第14話 指名依頼
第14話 指名依頼
連日のボランティア活動と、定期的に行くスライム駆除で詰んだ経験値…魔法学校での優秀な成績などが考慮され1週間でマリアさんはBランクまで昇格した
アフロディーテもAランクとなり、街で人気者のかあさんを筆頭にアフロディーテと近づきたい人々から、大小様々な指名依頼が殺到していた。
仕事を選ぶようではダメだと、なるべく一般市民からの依頼よ優先しようという、かあさんの意見から3人は街を走り回っていた。
「師匠!そっちへ逃げました!」
「この猫すばしっこいのよ!」
「だめ!マリアちゃんの方へ行ったわ!」
「きゃー!!!」
「師匠!瞬間移動してください!」
「忘れてたわよ!ほれ…捕まえた!」
「って木の上じゃないのーーー!!!」
「ブースト!」どすん!
猫を捕まえる依頼や、不用品の処分…
「火炎放射器!」
「ファイアーボールって言うよりも火の玉!の方が威力あるし…イメージだから発する言葉は、何でもいいんだよね」
はたまた家の中や庭の掃除
「あなた達はメイドが居るかも知れないけど…人の仕事の大変さを知っておくのもよいことよ!」
「見てなさい!究極奥義!主婦の知恵!」
コツコツ掃除したり
「お父さんとお母さんが心配してるわよ。子供のうちはなんでもやってみなさい」
一言子供に激励をして欲しい。というような依頼まで
朝から晩までアフロディーテの3人は走り回っていた。どんな依頼にも嫌な顔もせず、ワイワイ騒がしく取り組む姿は、アフロディーテ人気に拍車をかけ連日忙しく過ごしていた。そんな時ギルドマスター室に呼び出された
「アフロディーテのみなさん!連日のご活躍ありがとうございます!本日はみなさんにどうしてもお願いしたい依頼がありまして…」
「わざわざ、ギルドマスターからお願いがあるような依頼ですか?私の故郷のことわざには初心、忘れるべからず!という言葉があって…傲慢にならずに自身を戒める事が大事。と言うのが私達の信念です」
「小さくてもコツコツと取り組む事がアフロディーテの未来を明るくするのですよー!」
「それは重々承知しておるのですが…この依頼はマイスター君の家も、好意にしている商会でして…どうしても護衛をお願いしたいと」
「そういえば、パーティハウスにお父様の使いの者が手紙を持って来ましたね」
「リズベクト商会の商会長が、隣街のガラに行かなくてはならないのですが…最近、街道に盗賊が出るのですよ。商会長の安全が最優先なもので、どうしてもアフロディーテにお願いしたいのです」
「だけど…私達…そういう賊を相手にした事はないですよ」
「護衛をしながら襲ってくる賊だけ順番に無力化してくれたら、あとはこちらで手配します」
「マリアちゃんの家も絡むなら断れないなぁ…どう思う?」
「私も世話になった方ですが…個人的に方針を変える気はないので…どうしましょうか?」
「それが…しのぶ様…最近、名声が王城にまで届いております。謁見したいと言うような書面もギルドに来ているのですが…一番大きな理由は有力者達が誰も知らないという事が大きいのです」
「マイスター伯爵家はもちろんしのぶ様の事をちゃんと評価されていますが…少しだけ上手くやって欲しいのです」
「あーーー…なるほどねぇ…わかったわ!その依頼引き受けましょう!」
「もちろん報酬は実費にプラスして破格の金銭が用意されていますのでご安心ください」
「マリアちゃんもキャシーちゃんも良い?」
「もちろんです!」
「隣街ガラまでは途中、1泊の夜営を挟んで2日間の移動になります。ガラで1泊して頂いて、次の日の朝、宿の方へ帰りの依頼はどうするか、お伝えに上がります」
「ですので、最短で2泊と2日半、最長で3泊と4日の依頼になります」
「明日…準備をしていただいて、明後日の早朝に南門前に集合して出発になります」
ともかく了解してギルドを後にしてハウスへ戻った
「夜営なんてした事が無いから段取りはお願いね。私も買い出しとか手伝うから…」
「はい!私も明日実家に行って詳しい話を聞いてきます。それにキャシーは夜営にもなれていますから」
「とりあえず…着替えてご飯でも食べながら明日の行動は決めましょう」
かあさんは自分の部屋に入ってきた
「あれ!つよし!あんた何してんの?」
「おぉ!かあさん!久しぶりだなぁ…俺の部屋のドアから廊下に出ようとしたらここに繋がったんだよ。かあさんの服がかかってたからここに住んでるかと思って待ってた」
「どこから入ったって?」
「ほら!そこの壁にドアがあるじゃん…あれから」
「そんなドア見えないわよ」
「やっぱりそうか…俺もさぁ…かあさんが入って来た所を出ようとすると何も無いのにぶつかるんだよ」
「それより元気だった!つよし!」
「痛い!痛い!かあさんそれ以上抱きしめられたら身体が砕けるよ!めちゃくちゃたくましくなってるじゃん!体型はそのままだけど…」
「会いたかったー!かあさん毎日頑張ってるのよ」
「うん…それは何となく感じてた。また子供や年寄りや、街の人の為に走り回ってんなぁって」
「あぁーん!!つよしー!!」
「泣くなよかあさん!会えたんだからさ」
「かあさんにもその扉がみえるようになったら帰れるのかしら?」
「どうなんだろうね…俺ももう行かなきゃ…扉が薄くなって来た。また来るよ!危険な事をたくさんしてるんだろうけど、怪我とか気をつけてね」
「かあさん!明日から出張だからね!」
「わかったわかった!気をつけてな」
「あんたも気をつけなさい!とうさんにもよろしくね」
「心配ないよ…とうさんもかあさんがいた時よりしっかりしてる…あと…少し…なんだな…あれなんだけど…かあさん!色々ありがとう!感謝してるよ。またね」
「つよしーーー!!!」
「頑張ってね」
そして壁の中へ消えて言った。たまたま部活から鞄を部屋に置きに行って廊下に出ようとしたら繋がったのだ。かあさんが空間を操れるようになったからなのか?絆の強さが起こした奇跡なのか…理由はわからないが、顔を見て話す事ができた
思春期になりウザいとしか思えなかった母親だが、顔を見るだけで安心して涙を堪えるのに必死だった。照れくさいが、もう会えないかもしれないと言う緊張感が、せめて感謝をと…ありがとうと口から出た
第15話 激突!地域最大盗賊団へ続く




