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うちのかあさんしりませんか?  作者: ひまわり
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第17話 王城から呼び出しだって

第17話 王城から呼び出しだって


アフロディーテ一行はともあれガラの街に到着した。のちにマリアさんとキャシーさんはかあさんの事をもっとも早い乗り物と語っている。ほんまかいな!


ガラの街は王都に比べると、人通りもまばらで一見寂しく見えるのだが、古い家並みも多くフランデル王国の歴史を感じさせるような街並みだった。3人は宿を取った後、ガラの冒険者ギルドに見学に行った


「冒険者ギルドでも街が違えば随分違うわねぇ」


「そうですね…王都で見るようなガラの悪そうな、冒険者さんはほとんどいないですね」


「王都から比較的近いので、野心家の冒険者さんは王都に出て…生まれ故郷で活動する人は、生活の為に冒険者をしている。そんな感じでしょうかね」


「所で、マリア!依頼未達成のペナルティは大丈夫なの?」


「う~ん…どうかなぁ」


「大丈夫よ!契約違反をしたのは向こうなんだから」


「そっか…そうなりますね。護衛依頼という発注に対して、賊の襲撃ははじめからわかっていた事なので、依頼内容の変更を申請しなかった時点で、依頼主の契約違反ですね」


「私はなんとなく予感がしていたけど…経験にもなるし、たまには良いかなぁと思ったのよ」


「確かにはじめから、師匠が打つ手は、これから起こることが全部わかっている様でしたね」


「それより、街を知るには冒険者ギルドの酒場でしょ!お腹も空いたしなんか食べよう!」


「いいですねぇ」


「王都にはないメニューを、全部注文しよ!」


「師匠!相変わらず豪快です!」


「おい!あれ…もしかしたらアフロディーテじゃねぇか?」


「どれどれ、どこだよ!」


「ほんとだ!丸いおばさんに、えらいべっぴんなお嬢様が2人…噂通りだな」


王都では知らない人がいないほどの有名なパーティ。となり街にも当然、噂は届いていた。


「名が売れるのも考え物ですね」


「いまさらよ!気にしない!気にしない!」


「そうですね!気にしても仕方ありませんね!」


話しかけたい冒険者はたくさん居たが…3人のテーブルは、近寄るな!というオーラで満たされていた為、誰も近づいて来なかった。店員さんと受付の女の子だけ、握手を求めて来たが、気持ちよく笑顔で応えていた。


そして次の日にはガラで名物のケーキを食べ満足した、アフロディーテは乗り合い馬車で帰路についた。

ガラについたリズベクト商会は従業員総出で3人を探したらしいが見つける事は出来なかった。


かあさんは人生初の夜営も経験し、今回は少しハードな任務になったものの、結果としては大成功で終え、充実感に満たされていた


「ただいまー!」


「ただいまー!」


「ただいま!」


3人ともハウスに戻った安堵感から、誰も居ないとわかっていたが帰宅の挨拶をした。これだけでも依頼の緊張感が大きかった事が良くわかる。それぞれお風呂に入り、着替えを済ませ、途中屋台で買って来た食べ物で乾杯をした。みんな疲れて居たのだろう、珍しく早々と各人の部屋へ戻った。かあさんは部屋のテーブルにある手紙に気がついた


かあさん…出張お疲れ様


今回も大暴れしたんだろうね


こっちは、コンビニ弁当にも飽きて


かあさんの玉子焼きが食べたくなっから


スーパーで卵を買って、焼いてみたよ


全然違う味だったし、形もぐちゃぐちゃだったけど


なんとなく美味しかった


毎日お弁当に入っていた、玉子焼きですら


作るのは簡単じゃないんだな


今度いつ扉が出るかわからないけどまた来るよ


頑張るのも程々にね つよし


なんてことのない内容だったが、ちょうど緊張の糸を緩めた瞬間に手紙をみたので、かあさんは色んな感情が溢れたらしい。高校1年の息子に母親の愛情を想像する事はできないけど…大切に思われている事は実感できるし、居なくなった事で自分も大切に思っている事を認識するつよしだった。


それから数日後の早朝、なにやら外が騒がしい。立派な馬車が止まっていて、騎士団らしき人物が2人…片膝をついて家の者を待っている


かあさんより先に気がついていた、マリアさんとキャシーさんが軽く身支度を整え、外に出て対応していた。騎士団の隣にいた使いの物が声をあげる


「冒険者パーティ!アフロディーテ殿!今回の盗賊団掃討作戦に対する功績を称え、第3級フランデル王国功績勲章の授与が決定した!本日正午より謁見の間にて授与式を開催する!フランデル王国第7代国王イノセント・フランデル!」


膝を折っているのは、騎士団長と任務にあたった隊長だった


「先日はありがとうございました!本日は我らが迎えの任にあり、王城までの道中にご説明しますので、準備できましたらお声かけください。尚、式典へ出席する衣装も、終了後の懇親会用の衣装も、こちらで用意していますので、身軽な服装で来てください」


慌ててハウスに引っ込んだ2人…かあさんと顔を合わす


「どうしよう、どうしよう!」


「王城から呼び出しなんて」


「勲章くれるってんだから…とりあえず行けばいいんじゃないの?」


「まさか第3級勲章とは…」


「それは…凄いのかい?」


「凄いってもんじゃありませんよ!しのぶさん!」


「良かったじゃないか…あなた達はある意味、家の方針に逆らって冒険者になったんだ。これで国からも認められたって事なんだろ?」


「そこはそうなのですけど…勲章には1級から5級まであって、3級の功績は戦争で不利な戦況を単身で勝利に導いたような、将軍クラスに与えられる勲章なのですよ。家柄や貴族のバランスで与えられるのは5級までなので、お父様も貰った事のない勲章なのですよ」


「ますますいいじゃない…私もあなた達のかあさんとして鼻が高いわ!」


「ですが師匠!3級ともなれば副賞もとんでもないものであるかもしれません!」


「もう、決まった事みたいだし、ジタバタしても仕方ないよ。待たせちゃ悪いから行こ」


「はい…そうですね」


馬車の中で隊長から今回の授与に至った経緯の説明を受けた。今まで騎士団で、何度も追い込みながら逃がして来た事や、一掃できた事で盗賊団に繋がっていた、有力者までを炙り出せた事が大きく評価されたらしい。ちなみに、この隊長とガラの隊長も、同じ式典で5級勲章を受け取るらしい


今度は国家勲章って…かあさんはこの世界になにをもたらす事が、使命なのだろうか?


まあ…まん丸の愛くるしいおばさんが、大活躍するのも悪くないなぁと思う今日この頃であった


第18話 国王拝謁に続く









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