが、ちょうど通路と同じ大きさまで火の玉を大きくし、威力も抑えて行き止まりの壁に放った!


「やぱ…このルベウスは凄いわね。思い通りの事が出来るわ!」


「この調子で行けば今日中に終わりそうですね」


7本目の通路の途中でオークの痕跡を見つけた。


「あのオークはここから上がったようですね」


「キャシーはどう思う?」


「私はこの依頼は2回目だが…ここは噴水広場に近い。間違いないだろう」


「これでひとつの問題は解決しましたね♪先を急ぎましょう!」


「いやー!」「きゃー!」「このやろー!」「逃がすか!」「ほい!」「よっ!」


もう何を言っても小さい火の玉が飛ぶ!マウスをきっちり狩り取るだけの威力


「良い魔法の鍛錬になったわね」


2人は「どの口が言う!」と突っ込んだ


「いよいよ終点です♪ここを右に曲がった通路が最後ですよ!」


「しっ!あいつはなに?」


「先客がいますねぇ…」


「あれは…オーガだな…師匠…私にやらせて貰えませんか?私が走り出したら、マリアは灯りを最大にしてブーストをください。師匠は臨戦態勢を取って、私が敵に背を向けて下がって来たら、魔法による足止めと留めをお願いします。いきます!」


オーガ目掛けてキャシーさんが突進した。気づくのが遅れたオーガの目前まで既に迫っている。慌てて反応したが間に合わない。武器を持った手を振りあげようとするが、その手をキャシーさんが斬る!「ぐおぉぉぉぉぉー!」たまらずオーガは悲鳴をあげる!右に左に自由に動き回りながら、なぎ払い突き刺し切り刻んでいった…しばらくして左胸へ貫通の一撃…オーガは絶命した


「倒せました!倒せました!師匠!」


「うん…良い戦闘スタイルだったね。だけどひとつだけ…留めの一撃が決まっても、すぐに下がらなきゃダメよ。倒した自信はあったと思うけど…魔物でも家畜でも首をはねても、しばらくは暴れるものよ」


「はい!以後気をつけます!」


「お疲れ様!おめでとう!」


「キャシーも強くなったねぇ」


「ブーストが優秀だからな」


かあさんの魔法制御力の飛躍的な向上とキャシーさんが大きな自信を持つ事ができた事…かあさんの苦手を一生懸命にフォローした2人の姿勢。アフロディーテには実りの多い依頼達成となった


ギルドに報告した後は…


まあいつも通りの流れです!それが…


愛と美の女神、アフロディーテ!


第20話 家庭教師の日がやってきたに続く




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