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うちのかあさんしりませんか?  作者: ひまわり
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第18話 国王拝謁

第18話 国王拝謁


隊長達が5級なのにかあさん達が3級になったのは、作戦遂行中に、すっかりかあさんのファンになってしまった隊長達が、自分の手柄にすれば良いものを、かあさんの存在なくして今回の成功は無かったと、強く推したものによるらしい。かあさんの行動力や判断力。実行力という物は、天性も多少あるだろうが、多くは仕事の中で身につけていったものである。それを考えると日本のビジネスマンやウーマンの能力は、世界中…はたまた異世界でも通用する才覚なのだと実感するつよしだった。


王城に着くと、それぞれにゲストルームが与えられていて、マリアさんとキャシーさんには2人づつ世話係が付き、かあさんには6人の世話係がついた。


なにを着てもどこかの姫様かと思わせる気品と美を兼ね備えた2人と…一生懸命、引っ張ったり縮めたりしながら準備の必要がある、かあさんとの差だった


まあ…貴族服を着ても、卵の殻で作った雛人形見たくなるのは、俺でも想像できる(汗)


姿はともあれそんなこんなで授与式…隊長さん達は終わりかあさん達の番が来た。世話係に教わったように立て膝をつく


「アフロディーテの者どもよ。表をあげよ」


「アフロディーテの3人には第3級フランデル王国功績勲章を与える!副賞としてキャシー・ベネティクト殿には国宝剣ベルセルク!マリア・マイスター殿には国宝杖バルムント!しのぶ殿には宝玉ルベウスが贈られます!」


「大儀であった!」


「時にアフロディーテの者どもよ…我が第1王子も第1王女も、そなた達のファンでな…週一回で構わん!2人の家庭教師を任ず!」


盛大な拍手と歓喜の声援に包まれた。第3級勲章は実に150年振りの授与となった事と、副賞の装備はフランデルの国宝として代々受け継がれて来たもので、それを与えられた事は、3人に対する期待と、他国への流出を防ごうとする王の決意の現れであり、その決意の大きさに…参列者はみな畏怖したようだ。実質的にいかなる権力者といえども、アフロディーテには手を出せない、一切の許状を貰った事と同意なのである


懇親会はかあさんの憩いの時間だった…見た事も無いような料理の数々…世界中のレシピで作られたデザート。王様に命じられ呼びに来た側仕えが声をかける事を躊躇する程に目を輝かせていた!


いや…だから…かあさーん!


「マリアちゃんもキャシーちゃんも良かったね。今日の事で2人は自由を勝ち取ったのよ」


「はい♪家に縛られる必要がなくなった喜びと、個人として恥ずかしくない生き方をしなければ…という緊張と両方です」


「まさか私が国宝剣を頂くとは…師匠には感謝してもし尽くせません」


「あなた達が頑張ったのよ。だけど…こうなると、もっと国の役に立たなきゃね」


お偉い方々が顔繋ぎに次から次から訪れた。本来かあさんはこういう社交界は好きじゃないが…貰った物を考えた時に、本日ばかりは国王の顔を潰すような、事をしてはならないと頑張った


「国王がお呼びです…応接の間へ案内いたします」


「ささ…こちらへ。特にこういう場所に馴染みのないしのぶ殿は貴族の相手にも飽きたでしょ。ゆっくりしてください」


「マイスター殿とベネティクト殿は実家の挨拶などは大丈夫ですか?少ししのぶ殿と話がしたかったのですが…お呼びするなら3人をと思い」


「国王陛下!お気遣いありがとうございます。それでは最後になるかもしれませんので、マイスター家の令嬢として…ベネティクト家の令嬢として振る舞って参ります」


「では…1時間でしのぶ殿には戻って頂きます」


「しのぶ殿…しのぶさんで良いですかな?」


「人もはらいました。しのぶさんも砕けた話し方で良いですよ」


「助かるわぁ…住んでた世界にはこういうのないから、肩こっちゃって」


「しのぶさんは東京ですか?」


「え?王様も日本人だったんですか?」


「はい…私は博多で生まれ育って…亡くなった後に前世の記憶を持ったまま転生しました。それで気がついたら王位継承権1位だったんですよ」


「そんな事あるんですね…私は最近、買い物帰りに自転車で寝てしまって…起きたら王都の路地裏に居たんですよ」


「しのぶさんは転移したんですね」


「はい…それに私の場合…たまに東京にいる息子とはたまに会えるんです」


「そんな事あるー!?」


「いやいや王様…そんな懐かしいツッコミはとても嬉しいけど」


「たまに私の部屋と息子の部屋が繋がるんですよ。私は向こうに行けないし、息子は部屋から出られませんが…互いの世界に干渉しないとか、なんか?わからない条件があるかもしれませんが…」


「それなら良かったですね。姿と名前ですぐに日本人だとわかりましたから…早く縁を持たなければと思ってたんですよ」


「それで合点が行きました。接点のない王様がなぜ私達を守ろうとしてくれたのか…」


「勲章を与え…国宝を与える事で貴族が手出しできないようにしてくださった。ほんとうにありがとうございました」


「とんでもないですよ。さしあたって何も無いのですが…何か起こった時には同郷の人が居ると心強いじゃないですか」


「そうだね…確かに私もいまとても心強い」


「週一回の家庭教師の時は、第1王子がベネティクト殿、第1王女がマイスター殿、しのぶさんは私と雑談を基本スタイルにしてください。給金も3人分しっかり出しますから」


「そんなに甘えちゃっていいのかしら?」


「良いんですよ!それに私は街中で、地味な事でも一生懸命に取り組むみなさんの姿は、直接見ていましたから。覚えてないと思いますが貧困層の住む地域で一度擦り傷を治してもらった事もあるのですよ」


「王様も面白い人だねぇ」


「面白いというより平等で平和な社会で育った記憶があるせいか…どうやってこの封建社会の形を、上手く変えていこうか?と日々研鑽しているのですよ」


「また…ことある事に色々お話してください。主婦歴16年の勘と知恵もお貸しください」


「あらたまって言われるとお恥ずかしい…」


「かっこよかったですよ!あの2人に…良く見てなさい!究極奥義!主婦の知恵!って宣言して下向いて掃除はじめた時とか」


「なんで知ってるんですか!」


「ストーカーじゃないですよ!たまたま見ただけです。だけど…姿と共に希望も見たのですよ。今は何がどうかなんてわからないし、僕の考えている事がハッキリしてきた時に、つながる糸かもわかりません」


「ただ…希望という光をみた気がしたのです」


「わかったわ…裏に計算のない事ならなんでも協力するわよ!王様はなんて名前だったの?」


「一郎です。累計すると70年生きてますから」


「長男の一郎ちゃんね!」


「また家庭教師の日に遊びましょう!」


戻ったかあさんは食べた…そして飲んだ…お開きが近くなった…そして食べた!


かあさんが食べる行為は説得力を生むらしい


第19話 久しぶりの討伐クエストに続く




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